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「妄想が我らを罪へと導く」

フランスの音楽プロデューサー、マルチ・インストゥルメンタリストFKJが今年の夏発売した「Ylang Ylang」のスタジオセッション動画がオーガニックな雰囲気ですごく心地よかったので、ここで紹介します。
2017年発売の「French Kiwi Juice」で瞬く間に注目を浴び、2018年タイコクラブフェス、2019年サマーソニック出演など知名度を確実に上げている彼の待望のEP。
7つの楽器を1人で演奏し、唯一無二の世界観を作り上げています。
昨年公開したウユニ塩湖での演奏動画が話題になり、名前を目にした方も多いのではないでしょうか。
チルタイムのお供に最適ミュージックすぎる。
植物園とか、野外とか大きく開けた場所で聞いてみたいな~正確にはグリーンルームとかで見たい。
来年はフェスたくさんやってください頼む。





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朝、窓を開けると金木犀の香りがフワっと香ってきていい気分です。

2020年、残り2ヵ月

はえ~、今年季節を肌で感じる機会が少なかったから余計にそう感じます。
どうも。
今月は頑張って更新すると決めたので、あと映画を何本か見たのでその感想をできるだけ更新していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。





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Netflixオリジナルの「悪魔はいつもそこに」を鑑賞しました。

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主演:トム・ホランド
出演:ビル・スカルスガルド/ライリー・キーオ/ジェイソン・クラーク/セバスチャン・スタン/ヘイリー・ベネット/ミア・ワシコウスカ/ロバート・パティンソン


あらすじ
オハイオ州ノッケンスティフ。アーヴィン・ラッセルは自分とその家族を守るべく、亡き父にまつわるトラウマを克服しようとしていた。そんなアーヴィンの周りに邪悪な者たち―強盗で生計を立てるカップル、腐敗した保安官、俗世の欲にまみれた牧師―が集ったとき、世にもおぞましい惨劇が引き起こされてしまう。

第二次世界大戦からベトナム戦争までの期間を時代背景にアメリカ、オハイオ州を舞台に繰り広げられる1人の青年とその周りの人物を描写していくサイコ・ゴシックストーリーとなっています。

主人公のラッセン(トム・ホランド)が幼年期に体験した父親のトラウマと、そのトラウマが原因の因果関係の物語が時系列に沿って展開されていきます。

戦地から帰還した父親が体験した惨劇を無意識に日常的に刷り込まれ、自分も父親と同じような破壊衝動や暴力性を孕んだ性格になってしまっている事を自覚している主人公自身の葛藤。
「良き行いをしなさい」「人のために施しなさい」と善意的な空気に上書きされていく「自身の内側からあふれる欲望」との対比とか。

信じるものを失ってしまった者、信じるものしか信じられなかった者、なにも信じられるものがない者たちの泥と血にまみれた群像劇。
この物語のキーとして「信仰」「復讐」などの要因がたくさんでてくるんだけど、相関図、因果関係を俯瞰してみると不思議な力でお互い引き寄せあっているとしか思えないほどの展開で、とても面白かったです。

神を崇め、信じ、尊み、祈りを捧げる事に果たしてどんな意味があるのか?
良き行いとは、施しとは。
本物の悪魔は一体何者でどこにいるのか──。





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配信のニュースをSNSで見た時、絶対見ようと思っていた作品で期待してたんだけど、その期待を大きく上回ってきました。
時代背景にある第二次世界大戦からベトナム戦争の間のアメリカが繁栄する兆しをみせつつ富裕層と貧困層の差が明らかになりつつある問題などもフィルターとして表現されているので、このあたりの時代背景を少しだけ調べてから鑑賞するといいと思います。


狭いコミュニティの中で連鎖的に起こる事件の怖さとか、周りが見えなくなって欲や自分自身に溺れていく人の怖さ、狂った思考の末の凶行など、誰もが抱える深い闇の、限りない底の方を見せられてるみたいで終始「こええな」と思いながら見てた。
画面全体がセピア色で鮮やかな表現が無い分、淡々と進んでいくのかと思いきやばら撒いた伏線をしっかり回収する場面もたくさんあって抜かりない構成になっていると思います。
ナレーションも物語に触れ過ぎず語りすぎず、ちょうどいい塩梅で挟まってきてよかったです。

個人的に「クゥ~」と思ったポイントが「キリスト教の信仰が深い」ところですね。
神の前では正直にならねばならない、の教えを振りかざし、ある意味洗脳的に説法するシーンなどいくつかでてくるんだけど、この物語の中で牧師がどんなポジションにいるのかを考えながら見るととても面白いのかな~と個人的には思います。

愛のために、正義のために、と思いながら行動している主人公が物語が進むにつれていつの間にか自分が救われるために行動しているところの心境的フォーカスの伏線がラスト40分で大回収されるので、主人公が最後どんな結末を迎えるのかぜひ注目して見てほしいです。

そして何よりも見どころなのが今まで「スパイダーマン・ホームカミング」などに出演し、お茶目な性格も相まって愛嬌のあるキャラクターでなじみのあるトム・ホランドが一遍、トラウマに苦しみ、葛藤する影のある青年という役柄を見事に演じています。
自身にある破壊衝動と暴力衝動を抱えた主人公の父親役を「it」のピエロ役で脚光を浴びたスウェーデン出身のビル・スカルスガルドが、
賄賂で市長にのし上がることしか考えていない不正しまくりの保安官を「ウィンターソルジャー」のセバスチャン・スタン、
主人公たちが住む土地の教会に新に赴任してきた煩悩私利私欲まみれの牧師を「トワイライト」のロバート・パティンソン等々、豪華な俳優も出演しています。

トムホなんていつまでもニコニコしたベイビーかと思いきやタバコをふかしながら一切笑わず帽子を目深にかぶっていたり、
セバスチャン・スタンはこの役のためにウエイトを増やしてずる賢い役作りをして臨んでいたり、
ビル・スカルスガルドはめちゃくちゃイケメンだけど戦争から帰還した兵士のトラウマを抱えて狂ってるし、
ロバート・パティンソンは「全ては妄想なんだ」とか言って自分のことは棚に上げていたいけな少女を陥れるクソ最低なイケメン牧師だし、
今までの彼らのイメージをドンと覆してくる役柄設定なのがとてもいいですね。
あ、ちなみにこの最低クソ牧師のロバート・パティンソンの吹替声優さんはみんな大好き櫻井孝宏さんです。よろしくお願いいたします。


なにを信じるかは自由だし、なにを正義にするのかも個人の価値観だけど、飲み込まれた先には「狂気」しかないことを忘れてはいけないですね。

物事を俯瞰して見る事も、時には大事という事をこの作品を見て改めて思い知りました。

神罰鉄槌を下すのは神でも祈りでもなく人間だけだということ、因縁や因果は復讐ですら抗えないこと。 





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この記事を書いているときに中秋の名月を見たんだけど、真ん丸で橙色と黄金色が混ざったようなきれいな月でした。

季節も時間も待ってくれることはなく、戻ることもなく進んでいきますが、わたしは立ち止まって休憩しつつやるべきことをひとつづつこなしていきたいです。

次はテネット見たのでその感想を書きたいと思います。
マジでめちゃくちゃ難しい作品だしわたしの解釈やいろんな解説記事を読んだうえでの感想なので、ちょっと時間かかるかもしれませんが書きあげていきたいと思います。





それじゃまた。







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