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ブックレビュー『鎌倉資本主義』

 この本の著者は、鎌倉に本社を置く上場企業・面白法人カヤック代表取締役CEO の柳澤大輔氏。面白法人カヤックは「面白法人」の名の通り、面白い社会を作り、誰かの人生を面白くすることを理念として掲げている会社です。

 「まちの社員食堂」は、面白法人の「面白いを追求する」という手法に従い、「普通」の社員食堂のつまらない部分をどうすれば面白くなるのかを徹底的に考えて、追求した結果生まれた食堂だそうです。
 最初はカヤックの社員向けに福利厚生を充実させたいという考えからでした。しかし「普通」の食堂にしてしまうと「閉じている」のが面白くない。そこで会社や組織の垣根を超えて、地元の企業や飲食店などを巻き込み、鎌倉で働く人が交流できる場をつくれないか。そうすればそこから新しい取り組みが生まれるかもしれないし、鎌倉で働くことがもっと楽しくなる。
 そんな思いから「面白いコンテンツを作る」という原点に立ち戻り、「まちを応援する」仕組みを追求した結果、生まれたのがこの「まちの社員食堂」なのです。これは一例で、地域コミュニティを発展させるための取り組みとヒントがこの『鎌倉資本主義』の本には詰まっています。

 現代の世界は資本主義社会で、共産主義国といえども資本主義化しないでは生きていけない仕組みとなっています。そしてGDP(国内総生産)という経済指標だけを追い求めた結果、地球環境汚染、富の格差の拡大など、資本主義では解決できない問題に人類は直面しています。その問題を解決する新しい資本主義の考え方が、この本で提案されている地域資本主義(鎌倉資本主義)という考え方です。

鎌倉資本主義

 地域資本主義では地域経済資本(何をするか=財源や生産性)、地域社会資本(誰とするか=人のつながり)、地域環境資本(どこでするか=自然や文化)の三つの資本を考えています。それらの三つの資本を指標化し、最大化していくことで、従来のGDP では計測できなかった価値や豊かさを追求し、これらの三つの資本をバランスよく増やしていくことが人の幸せにつながる。

「企業は、単に利益を出せば良いのではなく、社会をよりよくしていくことに対して、積極的に関与していかなければならない」

 そんな柳澤氏の思いから書かれたのがこの本で、これは同時に新しい社会に向けてどのように生きていくべきかについて考えさせられる本です。

※書籍『鎌倉資本主義』を持参すると、鎌倉で働いていない人でも「まちの社員食堂」を利用できます(ご利用は一回限りとなります)。

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「まちの社員食堂」についてはこちらの記事をご覧ください。

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