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がんになって幸福度が上がった話

がんになって、文字通り全てが一変しました。

明日行く予定だった仕事もキャンセル、
通院や入院が自分の意向関係なくカレンダーを埋めていく。

そして、問答無用に襲いかかるクレジットカードの引き落とし日…
(治療費も全部クレカ払い)

がんと言われた当初はほとんど自覚症状もなかったのですが、
がんと分かってから思い出したかのように腹水も溜まり始めました。

こんな状況になって当の本人はと言うと…


なんだか癌になる前よりも幸せだな、


なんて思っています。

だって、今までの人生でこんなに人様に優しくしてもらったこと、
ないんですもの。


癌だと言われたその日まで、私は切羽詰まって生きていたように思います。


これまでの境遇だとかはまた別の機会に書きたいと思いますが、
決して順風満帆な人生とは言い難いです。
(鬱で引きこもり、大学中退、ブラック企業の数々、独立しても失敗、etc…)


余裕の「よ」の字もないような日々を何年も送っていましたが、

癌になったことにより切羽詰まった生き方すらできなくなりました。


身体もついていかなければ、
使える時間も限られる毎日になってしまいました。

「ああ、すでに遠隔転移もあるし希少がんだしおしまいだ…」
「もう1年も生きられないかもしれない」
「もっと普通に生きたかった…」

と、嘆いてもおかしくない状況だと思うのですが、
私の気持ちは違いました。

癌だと言われた前日よりも、

闘病を続ける現在のほうが気持ちの幸福度は上なのです。


本当に、不思議なほどに。

これまでの焦りという感情に追い回されていた日々にのしかかっていた重たいものが、
今はほぼ全て無くなったように感じます。

「あれもこれもしなくちゃ」という焦燥が、

「限られた中でできることをやろう」

という、ある種の諦めにも似た気持ちに置き換わりました。

そして、そう思わせてくれたのは支えてくれるたくさんの方々です。


これまでの人生、こんなにも人様に優しくされたことはありませんでした。

SNS上でも、なまけもののイベント出展時でも、
たくさんの方に素敵な言葉をいただきました。

なんてありがたいことなんだと、毎度痛感します。

私は友達付き合いがとても少なく、「友達」と呼べる人は2人しかいません。


その分、その2人はとても大切な友達ですけどね。

こんな状況になったので、
大切な数少ない友達にもすぐに会って、
一緒にご飯を楽しむ時間も得ることができました。

これまでの切羽詰まった日々の中では、
なかなか設けることのできなかった時間です。


現在治療でお世話になっている病院にもとても良く対応していただき、
主治医の先生をはじめ看護師さんやスタッフの皆様がいてくれるからこそ、
私は今日もこうやって活動できます。

病院や先生って当たりハズレが大きいと思うんですよ。
同じ病気であっても、治療にあたる先生によって結果だって変わります。

私はこれまで病院に行ってあまり良い思いをした記憶がないのですが、

ここぞというときに良い病院と良い先生に恵まれました。


ありがたいことです。


そして何より大きいのは、大切なパートナーの存在です。


これもまた別の機会に書こうと思うのですが、

「がんになった」という事実って、
当の本人よりも家族のほうがショックが大きいと思うんですよね。


私も癌だと言われた時、「自分が死ぬかもしれない」という恐怖より、

「パートナーを1人残すことになるかもしれない」という

激しい心配を含んだ怖さが圧倒的に強かったです。


最初に癌だと言われた当初は余命2~4ヶ月も十分あり得たので、
彼女自身も「あと数ヶ月で独りになるかもしれない」という強烈な恐怖が襲いかかったはずです。


それにも関わらず、
「もう嫌なことしないで、毎日好きなことやって過ごしたほうが良いよ」とありのままを肯定してくれました。


私が「〇〇したいな」とか「△△欲しいな」とか言うと、
必ず「良いじゃん!」と言ってくれます。


これがどれだけありがたいことか…


自分の身体や置かれた環境は癌によって一変しましたが、
同時に精神面も良い方向に一変し、幸福度がぐんと上がったわけです。


これって癌にならず、これまで通り健康で過ごしていたら
感じることができなかったことかもしれません。

そう思うと、癌になったことも悪くなかったなとさえ思います。


・・・、いや、やっぱり癌にはなりたくないですね笑


そんなわけで、癌になって幸福度が上がった話でした。

せっかく幸福度が上がったので、
まだまだ死ぬわけにいきませんね。
頑張ります。

最後までお読みいただきありがとうございました。


※ご購入について

幸福度は上がったのですが、
やはり治療が始まってからの金銭面の負担は小さくありません…

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