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#AIと著作権 「知的財産権は著作権だけじゃない」

[窓の杜]の新連載、生成AIストリーム『画像生成AIが焦がす「善悪の彼岸」』

おかげさまで初速は良いようです。さすが担当編集ハセガワ氏。
高いところから物申すような感じにはしたくないので、ぜひご感想などございましたら Twitter にいただけますと幸いです。
※あたりまえですが「ぼくにぶつけるべきではない謎の苦情や感情」よりも応援のメッセージのほうが嬉しいです。

こぼれた原稿もたくさんあるのですが、今日は「IP」について補足です。

「知的財産権は著作権だけじゃない」

工業所有権についても目を向けねばなりません。著作権は著作物を作成した時点で自動的に著作権が発生し、登録等は不要ですが、工業所有権はもっと明確な権利と保護が存在します。
工業所有権(Industrial Property Right)は、主に特許権や意匠権、実用新案、商標権が存在します。正確な日本語の法律用語では「産業財産権」ですが、総称して「知的財産(Intellectual Property)」なので総称して英語との互換性からか一般には「IP」と呼ばれます。工業所有権法も平成10年に法改正されており、侵害罪については、従来の親告罪を非親告罪とする改正が行われています。
つまりAI画像生成やChatGPTなどの文書生成においては「このIPを誰が持っているのか?」について、真剣に考える必要があります。明確に「このIPは私が持っています」と言える人は、特許庁への出願なり登録なりといった認識の根拠があるはずです。一方で「IPの所有者をあいまいにしたい」もしくは「IPバイオレーション(違反)である!」と言いたい人は誰なのか?について、生成AIの利用者であれば、目を向けていく時期が確実に来ていると考えます。

「生成AIには著作権がないと言っている国」もある

世界の画像生成AIの話に戻すと「生成AIには著作権がない」というディスカッションはまだ白黒ついていません。アメリカでは「AIが作った」という触れ込みでは「著作権がない」とされるケースも報告されています。

▼【やじうまPC Watch】米著作権局、AIが生成した画像を保護対象と認めず  - PC Watch https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/yajiuma/1481952.html

アメリカはコモン・ローです。判例法、つまり裁判所における判決の積み重ねにより生み出されて法が形成されていくことが多いので、今後も「AIが自動生成=著作権なし」「人間の創作=著作権あり」という路線でAI生成コンテンツの登録ガイドラインが形成されていく可能性が高いでしょう。また「AIへのプロンプトは発注書と同じ」という議論もあるようです。
しかしそもそも「AIが作った」という触れ込みで作った作品、今後どれぐらい意味を持つのでしょうかね…。数パーセントでも人間の作業はあるのですから…。

書籍「AIとコラボして神絵師になる」には各ライセンスと弁護士の解説もあるのでぜひ見てほしい…。

書籍を書いたら書いたで、いろんなことがわかります。

今回の「生成AIストリーム」ではこの「倫理は可否ではない」という問題に差し込んだうえで「何次元必要か」というアプローチで簡易なチェックリストを作らせていただきました。


生成AI時代の『善悪の彼岸』チェックリスト6か条

生成AI時代の『善悪』について、その境界があいまいなままで生成物をつくり公開する行為は無免許運転のようなものです。以下に「生成AI時代の『善悪の彼岸』チェックリスト6か条」を作ってみました。もしあなたが、Stable DiffusionやChatGPTを使って何か生成したときに、眺めてみてください。ChatGPTや生成AIを利用した企業活動であったとしても役に立つと思います。
・どんなプロンプトで生成したか?
・そのプロンプトに他者のIPは含まれていないか?
・どんな感想を抱くために作られたか?
・それは誰かの依頼で作られたものか?
・それを公開することで困る人はいないか?
・それを公開して配布する理由はあるか?

もちろん、企業にお勤めの方は担当の弁護士さんなどにご相談くださいね!


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