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【数学センス】続、黄金比 - 素直になれない思春期編「それでも数学の方が好き」

前回は黄金比の数学的な定義とそこから導かれるその値を求めるところまでやりました。

黄金比は$${\phi}$$と表し、その値は$${\phi = \dfrac{1 + \sqrt{5}}{2} = 1.618\dots}$$でした。

まだ前回の記事を読んでいないと言う方は下のリンクから読んでいただけるとより楽しんでいただけるかと思います。

ところで、この1.6に近い比を自然界や芸術作品などの中に見出して美しいと称されることがままあります。「ミロのヴィーナス」や「パルテノン神殿」、「オウム貝」などがそれです。

ミロのヴィーナス、


この比が美しいと言うのであれば、

この可愛いわんちゃんのマスコットキャラ、これより

この方が美しいと言うのでしょうか?
あり得ないでしょう。

パルテノン神殿、縦横比が約1.618だと言われます。本当でしょうか?

写真から起こしたパルテノン神殿のイラストです。PowerPointで作りました。やっぱりPowerPointは好きです。で、このイラストの中に黄金比が隠れているという話ですが、例えば


こう見ると確かに縦横比1.618に近いと感じます。ところで


左下と右下、何を基準にその位置に決めたんでしょうか?比が黄金比になるように調整したと言う疑惑が拭いきれません。

別の長方形。


これも一見黄金比に見えます。でもよく見ると、


左下の位置は恐らく柱の左側なんでしょうけど、右下の位置、何を基準にそこに決めたのか。そこにすれば比が黄金比になるから、と言う疑惑が拭いきれません。

実際、黄金比にならない四角はいくらでもあります。


パルテノン神殿が黄金比だから美しいという説がいかに苦しいか共感していただけると嬉しいです。

オウム貝、色んな貝がある中でたまたまオウム貝の縦横比が黄金比に近かっただけでしょう。黄金比に近くない巻貝の方が圧倒的に沢山いますからね。

という訳で、実世界の美しさの中に黄金比$${\phi}$$を求めるのは、僕は後出しジャンケンだと思っています。

そんなまやかしに踊らされている暇があったら数学で驚いて欲しいと思います。


数学で何かを美しいと言った時に色んな美しさがあると思いますが、例えば難しい・複雑に見えたものがシンプルに表されたら感心させられますね。一見関係なさそうに見えた何かと何かがつながっていたと分かった時にも驚きと共に美しさを感じますね。

ここまでしっかりと前記事から読んでいただけた方には次回の記事は目から鱗を味わっていただけると思います。

ご期待下さい。

前編を読んでなかったと言う方は下のリンクからご覧いただければと思います。

ではまた。

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