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僕が音楽制作をマネタイズしたい理由


音楽でマネタイズしたい理由

僕は2019年に初めて自分名義でアルバムを配信リリースし、そこでDTMでの音楽制作を始めて、その後2022年頃から本格的に音楽を作ることで他の方からお金をいただく、という「仕事」にしました。

僕が何故音楽制作をマネタイズしようと思ったかというと、「自分の音楽の価値を証明したいから」です。

音楽の価値って何で測られるんでしょう?

聴かれた回数?SNSの数字?配信報酬?誰かからの心温まる嬉しいコメント?コンテストで表彰されること?メジャーレーベルと契約が取れること?本人が「いい演奏できた」と満足すること?

あえて言うと、客観的な評価指標は「経済効果があったか」、これに尽きると思います。

売れるもの=社会へ価値をもたらしたもの

資本主義に基づいた自由経済社会である以上、モノの価値や成功は、経済的に効果をもたらしたか、つまり売り物として売れたか、になると思います。

この考えには色々反論もあると思います。しかし、世の中には音楽のことをよく理解している人ばかりではないので、そういった人に、自分の音楽がどのくらい影響力あるか、は、最終的に「音楽がお金になってるかどうか」しか、明確に示せるものはないと思います。

お金になる、ということはその音楽を通じてお金が動いた、ということで、お金の動きの線上にいる人達(例えば、音楽出版社、制作会社、その曲を買い取ったクライアント、とか)にとって価値をもたらします。
さらに、その線上にいる人達が得たお金を別のことに使ってまた別の線でお金を動かします。

こうして社会は経済が回ってみんなが豊かになるのです。だから、売れる、ということは他の人を幸せにできる可能性がある、という意味で価値が証明されるということです。

だから、売上という指標を見てる

なので僕は、音楽なんて何も分からない一般人相手にでも「ochiは音楽家で、ちゃんと音楽やってる人」ということを証明したい、「お遊びでやってるんじゃなくてちゃんと求められて音楽作ってる」と認識してもらいたい、「自分の音楽が役に立ったことを理解してもらいたい」と思って、

自分の音楽活動の中で生まれる「売上」という指標を毎月追っています。

また、対価が発生するということはそこに責任が生まれる、ということでもあるので、「人から要求されたことに対して責任を持って出した」という意味も、収益には込められていると思います。

売れる=良い音楽?

誤解しないでほしいのは「売れる=良い音楽」と言ってるわけじゃないということです。

「良い音楽」というのは単にその曲を聴いた人から「ぼかあこの曲好きだなあ」と言われてる、というだけの意味で、その「好きだなあ」が多く集まってる曲が名曲とかスタンダードとか言われるようになってるだけで、売れたかどうか、とは全然別ものです。つまり、主観的な評価だから、それを基準に議論してもしょうがないよね、ということです。

(例えば僕はボカロ曲、初めて聴いた時から全然良いと思えなくて、和楽器バンドが生演奏再現したバージョンの方がカッコいいなと思ったくらいなんですけど、ボカロ好きな熱狂的ファンって10年以上の長きに渡って今も昔もめちゃくちゃたくさんいて、そういう人達を中心に精神的にも経済的にも価値がありますよね。そういうことです。)

※ボカロをディスってないですよ、僕には良さが分からないから全然聴かないけど他の人にはそうじゃないっていう例を出しただけです

とはいえ、やりたくないことはやりたくない

じゃ売上大事です、とはいうものの、「お金になるならなんでもやるんですよね?価値があるって訳だから」と言われそうですが、僕はそれに対してもNOで、

「お金につながる前提で、自分がそれをやる意味あるのか?」ということは常に気にしています。

経済活動である以上、お互いがWin-Winであることが理想。だから、依頼主も僕も満足する内容でなければ最終的に意味がないと思っています。

昔、ある仕事でプロの声優さんを起用して短いアニメ作る、ということをやったんですが、その時のプロの声優という方がそれなりに大手な事務所にいる声優さんで、依頼するにあたってまず事務所にプレゼンしないといけないんですが、その時に「なぜその声優を指名するか教えてください」と言われたことがありました。

その声優さんは当時若手の部類で、仕事選ばずにひたすらチャンス掴みにいくフェーズかなと勝手に思ってたら、「他にも代わりはたくさんいる中で、その人でないといけないという理由がないと受ける意味がない」という説明があり、そんな風に「自分がやる理由」をしっかり捉えて取り組んでいる、という姿勢を見て、すごく影響を受けました。

自分がやる意義を、自分で理解しているか

実際に、(自分にとっては)そこそこ良い金額を提示された企業からの制作案件があって、全然知らないジャンルを求められたし、実績公開はできないゴースト仕事で、リファレンスをほぼ丸パクリしてくれというような「それほぼ作業じゃん」という性質の依頼で、自分がやる理由何一つなかったんですが、「まあ、企業案件だし…お金になるし…」と思って受けたことがあります。

