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『ケーキの切れない非行少年たち』

新潮新書
宮口幸治 著

この本を読むきっかけは「武田鉄矢・今朝の三枚おろし」で、武田鉄矢さんの紹介する本はとても魅力的で、どれも読みたくなってしまいます。
特にこの本はぜひ読みたいと思っていた一冊です。

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今回の本は、非常に衝撃的で考えさせられる内容でした。

上記の絵は、非行少年たちに「ケーキを三人(五人)で食べます、平等に分けてください」と課題を出したところ、彼らはこのように切り分けたらしい。

「なぜこんなことも分からないのだ」、「こんなことは誰でも出来る」が、私の正直な感想でした。

しかし、現実には平等に分ける作業は言語、空間認知など、ある程度高度な脳の働きが必要で、このような相手の言っていることの理解、図形的な空間把握能力、判断、想像力等を認知機能と呼ばれ、これら認知機能の欠如した人は大勢いるようです。

自分の認知機能を基準にして相手と会話していると、認知機能が劣っている相手に対して「どうして分からないのか」と思ってしまう。
会社の作業内容を何度説明しても理解してもらえず強く言ってしまい、最終的に相手は「はい、分かりました」となるが、実際に作業をさせてみると、全く理解していない場合を経験したことがある。これも相手が私の言葉を理解していないので何を言っているのか分からなかったのだろう。
また、機械系のエンジニアだったため、図面を読む能力は必須なのだが、なかには図面を読めない人もある程度いた。

これこそ、トレーニングが必要で、頭の中で2次元の図面を3次元の物体に想像する能力を繰り返し訓練しなければならない。

このように、身近にもいわゆる「頭の悪い」同僚や後輩は沢山いた。

彼らにも著者が推奨していた「朝礼前の5分トレーニング」を行うことで認知機能を育てられたかもしれない。

著者は精神科医で、少年院の法務技官として少年たちを見てきたそうです。
著者が少年院ではじめて凶悪犯罪(殺人など)を犯した少年に恐る恐る面会し、自分はどんな人間か聞くと「僕は優しい人間です」と答えたといいます。キレやすく、褒められると調子に乗り、疑心暗鬼ですれ違っただけで「あいつは俺のことを憎んでいる」などと言い出す。

彼らは認知機能の低さが原因で他人の言っている言葉が理解できない、分からない、そんな子供たちが学校で落ちこぼれて教師に怒られ、友人からイジメられ、なぜ怒られるか理解できず、黙ってニヤニヤしているだけ、ちょっと褒められると調子に乗って、認知機能が低いからストレスと発散することができずキレやすく、仲間になるのは同じような認知機能の低い、ちょっと悪い奴らだけ。
そして結果的に悪事に手を染め少年院から刑務所に行くことになるのです。

ここで、先日読んだ「腸」に関する書物の中に、腸内細菌がいないマウスの実験で、腸内細菌のいるマウスに比べて非常に攻撃的になるとの記述がありました。
この攻撃性は認知機能の低下が原因なのではないでしょうか。

また、もともと胎児には腸内細菌がなく、子宮を通った時に母体の腸内細菌を子宮の出口で胎児の口に付着させその細菌を胎児の腸に移すのだそうです。
腸の神経細胞が脳を作ったと推測されているので、脳の発達は乳・幼児期の食環境が腸内環境を左右するのではないかと考えてしまいます。

子供たちは「助けて」のサインを小学2年生から出し始めるそうです。
私にも孫が3人いて彼や彼女たちがそのサインを出し始めたときに気付いてあげられるように、注意して見守ってあげたいと思っています。

あまりに興奮して何を書いているのかわからない文章になってしまいましたが、気持ちが先行してしまっています。
すいません。

興味を持った方は、ぜひ、この本を読んでください。

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