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文学的なジャーナル

  • 初出《Web草思》2006年10月〜2007年10月

  • 『文学的なジャーナル』2008年10月(草思社)

  • 約272枚/400字詰め換算

今日の今この時が、自分にとって最先端である──というのは、ごく一般的な時間感覚だと思うし、この後どうなるか、ということについては、なにひとつわかりません。

そんなふうに、自分の外側では時計に従順な時間が流れていても、物事がひとたび内に入ってしまえば、年月日時分秒の順序はほぐれ、前後のつながりはゆるゆるになります。過去と未来の関係は相対的なものになり、過去が未来の後に来たり、過去の原因としか思えない未来があるのもあたり前で、極端なことを言うなら、死の翌日にも生がつづき、誕生の前日に日常があることにもなりかねません。

0次元は点、1次元は直線、2次元は平面、3次元は空間、そして4次元は3次元に時間軸が加わったもの──という次元の序列を、中学校の図書室で読み知って以来そのまま盲信していましたけど、さすがに、そんな単純な話じゃないかもしれないな、と思ったりします。

この作品を生成しながら、時間軸を1日ずつ〝粒〟にほぐすことで、なにか見えてくるものがないか、と考えていたような気もすれば、ある粒とある粒がたまたま並んだはずみで、ストーリーの予感みたいなものが生まれるのではないか、と考えていたような気もします。ただし、それは予感だけで十分であって、それ以上にはなってほしくないというのは、まあ、いつもながらのことですけど。


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