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スピンオフ!江古田観測24(ニッシ)Vol.24 トマソン…えこだ的なるもの

ワタクシの源流

 本シリーズも24回目を迎え、日誌と「24」ゴロ合わせてみた。そして「シリーズ1」として、このあたりで一度締めくくろうって魂胆である。
 さて、自分の興味や志向が一貫して、路上観察的だなということには気づいていた。昨年『現代思想』で特集が組まれたり、本が出たりして、再ブームの「考現学」今和次郎先生は、母校で教鞭もとられていてご縁を感じる。…であるからに勝手にこの考現学~路上観察の系譜に自分はいるんだ!とほのかに思っていた。

行きあたったトマソン

 そんでもってたまたまここにきて『超芸術トマソン』をある方に推薦いただいたので、この機会に読んでみた。なんとなく知っていたものの、その定義に初めて触れた。

不動産に付着していて美しく保存されている無用の長物
                   『超芸術 トマソン』赤瀬川原平

たとえばトマソン第1号として認定されているのが「昇った先に何もない、純粋に昇り降りするだけの階段、絶対純粋階段」☟といわれるコレです。

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前掲書より「トマソン第1号。四谷階段。もしくは純粋階段」

「トマソン」ビギナーの皆さんもつかめてきたでしょうか?
 そして本当に本当に意図せず、トマソン第2号が江古田ということをこの度、知ったのです。問題の江古田案件はこちらです!ドンッ!

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下に栄えある「トマソン第2号。幻の江古田駅無用窓口」とある

この「モンダイの曲線」部分が、長年の摩擦により大理石にゆるやかな窪みができている。それをふさぐ「ベニヤ板の下部はその曲線に合わせてピタリと糸ノコで切り取られていて、そこにピタリと隙間なく接しているのです」その発見を、氏は「何か確実に未知なものをつかんだのです。(中略)ただの使用中止の窓口が、ただ一枚の綿密なベニヤ板の曲線によって(中略)超芸術になってるのです」と表現しています。なーるほどーーーーーー。ほんっとこの観察力!!!!観測日誌部員として敬礼であります!そして、このトマソン第2号が江古田にあったというシンクロニシティ!これは、江古田から「トマソン」的なるものを発信せよという啓示である。もしくは私が江古田を選んだのではなく、江古田に私は選ばれたのだ…位の勘違いは朝メシ前です。
※なお、1985年初版の本です。木造駅舎の頃でしょう。

令和のトマソン、えこだ的なるものをたずねて

 そいじゃあ、いったい令和時代の「トマソン」ってなんであろう?と思いめぐらせたわけです。これまでの23回の日誌も少なからずそのような視点があったような気がします。厳密には「不動産に付着して」という定義にあてはまらないまでも…。そこで、点が線になった瞬間がありました。💡ヒラメキです。
 それがこちらです☟。なぜに路上に浴槽?しかも二つ??そしてその上の植栽???では盆栽ならぬ「バス(BATH)盆」????(©昭和期に資生堂から『バスボン』という商品が発売されていました)「バス盆・第1号」としておきましょうか…これは江古田徒歩圏内にあります。

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「バス(BATH)盆」と『バスボン』

これだけだと弱い…のは分かっているのです。なので点が線になった瞬間がこれです☟

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『バス盆・第2号』→まさかの職質?!

どうです?この見事な浴槽っぷり。間違えて植えたなんて言い訳は通じませんね。「植えよう」という強い意志をかんじます(そして何の木?気になる木)。そこに浴槽があったから…?そこに浴槽がある限り…?この「浴槽×植栽」が繰り広げられるのであろうか…。残念ながらこれは、江古田ではありません。都内を散歩しているときに偶然みつけ(1週間前の話)ハタとひらめきました。
 余談ですが、この写真を撮った直後、おまわりさん二名に声をかけられました。「まさか職質?!!!!!!」。こんなものを写真におさめる自分に「うしろめたさ」があったためドッキリしました。…が!なんのことはない、さしていた折り畳み傘のカバーを落として拾ってくれたのでした…ホッ。つかツマラナイオチですみません。しかし、この「うしろめたさ」はナゼでしょう?その前に信号無視して横断歩道渡ったりしてたから?おまわりさんにいつ何時声をかけられても、うしろめたさのない自分でいたいものです…。

 いやあ、それにしてもすごいよな浴槽。…と思ったらやはり同じように考える方はいて、このような本が出ていました。表紙…かわいいですね。

キャプチャ

住宅の建替えやリフォームにより造り付けの浴槽がユニットバスに変更され不要となり、浴槽の特性である高い機能性・耐久性・耐候性を生かしながら屋外で捨てられるように再利用され続けています。
私は日本各地で見受けられ・見過ごされているこの存在に着目して、2009年より撮影を進めてきました。
                  『浴槽というモノリス』牧ヒデアキ

やっぱり何でも10年位はつづけないとかな~。ってあいまいに茶を濁しましたが、いかんせん、THE江古田な立地でこの「バス盆」を見つけられていないのです。いや、確かにあった気がするのだが…という場所に撮影にいったところ、違うものでした。または撤去されたのか。白昼夢?でもどこかにぜったいありそうな気がする。だってとっても「えこだ的」だもの…。それこそ我が家の100m圏内でさえ「あの角も、この角も曲がったことがない」とこばかりで、これからも虎視眈々と(言葉が違っていそうだが)狙いを定めて江古田を徘徊、いや観測しようと思っています。

で、いつも通り?タイトルと内容が異なっている冒頭写真です。はじめて江古田をフィールドワークした際に、気になって撮った「空につづく階段」(@そば屋)です。単に屋上につづくだけなので「純粋階段」でも「トマソン」でもないんですけどね。いつか、このそば屋さんを取材して昇ってみたいものです。ここからは江古田の町をほどよく一望できそうです。町なかで周りに高い建物ないからね。

というわけで4月の緊急事態宣言からここまで段階的にテレワーク→出勤体制になってきてこの10月からはより出勤増の勤務体制になったので、ここらで、この「スピンオフ!江古田観測日誌・シリーズ1」を終わりにしようと思います。シリーズ2があるかは分からないけれど。
 今後は、「一人暮らしのOL」視点で何かを綴っていけたらと思います。クオリティは求めずアウトプットするのだ(トマソン的視点でネ☆)!いや、もはやオフィス不要、レディーもジェンダーレスにあって危うい「OL」の風前の灯火記なのである…あ、また大仰な前口上できたよ!では次回はこの前口上からはじめまよっと。ほな、さいなら。

表:書いたもので「恥ずかしさの先頭に立つ!」 裏:読んだあとに「なんとはなしにおしゃべりしたりお散歩したくなるような…」そんな”かの地”まで帆走おねがいします。