キャンプ日記*洞川バル、開店
長い冬が終わり、春のキャンプは荷物も心も軽やかだ。
なんだか浮かれて、普段飲まないワインとか飲みたい気分。
会場は奈良県の山奥、標高800メートルにある洞川キャンプ場。
ちょっとオシャレに気取った料理をわんさか作り、安いワインで乾杯しよう。
洞川バル、開店。
メニューはこちら。
まずは腹ごしらえ。
道中にあるスーパー「オークワ」でお弁当を買って、車内で食べるのが洞川キャンプのルーティン。
焼き魚とお米が驚愕の美味しさで、500〜600円という優しさに毎回感動する。
ナビがUターンしていると勘違いするくらいうねりそそり立つ山道を、二駆の軽自動車で登る。
ブチギレているような、いかついエンジン音が轟く。
愛車にも満腹になってもらわなくては。
廃墟のようなスタンドで優しそうなおじいちゃんが給油してくれたガソリンは、リッター180円。
標高とガソリンの値段は比例するのか?
到着。
チェックインして、設営。
ポテチの袋が、はち切れんばかりに膨張している。
気圧の変化。サイエンス。
ぼーっと過ごす。
静寂って、心地良い。
ほなぼちぼち、始めていきましょか。
ローストポーク
ストウブ鍋で作ってみたかった一品。
豚肩ロースのブロック肉に、多めの塩・胡椒・オリーブオイルをもみ込んで、冷蔵庫で一晩寝かせる。
にんにくとオリーブオイルを、あたりに香りが漂うまでじっくり熱す。
常温に戻しておいた豚塊を、にんにくオイルで全面焼く。
にんにくは焦げないように、肉の上に避難。
全面焼けたら、野菜を投入。
今回は玉ねぎ、にんじん、じゃがいもというスタメン。
この日のために育ててきたと言っても過言ではないローズマリーを、そっと乗せる。
1年前くらいからベランダにあるけど、初めて使った。
これが想像以上に素晴らしい仕事をすることを、この時はまだ知らない。
蓋をして、弱火で20分くらい加熱する。
その後は予熱でじっくり火を通す。
鍋ごとタオルで包んでみたりしたけど、意味があったかは分からない。
気になりすぎて途中で蓋を開けるというタブーを何度も犯したけど、大丈夫だった。
張り切って仕込んだメインディッシュだが、翌朝まで食べられないという結末も、この時はまだ知る由もない。
日が沈みかけ、辺りの空気に冷気が帯び始めたら、焚き火の時間。
夜が訪れる前に、ガシガシ作っていく。
キンキンに冷やした白ワインに合う料理を、3品。
帆立のカルパッチョ
刺身用の帆立を、食べやすい大きさに切る。
参考にしたレシピには「さっと湯どおしする」と書かれてるが、キャンプでの調理は使えるアイテムやスペースが限られているので、さーっと熱湯をぶっかけた。
帆立がほんのり色づいて甘みが引き立ち、他の具材やドレッシングとよく馴染む。
有り余る時間の中で、料理にちょっとした一手間をかけられるのも、キャンプのいいところ。
ベビーリーフの上に寝かせた帆立に、醤油、酢、レモン汁、オリーブオイルを混ぜたドレッシングをかける。
小さく切ったトマトやレモンを散らすと、センスが良く見えるのでおすすめ。
しらすと大葉のジェノベーゼピザ
母の焚き火台は、ピザが焼ける。
私は高校時代、ピザ屋でバイトをしていた。
よって、ピザを焼かない理由がない。
今日は2枚焼く。
冷凍のピザ生地に、ジェノベーゼソース(業務用スーパーやカルディにある瓶詰めのもの)を塗る。
しらすに、刻んだ大葉、すりおろしにんにく、レモン汁、オリーブオイルを混ぜ合わせ、生地に乗せる。
チーズとブラックペッパーをかけ、センスの源であるレモンを散らす。
家のオーブンでは200度で15〜20分くらい焼くんだけど、キャンプでうまく焼けるかは運も必要。
正確な温度調整と維持が難しい。
