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ハイブリッドセミナーにはオーディオミキサーが必須です

ハイブリッドセミナーで頭を悩ませる音問題

ハイブリッドセミナーの運営は、リアル会場のことに加えWeb配信のことも考えないといけないので非常に頭を抱えてしまう。また、配信の質を良くするためにビデオスイッチャーを用いて様々な映像効果を演出する。テレビ番組なんてそうだろう。

PinP、キー合成…凝れば凝るほどいろんな事ができ、オンラインセミナーのプレゼンテーション技術なんて議論もあるくらい。その影に隠れて、音というのはどうしてもないがしろにされがちだが、実は音のほうがハイブリッドセミナーでは重要になってくる。

ハイブリッドセミナーの配信形式

大雑把に説明するとこのように図解できるが、画面の切り替えに加えて音の切り替えもできないといけない。

映像トラブルと比べて音トラブルは致命的

配信には様々なトラブルがつきもの。映像でいうと、画面が出ていない、止まっている等。
一方、”音のトラブル”というのはどのようなものがあるだろうか。音量のトラブル(大きすぎる、小さすぎる、聞こえない)だけでなく、ハウリングや音のバランスで聞きづらいなど多岐にわたるが、映像のトラブルと違って音のトラブルは”出る”トラブルが多い。つまり、参加者に大きな不快感を与えてしまうのと、実は対処に時間がかかるものも多く、更に原因が主催者側だけでなく参加者側に問題があることもある。さらに、声の聞こえ方に関しては使うマイクの種類によっても全然変わってくるし、音の鮮明さはマイクの性能だけでなく会場の環境や使用しているPCのスペック、インターネット環境、ソフトウェア問題などほんといろんなことが原因になるんです。

ハイブリッドセミナーの音の流れ

では、ハイブリッドセミナーで考えなければならない音の流れについてだいたい説明します。以下、我々が普段使用しているテレビ会議システム「Zoom」のケースで説明していきます。

現地に必要になる音

ハイブリッドセミナーの現地参加者に必要になるのは、「Zoom音声」のみ。あるいは、「会場+Zoom」の音。

会場演者の声を現地会場に流すかどうかは好き好きだろう。絶対必要になるのは、Zoomの音声。Zoom演者だけでなく、現地演者にオンラインから質問がある場合はZoomの音声を素早く切り替えて流す必要がある。コロナ前に普通にやってたから『やっぱリアルっしょ』といってリアルセミナーを開催して、「どうせそれを配信するだけだろ?」と軽々しく考えると結構足元をすくわれる。もちろん、チャットで質問してもらってそれを読み上げる形式でもいいし、マイクで声出し・顔出しを嫌うZoom参加者もいるだろうが。

オンラインで必要になる音

これは非常にシンプル、「会場音声」のみ。

ただ簡単そうに見えて実は難しくなることもある。会場音声といったが、ここで言う会場音声=演者の音声だ。ところが、ハイブリッドセミナーでは演者の音声に加えてシチュエーションによってはZoomからの音声を流している場合もある。

このトラブルは、まったくの初心者の場合は問題にならない場合が多い。つまり、特にマイクに凝るわけでもなく、PCのスピーカーとマイクを使う場合(シンプル)は問題ない。Zoomにはソフトウェア上、Zoomからの音声をマイクで拾ってもキャンセルされるマイナスワンを自動で行う機能がついている。だからみなさん、パソコンのスピーカーからZoomの音を出しても、別に音が回ってハウリングみたいになったりすることないでしょう。マイクやスピーカーを別で設定していたり、音の流れが複雑化した際には、しっかりと理解してハウリング対策をしなければならない。

以上を同時に行うのがハイブリッドセミナー

以上、それぞれの場合の音の流れを説明したが、これらを同時にやる必要があるのがハイブリッドセミナー。

これまで、最小のハイブリッドセミナー開催の機材はどのようなものがあればよいかをいろいろ考えてきた。自分自身は、数々のセミナー運営経験からより安全で確実で質の高いセミナーを心がけて、様々な機材を導入してきたが、その流れに反するようにシンプルにするにはどこかに妥協点を設ける必要があり、そこにはオペレーション上の脆弱性があり、そこに保険をかけるか否かの違いがあるのだろう。

映像に関しては、V-8HDやATEM Mini Extremeかはたまた無料のOBS studioか・・・。だがどうしても関心は映像のスイッチャーに行きがちだが、実は音もこれまで述べたように重要になる。そのためには、オーディオミキサーも実は必須だろうと思う。

特に、Zoom音声を現地会場に流すには思った以上にZoomからの音量を上げる必要がある(経験談)。単純にスピーカーの音量を上げたのでは、現地マイクの音量も上がってしまうので、その辺の音のバランスも踏まえた調整をするためにはなんらかのミキサーが必要になる。

オーディオミキサー各論

ではここでお待ちかね、オーディオミキサーの各論に入りたいと思います。COI-利益相反-はありません。

ソフトウェアー:Loopback

Loopbackの画面

自分はMacユーザーなので、ソフトウェアの紹介と言うとどうしてもMac向けのものとなる。「Loopback」はその名の通り、PC上で仮想のサウンドルーティングを行うソフト。ご覧のように、視覚的に音の流れが理解しやすく、マイナスワンも自由に作れる。

ダウンロード無料。無料版は20分を超えるとノイズが混入する仕様。有償版は$109USD。入門版のオーディオミキサー相当の相場で、Macユーザーの配信者は持っておいても損はない一品。自分も、実際音の流れがわかりにくくなったときに「あ〜、もうややこしいっ!!」とLoopbackを組むこともあります。昨年の麻酔科サマーセミナーでは突然効果音を流すように言われたのでとっさに組みました。

