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【みちしるべ#6】橘孝祐さん~楽しんで!~(後編)

こんにちは! みちしるべのお時間です。
第6回のゲストは 橘孝祐さんです。
後編もよろしくお願いいたします!

前編はこちら
ぜひご覧ください。

ゲストプロフィール


橘孝祐(たちばなこうすけ)さん
現在ES関東クラブ所属。横浜国立大学2013年度入学。大学3年生でAsJYOC(アジアジュニア・ユース選手権)に出場し、スプリントリレーで優勝。ご自身も2019年のAsJYOCを運営した。2022年度全日本スプリントで優勝。同年度の全日本リレーでも東京都チームで優勝。大学院の2年間ではKOLCのオフィシャルを務める。現在は社会人として働きながら競技生活を送っている。

オリエンテーリングと就活

―就職活動はいつごろから始めましたか?

 大学院1年目の秋くらいから始めました。というのも、学部生時代は就活をしなかったというか気づいたら終わっていたんですね。同期に理系が多く、みんな大学院に進むものだと思っていたので、その流れで4年生のときの研究室の大学院を受けて。いろいろあって違うところに行ったんですけど。その反省として、次の就活は準備して臨もうと思い、結構早い時期から就活し始めました。

―初めは業界や職種は絞らず、広く調べていきましたか?

 当時、環境系の研究室にいたんですけれど、環境系で仕事をするにはかなり厳しい、自分には向いていないだろうなと気づいたので、まずは自分の興味のある業界は何なんだろうと最初の段階でリサーチしました。いろいろな企業の説明会に行ったり、ウェブサイトを見たりを繰り返していました。

 進めていくなかで、オリエンティアだったら観光業や鉄道、インフラが身近かなと思っていましたが、実際それをやるとなると嫌いになってしまうのではないかと思いました。例えば観光業だったら、旅行することは好きだけど、旅行を企画したり作り上げていったりすることはそんなに好きじゃないかもなと。それから業界を絞って就職活動をしていきました。

―オリエンテーリングを続けることを前提に就職活動をしていましたか?

 土日祝日は絶対休みを条件に入れていていました。あとは、関東で働けることを重要視していました。

―外資系の会社に入られたと聞きましたが、どうしてですか?

 その会社はカルチャーが良くて、オリエンテーリングにも面接の段階から興味を示してくれて、かなり理解のある会社でした。また、自分のやりたいことと職種がマッチした会社だったので入社を決めました。

―就職活動中の質問になりますが、就職活動と院の研究とオフィシャル業との兼ね合いはやっぱり大変でしたか?

 研究は、時間の融通が利くテーマだったので割と時間の調整はしやすかったです。オフィシャル業のほうは、トレに出られないこともありましたが、走ることは続けて、研究室の行き帰りに走ったりとうまくトレーニングする時間を捻出していました。日中は就職活動をして、夜は研究室に帰るという生活をしていました。

―就職活動中にまったく走れなかったわけではなかったんですね。

ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)は何を書いていましたか?

 オリエンテーリングのことをたくさん書きました。あとは、研究の話とか。その2つを書いておけば、どちらかには面接官が食いついてくるのでそこから話を広げていきましたね。「困難をどうやって乗り越えましたか」という定番の質問があるんですけど、オリエンテーリングって困難だらけじゃないですか。だからネタはめちゃくちゃあるんですよ。結構オリエンテーリングは就職活動に役に立ったなと思います。

社会人になってから

―働き始めて学生時代とまったく違う生活にはなると思いますが、社会人になってからオリエンテーリングとの両立やトレーニング内容は変わりましたか?

 だいぶ変わりましたね。学生時代は、研究室の行き帰りや夕方の全体のトレにも参加するとなると1日に十数 km走れちゃうんですけど。社会人になったタイミングで一人暮らしも始めて自分の生活をしなければいけないし、週5で出社しなければいけないし、会社の人付き合いも必要なので平日は全然走れなくなってくるんですね。だから、朝ちょっと早起きして2 kmだけ走るとかで。最初の段階ではトレーニング量は落ちてしまいました。

―そうだったんですね。それに慣れるために工夫したことはありますか?

 走る時間を朝にしたんですよね。走る量が減ってしまうので、漠然と走るのではなく、1回の練習のなかで何をしようかを決めていました。

―本音としては、もう少し走りたかったですか?

 もう少し走らないとなあと思いつつ、平日は社会人生活に忙殺といいますか、時間をとられてしまって、休日にオリエンテーリングをしてそれを取り返す生活を送っていました。徐々にオリエンテーリング力は落ちてしまっていたのかなと思います。

―コロナの期間、何か影響とかはありましたか?

 コロナの期間になったのが社会人1年目の終わりくらいで。そこで在宅勤務になり、平日は走れる時間が増えました。でも、オリエンテーリングも大会の中止で機会が減っていて、「なんで俺、走っているんだろう」となったことがありました。そんな中、とある大会のときに、近くに住んでいる尾崎弘和選手と一緒に練習しようよという話になりました。「日曜ロングランナー」という名前で、週に1回、日曜日に江戸川沿いを20 kmほど走って昼ご飯を食べて、という練習をするようになりました。コロナで大会はなくなっていましたが、大会が復活する来る日に向けてトレーニングをするモチベーションが保たれていました。

―社会人になって地域クラブでオリエンテーリングに参加していたと思いますが、ES関東クラブを選んだきっかけは何でしたか?

