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【みちしるべ#2】増澤すずさん~自分の軸を持つ~

みちしるべってなーに?

 突然ですが、学生のみなさん、大学卒業後のオリエンテーリング人生見えていますか?ほとんどの人が「いいえ」だと思います。おそらく私もその中の一人です。そんな迷える学生オリエンティアが、社会人の先輩オリエンティアとの対談を通じてなにかヒントをもらえる、未来が見えるお助けをする企画がこの「みちしるべ」です。これを機に大学卒業以降の自分なりのオリエンテーリングとの付き合い方を考えてみてはいかがでしょうか?

もちろん学生オリエンティア以外の多くの皆さんにもお楽しみいただける内容となっております。ぜひご覧ください!


あらためましてこんにちは!みちしるべのお時間です。
第2回のゲストは 増澤すずさんです!
よろしくお願いいたします!

プロフィール

増澤すずさん
京都OLC・TORCH所属。筑波大学2016年度入学。大学卒業後は就職やコロナ禍によりオリエンテーリング競技から一時期離れたが、再び世界の舞台を目指すため競技に復帰した。2017年にジュニア世界選手権(JWOC)に、2018年に世界大学選手権(WUOC 通称:ユニバー)、2019年と2022年には世界選手権(WOC)に出場するなど、今までに日本代表を4回経験している。

インタビュアープロフィール

大石遥
新潟大学4年(2020年度入学)
所属クラブ:新大OC/静岡OLC
思い出の大会:姫木ミドルオリエンテーリング2021大会

森創之介
横浜国立大学2年(2022年度入学)
所属クラブ:KOLC/OLC東海
思い出の大会:2019AsJYOC

ひたすらオリエンテーリングをした学生時代

―オリエンテーリングと出会ったきっかけを教えてください。
 「オリエンテーリング」という言葉を知ったのは、高校の時に部活の2年上の先輩が地図とコンパスを持って山を走る競技をやっていて、そのインカレ(日本学生選手権)の新人クラスで優勝したらしいと聞いていて。その時は、変わった競技もあるんだなあと思っていました。
 大学に受かってから、陸上じゃなくて何か新しいことを始めたいと思って、全部のサークルと部活動を見て、そこでオリエンテーリングに出会いました。新歓で森に行ったら、陸上と違って道ではないところを走っていいというのがすごく楽しくて、その魅力に取りつかれました。

―では、どちらかというと森の方が印象として強くて、楽しかったですか。
 そうですね、陸上部時代は怪我が多かったので走ること自体も大学でやめようと思っていたんですけど、やっぱり走るのってすごく楽しくて。しかも、自然の中で森を縦横無尽に走れるっていうのがすごく魅力的でハマっちゃいました(笑)

―始めたばかりのオリエンテーリングは、意外とすらすらいけたり、難しかったり、どちらでしたか。
 やっぱり新人クラスは足があって、地図がちょっとだけ読めれば勝てるみたいな感じだったので、最初は足のアドバンテージが多少あって結構勝てて楽しかったというのはありました。

―1年目でリレー選手権クラスを走ったお気持ちはどうでしたか。
 めっちゃ緊張しました(笑)。1走の先輩が後ろを離して1位で帰ってきたのですごく緊張していて、前半にとてもツボってしまって後ろの第2集団に追いつかれました。そこからは東北大学の高橋友理奈選手と一緒に走って最後にダッシュしてギリギリ1位で渡したという感じでした。とりあえず、緊張しました(笑)

―2年目以降は、どういう目標をもってインカレに取り組んでいましたか。
 1年上に強い代がいたので、2年目は正直まだ優勝までは思っていないけれど、入賞したい・3位以内はとりたいと思っていて、機会があればひたすらオリエンテーリングをしていました。
 3年目以降はコーチにアナリシスを見てもらったり、アドバイスをもらったりしたおかげで結構よかったかなと振り返っても思います。3年目くらいからは、目標は優勝しか見ていなくて、いつも通りミスせずに走ったら優勝できるなと思ってやっていました。

ICSL2018 駒ケ根ロング 初優勝の瞬間

―学生時代に国際大会に出場した感想を教えてください。
 2年生はJWOC、3年生はユニバー、4年生はWOCと1年ごとにいい感じにステップを踏んで出場できました。
 JWOCで世界の壁が高すぎるなと感じ、その時に来年のユニバーがJWOCと同じフィンランドで行われると知って、1年頑張って成長して来年もまた行こうと思いました。ユニバーでも「自分まだまだなんだな」と思って、週末はひたすらオリエンテーリングをしました。4年になって、望郷インカレの成績で選出してもらってチャンスがあるなら出てみようと思いました。WOCでは、JWOCやユニバーより1段階、2段階、3段階くらいスピード感やレベルが違って打ちのめされたのもあって、もう一回頑張ってWOCに「挑戦したい」ではなく「挑戦しないといけないな」と4年の時には思いました。

ICMR2018望郷リレー ウイニングラン
山岸夏希選手(左)・宮本和奏選手(右)と

最後の春インカレから

―コロナ禍で最後の春インカレが無くなってしまった時の心境をお聞きしたいです。
 中止はやはりすごく悲しくて、リレーはその年の人としか出られないのでリレーに出たかったのもありますし。4年の秋インカレで勝てなかった借りは学生最後のミドルで返すしかないと思って、3月のインカレに照準を合わせていました。秋以降は義務感でオリエンテーリングをしちゃっていたので、楽しいけれど「やらなきゃ」という気持ちが勝ってしまって疲れてしまっていました。でも、最後の春インカレで結果を残したかったので3月までは本気でやって、終わってから今後に関しては考えようと思っていました。
 しかし、春インカレが中止になってしまって一気に気持ちに穴が開いて、そのまま就職して、フェードアウトしていきました。