欠点として、一台のPCでのワンオペ配信の場合は配信PCでやる作業が増えて煩雑化するということ。

Soundcraft Notepad-8FX

Notepad-8FXで組んだ配線図

はじめて購入したミキサー。ハイブリッドセミナーのためにマイナスワンを組もうといろいろ調べていて、その使い方を解説してくれていたのでそれに習って購入。

MasterOutとは別にAUX Outもでき、そこにマイナスワンしたやつをPCに送った使い方をしていた。オーディオミキサー入門機としては使いやすく一通りの機能もあり、GAINやイコライザー、LINE入力など基礎を実践で学ぶのには非常に良い機材でした。

ZOOM L-8

(なんかすでに過去のもの化していますが^^;)

ZOOM L-8

サマーセミナーで、効果音を含めたWeb配信を経験し、ミキサーでのポン出し機能を求めるようになった。その後、スイッチャーの方も機能拡充を目的にRoland V-160HDを予約。コロナ禍での半導体供給不足に加え、ハイブリッド配信の社会的ニーズの高まりから供給がまったく追いつかずに4ヶ月待ちの段階で予約番号は20番代。L-8は早い段階で候補に上がっていたが、V-160HDのこともあるので購入は見送っていたが、待っている時間ももったいないので年末に購入。レビューはこちらのnoteで

ちょっとレビュー記事に追記する形で実際に運用してみての感想。L-8にはUSBでPCと接続ができ、そこは確かにループバックでマイナスワンされてPCに返してくれるのだが、現地でZoom音声の音量調整がミキサーでできなかった。

実際、Zoomからの音声は小さい場合に音量を上げるにはミキサーの操作ではなくPCの音量調整が必要であった。せっかくオーディオミキサーを使っているのに音の操作が2種類になるのはワンオペでやるには作業が煩雑になるので、実際はPCからLINE出力(イヤフォン)でL-8につなぎ、それだとLINE入力の音量調整ができるのでそれで現地とZoomの音量のバランスを取った。

Master Outに加えて3種類(MIX A、B、C)のミックスパターンを作ることができ、更にシーンごとにメモリー機能が使えるために一見便利そうだった。実際は、Master Out、MIX A=Master Out(現地音モニタリング)、MIX B(配信用)、MIX C=B(配信音モニタリング)として運用した。

このMIXの音量調整だが、実際は「現地マイク+Zoom音声=Master Out」「現地マイク=MIX B」なイメージなのだが、現地マイク音量を調整した場合は、Master Outで音量を調整したあとにMIX Bに切り替えて同じように現地マイク音量を調整するという切り替えて調整するという作業が必要になったため、少しバタバタした。実際この作業のせいで、配信先の現地音声が小さいままだったという音声トラブルが生じた。

V-160HD搭載のオーディオミキサー

V-160HD RemoteのAUDIO画面

(さりげなく)

1月某日、第4回大分区域麻酔セミナーの振り返りをしながらメールを整理し、購入した機材リストを整理しているとV-160HD入荷の連絡が。といっても、定価と比べても価格高騰が起きていて毎回見送っていたのだが、今回まさかの定価販売!!さらには楽天ポイント還元等もあり、たまたま1台入荷していたV-160HDを手に入れることができました(大興奮なのでレビューや運用は複数回に渡って記事にします)。

自分の中でなんとなく、V-8HD+L-8=V-160HDと捉えていたのですが、実態はそれ以上!!今日は、テーマでもあるのでハイブリッドセミナー配信でのV-160HDに搭載されているオーディオミキサーの強みについて紹介したいと思います。

V-160HDは、USB Type C(3.0)でPCと接続し、UVC対応しているのでわざわざキャプチャーボードを介して接続する必要がなくなる(第4回大分区域麻酔セミナーではキャプチャーボードトラブルがありそれが引き金となり様々なオペレーショントラブルが生じた)。さらに、USB接続でV-160HDに音声入力をすることができ、それは見事にループバック機能搭載でマイナスワンでZoomに返してくれる(Zoomの設定は、マイク:V-160HD/スピーカー:V-160HDでよい)。

さらに、前述したL-8での音量調整のオペレーション。V-160HDの場合は、USB入力された音声(=Zoom音声)を上げても、マイナスワンされているのでZoomに返ることなく現地スピーカーのZoom音量を上げることができる。マイク音量を上げた場合はそのまま現地出力(HDMI OUT 1等)にも配信用出力(USB)にも反映される。

これこれ!!!!

これぞまさに、求めていた機能。しかも判明したのがついこないだのセミナー(最新)。

こういうオペレーションが問題になるというのは、実際やってみないとわからないし、やったからこそ出てくる問題点。そしてそれを見事解消してくれていた機材。さすがは、Rolandが”ハイブリッドセミナー”向けに開発したスイッチャーだ。

さぁ、ここからもと取るぞ〜〜!!(ちなみにV-8HDはすでにPAYしている)

ハイブリッドセミナーならではの音調整のためのミキサー

結局は、現地とオンラインの両方に配慮した音バランス。オンラインだけ、現地だけというのならばその必要もないが、両方をいっぺんにやるとなると一気に難易度が上がる。

・・・ところで、ハイブリッドセミナー運営のための最低限の機材ってなんなんだろう。。。??
OBSでできるのかな??

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