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キャンプ日記*薪ストーブと、きりたんぽ


2024年初のキャンプは、和歌山にある休暇村紀州加太へ。
キャンプ場が併設された宿泊施設で、比較的温暖な場所にあるので、冬のキャンプではいつも利用する。


今回は、全然乗り気じゃなかった。
寒いし、準備が超めんどくさい。
冬のキャンプは何かと荷物が多くなるし、防寒対策が必須なので、車の中もダウンジャケットの中もパンパンになる。
母とだらだらやりとりをし、直前になってようやく重い腰を上げて行くことが決まった。
全ては、母がゲットした新たなアイテムを使うため。

実家で母がサンドイッチを作って待ってくれているのは、ありがたい。

今回、とても美味しいパンを持ってきた。
奈良県の山奥にあるパン屋なのでなかなか行けないのだが、運よくネットで購入することができた。
ずっしり重いパンの断面に輝くみずみずしいレーズンが、美しい。


いつも寄る道の駅「みさき」へ。
野菜や果物だけでなく、鮮魚やパン、金魚まで。
道の駅って楽しい。



すごいものを発見してしまった。

和牛まで自販機で購入できる時代なのかと衝撃を受けた。
1分くらい迷った末、好奇心が抑えきれず買ってしまった。
なんか、あんまり美味しくなさそうでショック。


みさきまで来たら、キャンプ場まではもうすぐ。
視界に海が開けた、この光景が好き。




宿泊施設の受付でチェックインをする。
この日は日曜だったので、ロビーは多くの人で賑わっていた。
皆、海をバックに記念撮影していた。


この景色を、温泉から眺めることができる。
キャンプ場も含め宿泊者は、日没のマジックアワーに入浴できる特権がある。
海岸線に沈む夕日を眺め、風を感じながらぼーっと湯船に浸かっていると、良い人間になれそうな気がする。


日が沈むまでに、設営を急ぐ。

今回母が手に入れた新しいアイテムとは・・・

タイトルの通り、薪ストーブ!

「3年前のキャンプを始めた頃は、薪ストーブなんて大袈裟やわと思ってたんやけどなあ。ついに買ってしまったわ」
と、嬉しそうな母。
ちなみにこのテントもコットも収納棚も、全て母のアイテム。
私は最低限のものしか持ってないが、母が意欲的に新たなアイテムを入手し続けるので、その恩恵を受けている。
もはや母に任せている。
次はより大きなテントを買うことを期待している。

火が入った薪ストーブは、かっこいい。


設営後の、ほっと一息。
自作したビスケットサンド。
見た目に反して、美味しい。

今夜のメインは、きりたんぽ鍋。
父の故郷が秋田県なので、我が家では昔から冬になるときりたんぽ鍋を食べるという文化がある。
これは地元の人お墨付きの比内地鶏スープらしい。
このパッケージの雰囲気で、間違いないのが分かる。


のんびりしているとあっという間に日が沈みそうなので、温泉へ。


予報外れの小雨が降り出した。
何度もここに来ているけど、太陽の高さ、雲の厚さ、季節によって、見える景色がいつも少し違う。
柔らかい光に照らされる静かで穏やかな海は、いつまでも眺めていられる。
「命の洗濯」という言葉を思い出す時間。



湯冷めしないうちに、宴を始める。

道の駅で買ったはまちの刺身。
地元のものをキャンプで食べると、三割増しで美味しい。

きりたんぽ鍋の具材は、舞茸、鶏もも肉、白ねぎ、ごぼう。
根っこがついた芹があれば完璧だけど関西ではなかなかないので、三つ葉や春菊を使う。


最初はあっさりしているスープが、鶏・ごぼう・舞茸たちと煮詰まることにより、濃さと深みを増していく。
きりたんぽは煮込みすぎると崩れてしまうので、ちょうど良い頃合いを見極めることが大事。

美味しいきりたんぽは、もっちり弾力があってお米の甘みを感じる。
茶色い食材たちの強く優しい旨みが溶け込んだ出汁と、口の中で解けるきりたんぽの温かさは、まさに雪国の恵み。
寒ささえ、必要不可欠な材料になる。

秋田の日本酒も飲んだ。
海の街で、遠い雪国に思いを馳せる。
愛する場所がたくさんあると、人生が豊かになる。




薪ストーブの近くは、体の芯から燃えるように温かい。
今回は外で使ったけど、テントの天井に穴を空けて煙突を出せば、幕内でも使えるのでかなり温かくなる。
穴を開けるアイテムが必要なようだが、母はすでに持っている。
キャンプブームは過ぎ去ったという噂を小耳に挟んだが、我々のキャンプはアップデートし続けている。


朝は、寒くて起きれない。
寝袋から出ることができないので、朝食の準備をしている母にカメラを託した。


芋虫のようなすっぴん姿も撮られた。やめて。

美味しいパンを食べたいので、頑張って起きる。
コーヒーの香りで、少しずつ覚醒していく。


薪ストーブのモーニングセット、完成。


パンはそのままでも美味しいけど、少しあたためてバターを乗せると、至高の朝になる。
プラーナのパンは芳醇な香りがし、レーズンもじゅわっとしていて、口の中が幸福。

ローストビーフは、意外とやわらかくて、かなり美味しかった。勇気を出して1000円注ぎ込んで良かった。

明るいオレンジの和歌山ネーブルは、すっきりした甘みとほどよい酸味で、かなり好き。



朝からしっかりエネルギーチャージをしないと、撤収が大変。
すべてのギアを解体して収納し、分厚い寝袋を全力で圧縮し、霜で濡れたテントを拭いて乾かし、車に押し込む。
帰宅後もそれらの重い荷物を家に運んで、メンテナンスが必要。

準備から後片付けまで、キャンプって本当にめんどくさい。

なのになぜ、帰り道で次の予約をとっているのか。


めんどくささ、不便さ、冬の寒さを楽しむのが、キャンプ。
四季折々の自然の中で、快適に心地よく過ごせる第二の住処に課金をするのが、キャンプ。
家でも普通に食べられるものを、数倍美味しく食べるためにわざわざ手間暇かけるのが、キャンプ。

それぞれのキャンプスタイルがあるけれど、私にとってのキャンプとは、「自然の中で遊ぶ、大人の巣作りとおままごと」である。
我々のキャンプブームは、多分死ぬまで終わらない。


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