でも、作ってる時は地獄のような気分だったし、何度も修正を受けるし、納品後も正直聴き返したくない、非公開案件だったからよかったものの自分がやったことにしないでほしい、と思うような結果になったことがあります。

この時から「自分がやる意義はあるのか?」ということを強く意識するようになりました。

なので、今は指名された仕事なら100%対応しますし(特に自分の曲聴いて良いなと思ってもらってからの依頼だった場合は嬉しいから絶対)、

コンペ的な、他に候補者がいるものであれば、「それをやる理由はあるのか?(音楽性が自分の得意分野だから貢献できる?など)」をものすごく考え、

「誰でもいいけどなんか良さげだったんでやってください」という雰囲気で来た依頼は、何かしら理由つけて断るようにしてます。

「お金を稼ぐのは前提、その上で、自分はその稼ぎ方に納得できるのか?」ということを気にしてます。

それじゃ儲からないでしょ、と言われそうと思いますが、僕は結果だけを求めてないので、無問題です。後から聴き返して恥ずかしくなるギャラ5万円の仕事より、振り返ってみてやったことにプライドが持てるギャラ1万円の仕事の方が欲しいです。

売上としてカウントしてるもの

僕が売上として見ているのは、まずは、制作依頼を受けて買い取られた時の収益。これはシンプルな売買なんでわかりやすいです。

あとは、Audiostockなどでの毎月の分配報酬、ライブラリーミュージックに出した作品の印税も売上として扱ってます。

それから、一応自分のソロ作品の配信での収益も見てますが、配信はプロモーションの一環と思ってここを伸ばそう、ということはあんまり考えてないです。

ちなみに、Epic Vanguardだけは別で、これは「自分がやりたい音楽をやりたいようにやる」という個人活動で、「やりたいことの実験の場」なので、今のところSound CloudとYouTubeだけで公開していて特にマネタイズはしていません。(そのうち良い作品できたら配信にかけようとは思ってるけど)

目標売上は、今のところ「去年1年間の音楽活動での総売上を1円以上超える」という年間目標でやっており、今年も何とか達成が現実的に見えつつあります。

こうやって売上として定量的に見えると、改善策が出せるようになります。

売上=単価×案件数なので、例えば、買取が単価として特に大きい比率を占めているなら買取を増やそう、そうしたら案件数を増やさないといけない、案件数増やすためにどんな行動をどのくらいやる?
もしくは、単価を上げるにはどんなことが必要?

のような、具体的な行動に落とせるので、売上のような定量的で、要素分解できるものを目標に置くのは良いです。

僕はSNSのフォロワーも少ないし、曲出しても誰かから熱いメッセージもらったりすることはほぼないですが、その代わり収益額として如実に返ってくるのでそこでモチベーション感じられるから、無理してSNSウケを狙ったりも考えないです。

実際にやった例としてAudiostockでのケースで、曲ごとに試聴回数と収益額を毎月拾ってるんですが、収益額を試聴回数で割って1回の試聴回数に対しての収益額を算出したところ、少ない試聴回数で多く売上が立ってる曲があり、これはつまりその曲にニーズがある、ということだと理解して同じような雰囲気、ジャンルの曲を別に新しく作ったり、

他にも、特に売れている曲があったらその曲と同じ世界観、テーマ性の違う場面のものを新たに作って出して説明文にリンクをつけたりしました。一番売上貢献した施策はこのへんでした。

「周囲のニーズ」と「自分のやりたいこと」の最大公約数が自分にとっての仕事

つまり、

  • 音楽でお金を稼ぎたい。人に求められて使ってもらって、または楽しんでもらって、その上での対価としてお金をもらいたい

  • とはいえ、自分のやりたいことを捻じ曲げて、売れるものなら何でもやる、というやり方は自分のためにならないからしたくない

  • 「求められているもの」「自分がやりたいこと」この2つの間の最大公約数を探して、少しずつだったとしても着実に売上を積み上げる

というのが、音楽でお金を稼ぐことに対しての僕の考え方です。

そしてその結果、「音楽を真摯にやってきてよかった」と思えるようになるだろう、という考えの元、毎日あれこれ考えてます。

多分、ここまで読んでもらって「うわ〜疲れそう…」って思われる人もいると思うんですが、僕はバンド時代からこういう考え方を持ってやっていて、なかなか周りに理解してもらえずほとんど稼げないまま中途半端な活動で終わった経験があるので、このくらいのことは考えてないと張り合い持てないタイプの人間なんだなと思っています。

音楽で年収1億!なんて非現実的なプランはまっぴらだけど、かといって音楽をやればやるほどお金が出ていって続けるのがしんどいというのも嫌なのです。

僕は今のところ、音楽制作をやるようになって、その年に買った機材やプラグインの購入費や月額費用はその年の売上から出せているので、とりあえず音楽やればやるほどジリ貧という状態ではなくなってきています。

自分が音楽を作って相手もハッピー、自分もハッピー、たまたま聴いてくれた人もハッピーという状態を目指して、音楽活動をやっていきたいものです。

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