クッキーを焼くしかない
次女が生まれてもうすぐ2週間。新生児の前では父親という生き物は本当に無力だ。できることがない。
「父親も休暇を取って育児に参加すべき」という風潮があるので長女の時はありとあらゆることをやってみたが、「母の手から育児を取り上げることが本当にイクメンなのか?」という疑問が湧いた。
僕の大きな手は新生児のおしりを拭くのに適しているとは言えない。何度長女のお尻を真っ赤っかにしたことか。
ごめんな。お父さんの腕は昔150㎏のバーベルを挙げてたんだ。力の調整が難しくて。
授乳以外のありとあらゆる新生児育児を「僕も!僕もやる!」と鼻息を荒くしてやってみた結果、「育児は妻に任せて妻の生活を支えた方がいいんじゃないか?」という結論に達した。
育児を妻と半分こする、というイメージではなく「育児は妻担当、それ以外は私がやりますので」というスタイルを取るようにした。
男の僕に授乳はできないが、栄養のある食事を作って妻を元気にすることはできる。
深夜の夜泣きを交代する事はできないが、夜中小腹が空いた時につまめるおやつを準備することはできる。
今は次女の育児をやってもらっているが、今僕に求められている家庭の役割は「新生児をかわりばんこで育児すること」ではない。
長女の面倒を見て、栄養のある食事を作ることだ。
だから今は実家にいる。3時間授乳でただでさえ短い睡眠時間を、長女の「ママあっこ!(だっこ)」でさらに短く削らないため。
『餅は餅屋で』という言葉があるが、本当にその通りで。男である僕は夜泣きの声でもなかなか目が覚めない。
妻は「おぎゃあ」の「ゃ」を言い終わる前には立ち上がっている。
こんなことを言ってはこのご時世で角が立つかもしれないけど、どちらが子育ての『餅屋』なのか?と言えば答えは明らかだ。
なのでうちは妻に子育てに専念してもらって、それ以外の「父でも代わりが効くこと」に関しては僕が引き受ける。そんな布陣で子育てをしている。
一時的ではあるが『育児』以外のタスクを引き受けることが僕の『育児』である。
なので僕にとって「実家でクッキーを焼くこと」は育児なのだ。オーブンで焼いたクッキーが食べたいと妻が言っていたから。
育児というマウンドで全力投球している妻にクッキーを焼く時間はない。焼いてる時間があったら少しでも寝て欲しい。
本当は自分で焼きたいかもしれないけど、今は父の焼いたクッキーで我慢してくれ。すまんな。
いただいたサポートはミックスナッツになって僕のお腹の脂肪として蓄えられます。