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【名作迷作ザックザク④】伝説のハリウッドホラー映画『シェラ・デ・コブレの幽霊』を観て感じたあれやこれや

結論から言おう・・・・・・・こんにちは。(・∀・)
 職場の近くにチェーン店の『肉汁餃子のダンダダン』が有るのですが、出勤時にその前を通り過ぎるたびにコレを思い出す、O次郎です。

中毒性のある短いフレーズと動きをひたすら繰り返す、というお手本のようなCM。
91年ということですが、コレも金に任せて作られた外タレCMの内の一つですかね。
確か、彼女主演のオリジナルビデオ作品もありました。
CM映像はコチラ

 先週末くらいからTwitter上にて、「アマプラのラインナップにあの『シェラ・デ・コブレの幽霊』が加わってる」と映画好きの間でちょっとした騒ぎになっていたようです。
 個人的にホラー映画は”好きといえば好き”ぐらいの温度感でしたが、”劇場公開が中止された知る人ぞ知るカルト作””日本国内では一度もソフト化されておらず”という付加価値だけでもう興味しんしん丸。米国版Blu-rayは既にリリースされているようでしたのでAmazonでお気に入りリストに入れてましたが、そのままついつい忘れてしまっておりました。
 というわけで、アマプラは視聴可能作品の入れ替わりが他のサブスクサービスと比べてかなり激しい傾向にあるので、さっそく観てみた感想とそれにまつわるあれこれを語ってみたいと思います。
 ホラー映画やカルト映画好きな方はもちろん、諸事情で『シン・ウルトラマン』を観に行くのが次の土曜日になってしまいすっかり感想戦の波に乗り遅れたわたくしの腹いせのようなチョイスに共感・お付き合いいただければこんなに嬉しいことはございません。
 それでは・・・・・・ダッダーン!! ボヨヨン! ボヨヨン!!



Ⅰ. 作品概要

 未公開作品ということで内容に何がしかの問題点があるのかと思いきや、特段問題のありそうな描写は無し。強いて言うなら”幻覚剤による幻視”の場面が幾度が出てきたりするが、俗に言う”封印作品”のカテゴリに入りそうな現代社会通念上ヤバい描写や権利関係の絡みは無さそう。
 よって、光る恐怖演出や出色のどんでん返し展開は有りつつも、全体的に”良く出来た逸品”という具合で、長年幻とされてきた作品に対する期待値からすると至って普通、と言わざるを得ない。もし国内版円盤がリリースされるとして、吹替音源や特典映像諸々付いたとしても一万円以上は躊躇してしまう。
 ただ一方でこうしたカルト作には珍しく、メインキャストは日本でも馴染みのある人がチラホラ居るので、”アッ?!あの俳優さんこんな作品にも出てたのか”的な発見を目当てに観るのが吉かもしれない。

多重露光によるゴースト描写はモノクロの画面と相性抜群。
予算との都合だったのかもしれませんが、着ぐるみや特殊メイクを使わなかったことで結果的に
本作の恐怖表現の大きなユニークネスになったのではないでしょうか。
これは幼少期に観たらえらいこっちゃやで。


 


Ⅱ. キャストあれこれ

・ネルソン・オライオン[心霊調査員] - マーティン=ランドー

経歴の異色ぶりでいうなら、
元SASで保険調査員兼考古学者のどっかの誰かさんとどっちが上やろうか?

 表向きは建築家ながら裏の顔は心霊調査員、という互いの信用度を食い合うような職種を両立させているのがまずスゲー。
 自らのデザインした豪邸に住む容姿端麗な独身貴族で、従えるは家政婦一人のみ。それに加えて仕事上で知り合った美女と付かず離れずの距離感で渡り合う様はブルース=ウェイン、破嵐万丈、ロジャー=スミスみたいな色男ぶりである。
 彼が過去に心霊調査員として挑みつつも現実的な殺人事件と断定し、尚且つ未解決となってしまったシェラ・デ・コブレ村の悲劇が今回の事件に深く関わってくる、というプロットに横溝正史的というか、もっと具体的に言うと『病院坂の首縊りの家』のそれを感じた次第。
 演じるマーティン=ランドーは、なんといってもテレビシリーズの『スパイ大作戦』のローラン=ハンド役が代表作でしょう。自分は再放送だったりDVDレンタルだったりで観ましたが、偉大なるマンネリ展開の中の一つであるラバーマスクでの変装をビロ~ンと脱ぐシーンは本邦特撮の『少年探偵団BD7』の団時朗さんさながらでなかなかに楽しかったです。

