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9月が終われば、10月がやってくるらしい

9月が終われば、10月がやってくるらしい。そう聞いていたし、今まで20年と少し生きてきて、9月の後に6月や11月がやってきたことは1度たりともないから、そう信じていた。案の定、9月が終わると10月になり、気温は涼しく、というか肌寒くなり(ハリウッド・ザコシショウの「はだざみぃでございまさぁねぇ~」を思い出す季節だ)、すっかりと秋らしくなって、ぼくは長袖の装いをするようになった。

さて、9月はてんやわんやだった。残り3ヶ月と期限が差し迫った車の免許の試験を受けるために広島に帰ったはずが、土日であったため結局免許の試験を受けることなく京都へ戻ってきた。以前は卒業認定証を京都に忘れてしまうし、そもそも免許の試験は合格ラインが高くて難しいし、免許を取得するというのは非常に難儀なことだ。町で車を運転している多くの人は、卒業認定証を忘れたり、免許センターに門前払いをくらったり、幾度も不合格を味わったり、きっといろいろ大変な思いを乗り越えて車を運転しているのだと思うと、心から尊敬できる。

前期の成績が発表された。卒業まで残り14単位必要で、14単位分の授業をとっていたのだけれど、法律の授業よりも楽しいことばかりしていたら、結局単位をひとつも取れなかった。秋学期はきっとできるだけ頑張るんだと心に誓い、24単位分、最大限の授業を履修した。数を打って当てる作戦だ。

来年の春からの進路を決めた(上の理由であえて「卒業後」と言うのは控える)。地元の広島に戻り、ミニシアターで働くことに決めた。実際に自分が映画館に立ってなにをするかはわからないし、それでどれだけのお金を稼ぐことができるのか、自分はいくらもらえてちゃんと生活できるのか、とても不安で怖いけれど、大好きで尊敬できる人たちと一緒におもしろいことをするなんて、「若いうちしかできないでしょ~広島でひと旗あげて京都へ帰ってくるさ~」と思ったからぼくは覚悟を決めた。いろんな人に心配してもらい、いろんな人に背中を押してもらい、数日間悩みに悩み抜いて覚悟を決めた。

たくさんバイトをした。3日に2日は働いていた。ぼくはやりたいことはなんでも「やりたい」という癖があって、それはいつしか自分のキャパシティを超えてしまう。そうして願望に能力が追いつかなくなって、それでぼくはてんやわんやになってしまった。だから映画もなかなか見れなかったし、本も思うように読めなかったし、noteの更新も疎かにしてしまった。

そしてぼくは22歳になった。21歳から22歳になるというのはどうでもいいようで全くどうでも良くない。21歳と22歳はなにが違うのか、ぼくはまだ22歳を数日しか経験していないから全くわからないけれど、きっと何かが違うだろう。映画『逆光』に夢中になったり、それで自費出版の本を作ったり、新しいバイトを始めたり、本屋で店番をするようになったり、夜のかもカフェのカウンターで酒を飲むようになったり、21歳は新しい可能性が大きく生まれた1年であった。だから、その可能性たちを丁寧かつ豪快に育てるため、覚悟と飛躍の22歳にしようと決心したから、10月からもどうぞよろしく。

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