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日本史論述ポイント集・文化④

今回は。近世の文化について見ていきます。

〈担い手〉という観点から近世の文化を概観すると、京都→大坂→江戸とその中心が移動していきます。

16世紀後半に開花した安土・桃山文化は、大名・豪商を担い手とした豪華で壮大な文化でしたが、17世紀の寛永期の文化では、それが京都の上層町衆に受け継がれ、洗練されていきます。

その特色は、俵屋宗達の「風神雷神図屛風」のような装飾画にうかがえるでしょう。また、多方面で才能を発揮した本阿弥光悦も、宗達と同じく京都の上層町衆出身です。

続く17世紀後半の元禄文化は、上方とりわけ大坂の新興町人を担い手として成立しました。その背景には、全国流通網が完成し、大坂が各地の産品の集積する流通の拠点となったことが指摘できます。

この世を謳歌する上方町人を担い手とした元禄文化には、現世を「浮き世」と肯定する意識が反映されました。世相や風俗を生き生きと描いた井原西鶴の浮世草子や、義理と人情の板挟みとなる町人の苦悩を描いた近松門左衛門の戯曲に、その特徴を見ることができます。

近世後期の文化は、最近では、18世紀後半の宝暦・天明期の文化と、19世紀前半の化政文化に分けて捉えられています。

宝暦・天明期の文化は、江戸地廻りの発達などにより経済の中心が大坂から江戸にシフトしたことに対応して、江戸の町人を担い手として生まれました。その特徴は、「粋」「通」という独特の美的感覚で表されます。山東京伝の洒落本や恋川春町の黄表紙が典型的な例です。

一方、化政文化は、江戸に流入した下層民を担い手として開花したため、退廃的・享楽的傾向が見られました。「粋」に対して「野暮」と評されることもあります。十返舎一九や式亭三馬の滑稽本が、貸本屋を通じて町人らの楽しみとされました。

このように、文化の中心と担い手の変化に着目すると、それぞれの文化の特徴と背景がよく理解できるでしょう。

なお、学問の発達については、以下のポイント集を参考にしてください。


文化④・近世の文化


Q1 桃山文化の特色は?

A1
①自立的な権力を握った大名や、貿易で利を得た豪商を担い手とする、豪華で壮大な文化が開花した。
②信長・秀吉の宗教政策の影響で、仏教色が弱まった。


Q2 元禄文化の特色は?

A2
①経済の発達を背景に、全国流通網の中心となった上方(大坂・江戸)の町人を担い手とする文化が開花した。
②この世を「浮き世」と肯定して町人の姿を写実的に描き出す文芸が発達した。(井原西鶴・近松門左衛門・松尾芭蕉)
③幕藩体制を支える教学となった朱子学を中心に儒学が発達するとともに、その影響を受けて合理的・実証的な学問も発達した。


Q3 化政文化の特色は?

A3
①江戸地廻りの発達を背景に、江戸に流入した下層民をも担い手とした文化が開花した。
②退廃的・享楽的で、現実批判の精神があった。(浮世絵・狂歌など)
③貸本屋を通じて文芸が下層民の娯楽となるとともに、交通網・流通網の発達により各地の豪農もそうした江戸の文化を享受した。


Q4 石門心学はどのような教えか?また、どのような背景から生まれたか?

A4
①元禄期には貨幣経済が発達し、全国流通網を担う上方の町人は社会的な力を持ち始めていたが、営利活動を卑賎視する風潮は依然としてあった。
②こうした中で、18世紀前半に京都に現れた石田梅岩は、儒学・教・神道を打って一丸する形で「正直・倹約」を旨とする町人道徳を説き、営利活動の正当性を主張しようとした。


Q5 尊王論はどのように変容したか?

A5
①尊王論ははじめ、朱子学の大義名分論を基礎として、幕藩体制において天皇を尊ぶ思想として主張された。
②18世紀半ばには、幕藩体制が動揺する中で宝暦事件・明和事件などが引き起こされたが、朝廷(天皇)を尊ぶことで幕府(将軍)の権威高揚を図るという主張に変わりはなかった。
③19世紀前半になると、国学者の平田篤胤が唱えた復古神道が各地の豪農・神職に浸透するとともに、水戸学でも藤田東湖・会沢安らが出て、幕末の尊王攘夷運動に影響を与えた。


Q6 江戸時代における洋学研究の特徴は?

A6
①シーボルト事件や蛮社の獄で幕府から弾圧を受けた影響もあり、政治運動に直接結びつくことはなく、医学・地理学などの実学を中心に発達した。
②佐久間象山が「東洋の道徳、西洋の芸術」を説くなど、西洋文明の受容は科学技術の側面に限定されるものと考えられていた。

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『東大のディープな日本史』著者

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