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甲子園がすべてじゃない

僕の甥っ子はバファローズの山下舜平大やドラゴンズの高橋宏斗と同学年。ベイスターズには牧の次に3位指名された地元出身の松本隆之介がいる。
そして高校時代は彼らと同じ属性、つまり、野球部の背番号1だった。

とはいえ、夢は甲子園、なんて言ったら爺ちゃんに大笑いされる無茶な話。神奈川県の無名の公立高校の野球部だから。
横浜高校だった松本投手とも、もちろん面識はないらしい。

2020年、夏の甲子園が中止になって、彼にとってラストだった最後の県大会が中止になった際は、彼の母親は、速攻で僕にラインでグチを送ってくるほど、悔しがっていたけれど、センバツも中止だったし、まあ仕方ないよね、野球部だけじゃないし。なんて、本人に会ったときはケロッとしていた。開催経緯や出場資格は認知していないのだが、代替で開催された縮小トーナメントにも彼の高校は出場はかなわなかった。

当時の山下投手や高橋投手の心境はわからないが、悔しさは僕の甥に比ぶべくもないだろう。

二年間あまり、仲間と猛練習をした集大成を発揮する機会も夢も失われたわけだから。
センバツが中止決定になったとき、既に甲子園出場を決めていた高校球児が泣き崩れる映像は今でも僕の記憶に鮮明だ。

夏の大会が中止になったその瞬間は、僕の甥っ子も含めて、みんなそうだから、と自分にいい聞かせる他はなかった。

甲子園の交流試合に出場し、サムライジャパンとして投げた高橋投手はともかく、山下投手は、今でもトゲが刺さっているかもしれない。
でも、その悔しさが今年のブレイクのバネになっているのだと思うし、あの夏に蓄えた余力が、長いプロ生命につながることだってある。

僕の甥は、野球部を退部後は一浪の末に、千葉県の大学に入学し、一人暮らしをしている。大学デビュー?した彼は、今では彼の妹や僕の妹を巻き込んで総武快速線で横浜に戻ってきては、ハマスタでベイスターズを応援している。決して野球を嫌いになったりしていない。

そして、浪人したくせに、夏の大会が中止になって、6月には受験態勢に切り替わってよかったよ、なんてうそぶいている。

そしてこうも言う。「プロを狙ってた選手がいちばんかわいそうだよ、甲子園に行くこともそうだけど、センバツもなかったし、アビールする最後のチャンスだったから」
確かに、大げさだけど、中には人生がかかる大事な夏だった高校生もいただろう。

今年は、山下投手だけでなく、秋広選手や中山選手、内山選手と逆境にもかかわらず高卒でプロに入った山下舜平大世代は限られたチャンスをモノにして輝き始めている。
もちろん彼らだけでなく各球団のスカウトも大変な苦労をしただろう。

そして、夢を叶えるチャンスへ回り道した他の山下世代は、今年来年とドラフトに戻ってくる。
きっとフィジカルだけでなくメンタルも強くなっているはずだ。

明日から2023大会が始まる。勝ち負けも大事だけど、ちょうど入れ替わりだった先輩達の分まで躍動してほしい。
くれぐれも体調は大事に!

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