―再びオリエンテーリングをやろうという気持ちに戻るのは大変でしたか。
 そうですね、そのままオリエンテーリングをやらないのが日常になって、社会人になり環境もガラッと変わって、会社の同期と遊んだりとオリエンテーリング以外のコミュニティでの生活が楽しくて、オリエンテーリングをやらなくても人生楽しいと思っていました。

オフの増澤すずさん。
食べるために走って、走るために食べているのだそう。

―オリエンテーリング競技に戻ってきた経緯を教えてください。
 きっかけは、何回かありました。社会人1年目の秋に大阪大学の子に練習会を誘われて、その流れで全日本も出場して走って、運よくミドルもロングも入賞できました。しかし、全然トレーニングしていなかったのに入賞してしまったので、これでいいのかなって思ってしまいそこから再び離れてしまいました。
 冬ごろにオリエンテーリングとの今後の向き合い方について悩んでいて、色々な人と話したりする中で、「週末にオリエンテーリングの予定があったらどういう気持ちになりますか」と聞かれて「すごく楽しみだしわくわくするから、平日の仕事を頑張ろうと思う」という気持ちに気付きました。そこから徐々に復活していきました。
 世界大会をもう一度目指そうと思ったきっかけは、神戸大学の松本萌恵選手から「来年のWOCに一緒に行きましょう!目指しましょう!」とチェコから電話が来たことです。そこから本腰を入れて今に至ります。

WOC2019 リレー2走

仕事とオリエンテーリング

―仕事を選ぶうえで考えていたことは何かありますか。
 オリエンテーリングの大会に出たいので完全週休2日制の土日祝日休みは見ていました。ただ社会人になっても世界大会を目指そうとは就活中には思っていなかったのでそういう視点では探していなかったです。

―社会人になることに対しての不安はありましたか。
 不安はそんなになくて、規則正しい生活できるかなくらいでした。あとは、全国どこに配属になるのかわからなかったので、福岡だったらあまりオリエンテーリングできないなと思っていたくらいです。就活のとき、勤務地では選んでいなかったですね。

―学生と社会人のオリエンテーリングとの関わりや向き合い方の変化はありましたか。
 私の場合は、2022年のデンマークを目指して競技を再開したので一般的には当てはまらないと思うんですけど、最近は全日本大会がすごく盛り上がってきて、社会人になってからインカレは無いので、全日本大会も目標にしています。

―学生時代と社会人になってからのトレーニングに違いはありますか。
 照準を合わせる観点からみると、大学生は秋にロングとスプリント、春にミドル、夏に世界大会、その間にセレクションと忙しいじゃないですか。ピークを何回も合わせないといけないんですけど、社会人になり世界大会一本に絞ると1年かけてそこに照準を合わせるのでトレーニング計画を立てやすいなと思っています。

WOC2022 ノックアウトスプリント

―トレイルランニングやマラソンなど様々な競技も行っている増澤さんですが、それでもオリエンテーリングを頑張りたいのはどうしてですか。
 トレランとかマラソンだと、自分よりも圧倒的に体力がある人にはどうあがいても勝てないんですよ、体力をつけない限りは。でも、オリエンテーリングはやってみないと分からないじゃないですか。それがすごく楽しいです。最初から結果が100分かっていないのが面白いなあって。それで勝てなくて悔しいというのもあるんですけど、そこがすごく楽しいです。

これからと学生へ向けて

―今後の目標を教えてください。
 2024年のイギリスのWOCで決勝に行きたいと思っています。今年は、トレランやフルマラソンの大会に出て体力のベースを上げていきたいです。ロードレースにもちゃんと出て、自分の今の実力を知って、トレーニング計画をちゃんと立てて2024年で結果出せるようにしていきたいなと思っています。

―これから社会人になる学生に向けて伝えたいことをお願いします。
 私はあえて、1回やってみて違うなと思ったら変えてもいいんじゃないかなと言いたいです。前回の稲毛さんが言っていたみたいに選んだ道を正解にするのも大事だと思うんですけど、やっぱり周りの環境とか関わる人とか自分がその時にやっていることとかによって、考え方って変わるじゃないですか。だから最初に選んだからといってそれをずっとやらないといけないわけじゃなくて、ちょっとでも違うなって思ったら、そっちのルートに乗りかえればいいなって思って日々生活しています。でも、その中でも自分の一つの軸は絶対持っていた方がいいなって思っていて。軸を持っていれば、何をやってもなんとかなります。
 

編集後記

大石:一度競技を離れた増澤さんだからこそのお話をたくさん聞けてとてもよかったです。インタビューをしていて、オリエンテーリングが好きで、オリエンテーリングを心から楽しんでいるのがとっても伝わってきました。今回は貴重なお話をありがとうございました!

森:インタビューを聞いて、走るのが本当に大好きなんだなと伝わってきました!
目標に向かってひたむきに、そして常に自分のやりたいことに取り組み続ける増澤さんの姿とてもかっこいいなと思いました!
インタビューさせていただきありがとうございました!

ここでは載せきれなかったお話は、ポッドキャストにて聞くことができます!

【次回予告】 
5月ごろ 高見澤翔一さん (ES関東クラブ所属、一橋大学卒業)
5月ごろ 皆川美紀子さん (みちの会所属、東京農工大学卒業)
6月ごろ 種市雅也さん (練馬OLC所属、東京大学卒業)
7月ごろ 西村徳真さん (NishiPRO、京都大学卒業)
お楽しみに!

感想どしどしお待ちしています!☆彡

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