発酵食品短歌

『糠漬け』
祈るように
ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう
糠を押す
漬けているのは
里への想い

『納豆』
高速で
混ぜる納豆
あなたが笑う
食べられないけど
向かいで笑う

『ヨーグルト』
よかれと思い
与えられてきた
白い愛
ママは知らない
ラクトース不耐

『味噌汁』
こんなにも
愛おしいとは
気づかずに
溶けゆく味噌の香
消えゆく命

『キムチ』
漬け過ぎて
酸っぱくなった
白菜に
「もう手遅れです」と
涙浮かべた

『ザワークラウト』
好きだった
ヘッセ読み上げる
君の声
くたくたキャベツに
フォークを突き刺す

『飯寿司』
豪雪の
故郷の恵みが
恋しくて
南国の牢で
からい涙舐める


(いい加減帰国したいな。)

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