大丈夫。キャンプで食べて、まずいものはない。
なんでも数倍美味しくなるキャンプの包容力に身を任せ、何度も失敗して学べばいい。
鯛のアクアパッツァ
レンコダイって安いのね。
一匹300円くらいで売ってた。
鱗と内臓をとった鯛に、しっかり塩胡椒をする。
オリーブオイルでにんにくと鷹の爪を熱し、鯛を両面焼く。
今夜は豪華に、あさりとムール貝を使う。
(といっても業務用スーパーの冷凍なのでめっちゃ安い)
ブロッコリー、プチトマト、しめじなどの野菜も投入し、白ワインで蒸す。
仕上げにブラックオリーブ、レモン、パセリなんかを添えると気分が上がる。
しっかり塩胡椒してニンニクの香りを立ててから作れば、魚介の出汁に白ワインが相まって、シンプルな材料だけで十分美味しい。
残ったスープにパスタを入れたかったところ。
パスタの代わりにバケットを浸し、余すことなく平らげた。
しっとり静かに、夜が来た。
いい感じに酔いがまわってきたので、赤ワインタイムへ突入。
生ハムとベーコンのピザ
生ハムをあえて加熱するという、反抗的なレシピ。
トマトソースを塗ったピザ生地に、ブロックベーコンと生ハムを乗せ、チーズとブラックペッパーをたっぷりかける。
生ハムはカルディ、ベーコンはコストコのりんごのベーコン。シンプル故に、信頼できるちょっとええものを使う。
そしてなんと、生の生ハムを上乗せ。
彩りのリーフと粉チーズも散らしちゃえば、お店みたい。
安いワインは、さらさらしていて味が薄い。
でも、それがいい。
子供の頃に飲んだシャンメリーが嬉しかったように、安いワインで幸せを感じるこの時間が、宝物。
さて、メインディッシュのローストポーク、いきますか!
「もう寝るわ」と、母。
たしかに、眠いわ。
お腹いっぱいやわ。
ということで、寝ることにした。
食うも飲むも寝るも、自由。
大人って、楽しい。
新しい朝がきた。
希望の朝だ。
喜びに、鍋の蓋を開く。
一晩放置された豚は、しっとりとして芳しい香りを帯びていた。
パンチあるニンニクの香りに、ローズマリーの上品な華やかさが、鼻腔をくすぐる。
火の通り具合も完璧で、なめらかな断面にうっとり。
ローストポークの半分をうすくスライスし、サラダと一緒に盛り付ける。
醤油、酢、オリーブオイル、にんにくチューブ、ブラックオリーブを混ぜ合わせたドレッシングをかけたら、完成。
肉自体にしっかり味が染みていて、美味しい。
チャーシューとはまた違うオシャレな味の正体は、ローズマリー。
あらゆる植物が死を迎えた私のガーデンで、ビンビン元気に生き残っている、ローズマリー。
家庭菜園を始める方、ローズマリー、かなりおすすめです。
ハッシュドポーク
一度で二度美味しいものが、大好きだ。
奮発して買った巨大な豚肩ロースの塊も、ローストポークだけじゃ終わらせない。
ローストポークの残り半分を食べやすい大きさの角切りにし、スタメン野菜が眠っている鍋に戻す。
水と赤ワインで少し煮込み、「クレアおばさんのハッシュドビーフ」の素を入れる。
ビーフゆうてますけども、今日はポークの方が絶対うまい自信がある。
ポークが柔らかくジューシーで美味しい。
キャンプで食べる皮付きゴロゴロ野菜には、体と心への栄養がたっぷり。
「オークワ」で買った紅茶のクロワッサンも美味しかった。
ぼちぼち、閉店時間です。
天空のオアシス、洞川キャンプ場。
今年もたくさんお世話になります。
龍泉寺の桜が満開で、綺麗だった。
今年は2回も桜が見れて、嬉しい。
テーマを決めて、料理をするのも楽しいな。
キャンプは自然の中で遊ぶ、大人のおままごと。
次はどこで、何を作って食べようかな。
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