 1つ上の先輩に粂早穂さんという方がいて、学生時代から仲良くさせてもらっていました。その方がES関東クラブ所属で、伊豆大島合宿に誘われたことがきっかけでした。決め手は、早穂さんがいたことと、合宿に同期も参加していたことで、同じタイミングで入会する流れになりました。

―地域クラブに入ってよかったなと思うことは何ですか?

 ES関東クラブは、上の世代の方とのコミュニケーションが結構とれて、面白い人も多いですし、良い意味で気を遣わないでいられる人も多いので、かなり楽しくやらせてもらってるなと思います。

転職

―社会人3年目に転職されたとのことですが、そのきっかけは何でしたか?

 この職業を10年後もやっているのかなと考えたことがきっかけで将来を見直し始めました。ただ、3年前(入社した当時)は、転職してやるぞ、みたいな感じではなかったですね。良い業界や会社があればそっちに行ければいいし、ないなら今いるところで力をためて準備をしておこうと思っていました。そう思っていたタイミングで、ES関東クラブの同期が勤めている会社に誘ってくれました。話を聞いてみたら良い会社で、自分のやりたいことともマッチしていたので面接を受けて合格して、転職しました。

―実際に転職してみてどうでしたか?

 転職前も割とホワイトだったんですが、それよりもかなり時間の融通が利くようになりました。トレーニング面でいうと、昼休憩に走れましたし、夕方は一旦退勤してトレーニングをして、帰ってきてまた働くという時間の使い方もできる会社だったのですごく恵まれた環境になりました。

―今は時間を作ろうと思えば、作れる環境なんですね。

 はい、普通の社会人に比べればかなり時間を作りやすいと思います。

スプリントのお話

―今現在のお話に移ります。現在は、スプリントとフォレストの比重や考え方に違いはありますか?

 今は、全日本スプリントが終わったのでフォレストに力を入れたいとは思っていますが、フォレストでは自分より速い選手がかなりいて、まだ結果を出せていないですね。一方で、スプリントは週に一度、平日に練習する機会(たチバなスプリント)があって継続的にスプリントの練習ができています。

―今年の2月に全日本スプリントで優勝されましたが、優勝するぞ、という感じで意気込んでいましたか?

 優勝というより入賞が目標だったんですけれども、終わってみれば優勝だったというのが正直なところです。ただ、入賞するための準備はたくさんしていて、クラブ内で予想地図を作ったり、対策したり、Google マップで公園の構造を見たり、YouTubeで公園内の映像を見たり、などかなり現地のイメージを膨らませて臨みました。

予想地図を見せていただきました!

―噂の「たチバなスプリント」について教えてください。

 千葉県で毎週木曜日に行われるスプリントの練習会です。始めたきっかけは、転職を機に千葉市に引っ越して「日曜ロングランナー」の活動が距離的に難しくなってしまって、1人で走る時期が続いていました。1人よりみんなで走る方がいいことが分かっていましたし、時間はありつつも少しサボってしまうことがあって、近所に住んでいるから一緒にトレーニングしようということでES関東クラブのメンバーたちと始めました。千葉大生や千葉高校のオリエンティアたちとも一緒にやるようになりました。来週で30回になります(インタビュー当時)。

AsJYOCの運営

―運営に関わったきっかけは何でしたか?また、どういうお仕事をしましたか?

 粂早穂さんから運営をやってみないかと声をかけてもらい、「おもてなし班」をやることになりました。AsJYOC(アジアジュニア・ユース選手権)は、JWOC(ジュニア世界選手権)やWOC(世界選手権)と違ってレストデーに大会主催者が観光地をアテンドするツアーがあります。こういうのって普通の大会にはないじゃないですか。だから、結構頭を悩ませていました。でも、どうやったら楽しいのかなとずっと楽しいことを考えて進められたので自分自身も楽しかったです。

―僕はそのときの参加者でしたが、めっちゃ楽しかったです。普段は僕らもしないことを他の国の子たちと一緒にする機会はなかなかないし、楽しいしで。

 当時の選手から今になってフィードバックをもらえるのは嬉しいですね(笑)

AsJYOC2019の運営者たち

楽しんで!

―最後に、橘さんから大学生に伝えたいことをお願いします。

 学生の期間は4年間しかないと思いますが、それが終わってもオリエンテーリングは続けられます。また、競技もそうですし、運営という道もひらかれているので、広い目で見て自分は何をしているときに楽しいんだろうと考えて、自分の"楽しい"や得意でオリエンテーリング界にそれぞれ貢献していけば、もっともっとオリエンテーリング界もよくなっていくんじゃないかなと思います。だから、楽しんでください!ということがメッセージです。

大石:橘さんのオリエンテーリングとの出会いから最近の競技までたくさんのお話を聞くことができてよかったです。楽しい時間をありがとうございました!

:橘さんの学生時代からずっと続くオリエンテーリングに対する熱い思いが聞けてとても楽しい時間でした。ありがとうございました!


最後までお読みいただきありがとうございます!

載せきれなかったお話はポッドキャストから聞くことができます。
ぜひこちらもお聞きください(^^)/

ご意見、ご感想もどしどしお待ちしています!☆彡

【次回予告】
7月ごろ 西村徳真さん (NishiPRO、京都大学卒業)
7月ごろ 前中脩人さん (練馬OLC所属、東京大学卒業)
8月ごろ 村上巧さん (横浜OLC所属、東京工業大学卒業)
9月ごろ 伊藤樹さん (設楽町/ES関東クラブ所属、横浜国立大学卒業)
お楽しみに!

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