基本は敵地に乗り込んでモノを盗み出す展開でしたが、
たまに箸休め番外編的な、オバケの出るホラー作品も有りましたね。
他で個人的に思い出深い作品。
正体不明の戦闘機から発射されたミサイルの誤認があわや米ソ核戦争を招く
テレフィーチャー作品の佳作。
マーティン=ランドーは究極の判断を迫られる米国大統領役でした。


・ヴィヴィア・マンドール夫人 - ダイアン・ベイカー

夫とのツーショットよりも主人公と相対する姿の方が強調されていました。
最終的に自らの罪を認めて己を”罰した”のは、夫に対する愛ゆえだったのかそれとも…。

 盲目の資産家ヘンリーを夫に持つ、美しきキャリアウーマン。
 作中、主人公よりも彼女のアップのシーンがやたらと多く、彼女の秘められた過去とそこから来る罪の意識が作品の核となっており、その美貌からするとヒロインというアイコンながら実際はさにあらず。
 ネルソンはあくまで物語を進めるための狂言回しに過ぎず、殺人事件も幽霊騒ぎも結局は彼女が始末をつけることになります。
 若い頃からヒロインの友人や近年では主人公の母親役等、脇を固める倍プレイヤー的な女優さんのようです。

本作が本国公開されるはずだった1964年の公開作品。
こちらも日本では未ソフト化ながらスラッシャーの快作ゆえ、
ぜひともアマプラにひょっこりラインナップで加わってください!!


・ポーリナ[家政婦] - ジュディス・アンダーソン

画面にヌ~っと現れるだけで血の気の引くこの圧力。
アレ?このビジュアルどっかで….と思いきや

 マンドール家の謎多き新任家政婦。マンドール夫人が表のキーマンなら彼女が裏のキーマン。”諸悪の根源”という言葉がピッタリな人物。
 ジョーン=クロフォードやベティ=デイヴィスのように、本来は美人ながらそのアクの強さで歳を経てからは悪女がすっかり板についたパターン。
 本作より二十年以上前の『レベッカ』のダンヴァース夫人役の時点で既に堂々たる貫禄だったが、本作ではセリフはそう多くないもののそれが却って不気味さを際立たせているのが白眉。


ヒッチコック監督の『レベッカ』のダンヴァース夫人やないか~!
ど~こで~ こ~われ~た~の オ~フレーンズ♪



Ⅲ. ネタバレ極力避けて内容を語ると…

 一言で言うと、「木乃伊取りが木乃伊になる」みたいなお話。
 円谷特撮TVシリーズの『怪奇大作戦』のエピソードの中に「死者がささやく」ってエピソードが有りました。
 伊豆に旅行にやってきた新婚夫婦が海岸で偶然に死体を発見するが、夫がその死体の男の声の幻聴に悩まされるようになり、しかも容疑者にされたことも相俟って精神的に追い詰められていく、というお話。
 トリックが少々稚拙なうえに展開が性急で、極め付けに良心の呵責から自死した犯人の内面描写が希薄だったので、名編が多いとされる同作の中でも評判の芳しくない一遍でしたが、これとプロットの近い『シェラ・デ・コブレの幽霊』はさながらその完全版として楽しめたように個人的には思います。

やみを きりさく あやし~いぃひ~め~い♪
「かまいたち」と「果てしなき暴走」が特にお気に入りです。



Ⅳ. 終わりに

 ちなみに本作、関西ローカルのABCテレビ制作の『探偵!ナイトスクープ』でも調査題材として採り上げられたことがあるようですね。

”上岡局長時代が好きだった”と言うと通ぶれます。
関西出身ながら、テイストが似ている「投稿!特ホウ王国」は記憶にあるのに
ナイトスクープは何故か幼少期に観ていた記憶が無いわたし。

 結局、依頼主には本作を観てもらうことは出来なかったようで、未解決依頼として有名な”謎のビニールひも”や、十年ほど前の放送で有った夜間に山中で光っている建物?の依頼だったり、解決しなかったエピソードって結構有るのかも。

 とまぁさておき、ウワサのカルト映画『シェラ・デ・コブレの幽霊』、90分ほどの作品でわりかしサラッと観られるし、後味悪い結末でもないので、アマプラ配信が終了する前に観ておいて損は無いと思います。

 そんなこんなで、シントラマンは公開週をものの見事に逃してしまいましたが、最新公開映画は極力アツアツの内に記事を書こうと当たり前のことを肝に銘じた次第です。今日はこのあたりで。
 それでは、どうぞよしなに。



 


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