草野原々『これは学園ラブコメです』
今回の一冊はこちら。
これは学園ラブコメです。
というタイトルの小説が、すんなり学園ラブコメのはずがない。
前々から気になっていたガガガ文庫のこのラノベ。
ガガガ文庫の単巻は、いろんな意味ですごい。
独特な作品が多い。
で。
今回のタイトル。
「学園ラブコメ」に他の世界観や、カオス「なんでもあり」が侵入してこようとしている。
「学園ラブコメ」を守りきれ!
という、メタフィクションSF。
もう、あらすじからして独創的!
ちょいヘタな文章と展開をわざと重ねて、ジャンルの定型としていく。
もう、それが絶妙!
登場人物はジャンルたちに翻弄される人形でしかない。
メタ的視点を得ている主人公はキャラクターに数えられるけど、
何より本当のキャラクターたちは、各ジャンルだと思う。
各ジャンルたちは、必要に応じて人格が発生する場合がある。
メインである「学園ラブコメ」以外ははっきりしたキャラはないんだけど、でも、だいたい想像できるから面白い。
強引に地の文を改変していく「SF」は、『フランケンシュタイン』で共演して仲間じゃんという「ホラー」と喧嘩する。
地の文で。
「ミステリ」は読者への挑戦状をプレート化して落とし、でもピンチは助けてくれるとかいう、なんだろう……。
真顔でふざけてるとしか思えないことをマジ真剣にするけど、無表情のまま味方を庇うみたいな。
うん、「ミステリ」がこの本の中で一番好きなキャラだな。
「学園ラブコメ」というとラノベの真骨頂。
でも、ラノベだけではなく、他の「SF」「ホラー」「ミステリ」あたりも知っているとなお面白い。
この作家さん、もっと読んでみたい……と思う読書になりました。
メタフィクションSFという分野自体初めてなんですけど、面白かった!
他のものも調べて読んでいきたい。
面白い上に次に広がる読書。
サイコーですよねー!
それでは、次またSFを読んだ時にお会いしましょう〜。
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