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日本史論述ポイント集・文化①

今回から文化史に入っていきますので、まずは、論述において問われること、捉え方・学び方などについてお話ししたいと思います。

最初(古代①)に述べたとおり、人名や年号などの知識の多寡を問いたいのであれば、論述形式で出題する必要はありません。単答問題や正誤問題では問えないもの、一つ一つの史実を意味づけ、背景や結果を踏まえて筋道立てて説明する力を、論述問題で試しているわけです。

ですから、文化史の論述問題でも、文物の名前などをたくさん書いたところで、評価は得られません。文化を体系的に理解しているか、そこが問われます。

とりわけ押さえてほしいのは、次の2点です。

1-その時代の文化の特徴

2-そのような文化が生み出された背景

1は、私がこれまで〈しくみ〉と呼んできたことと関わります。ある作品や作者は突然変異のように現れるわけではありません。一つの時代の〈しくみ〉のなかで生み出されます。そこに現れる特徴を捉えてほしいのです。

たとえば、7世紀後半の白鳳文化は、清新で若々しい文化と評されます。その特徴がよく現れているのが、白鳳文化を代表する美術作品である、興福寺仏頭です。丸々とした童顔は、まさに「若々しい」でしょう。このようにして、これまでと同様、一つ一つに文物をその時代の特徴によって〈意味づけ〉をしてください。

また、特徴を理解するうえで、その文化の担い手を押さえることが肝心です。担い手によって文化の特徴が決まると言っても過言ではないですから。

たとえば、古代の文化は貴族が担い手ですが、中世になると、武士や民衆が新たな担い手として登場します。そうやって、文化にも新しい風が吹き込まれるわけです。

また、日本文化の基調には仏教がありますが、受容した階層によって性格が変化していきます。平安時代の密教は貴族の期待に応えたものであり、鎌倉時代の新仏教は武士と民衆が求めたものでした。

文化の特徴を見る際、まず担い手を押さえるという習慣をつけましょう。

次に2の背景ですが、これは、政治・社会・経済・対外関係など多岐にわたります。

先ほど例として挙げた白鳳文化ですが、「清新で若々しい文化」が生み出された背景には、7世紀後半は中央集権国家の形成に向かう時期であったことが指摘できます。また、中国の唐も建国して間もなく、初唐文化の影響を受けました。国家としても発展途上、だから、文化も若々しさに溢れたのです。

日本文化は大陸の文化の影響を受けて成立しましたので、特に古代の文化では対外関係を背景に押さえることが大切です。一方で、中世以降の文化では経済的・社会的な背景が大きくなっていきますので注意してください。

それでは、こうした点に留意して、古代の文化から学習を始めましょう。


文化①・古代の文化

Q1 飛鳥仏教の特徴は?

A1
①外来の神として、在来の神の信仰と習合する形で受容された。
②教義研究は未発達で、戦勝や病気平癒を祈願するなど呪術的な性格が強かった。
③豪族が氏寺を建立し、古墳に代わる権威の象徴とした。


Q2 飛鳥文化の性格は?

A2
①日本初の仏教文化が開花した。
②朝鮮半島から渡来人を経由して、間接的に中国の南北朝文化の影響を受けた。(仏像の北魏様式・南梁様式)
③シルクロードをつたって、西アジアやギリシアの文化にもつながる特徴をもった。(忍冬唐草文様)


Q3 白鳳文化の性格は?

A3 
①初唐文化の影響を受けた、律令国家形成期の清新で若々しい文化が成立した。
②仏教は、天武天皇によって推進されたこともあり、地方にも広がるとともに、国家仏教化が進んだ。(官寺の制・護国三部経)


Q4 奈良仏教の特徴は?

A4
①国家仏教が確立し、寺院や僧侶は朝廷の保護を受ける一方、統制下にも置かれ、僧尼令によって民衆への布教は禁止された。
②政争が相次ぎ、疫病もたびたび発生する中で、聖武天皇は仏教の力で国家の安泰を図る鎮護国家思想に基づき、国分寺建立・大仏造立を企図した。
③教義研究が進み、南都六宗と呼ばれる学派が形成された。


Q5 天平文化の性格は?

A5

①中央集権体制の確立によって都に集まった富を背景に、高度な貴族文化が栄えた。

②盛唐文化の影響を受け、西アジア・南アジアとのつながりも見られる、国際色豊かな文化であった。(螺鈿紫檀五絃琵琶など)

③この国の由来や支配の正統性を示すため、国史(『古事記』『日本書紀』)や地誌(『風土記』)が編纂された。

④仏教が朝廷の保護を受けて発達した。



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