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相対性理論の魅力


 こっきーです!
 みなさん、漫画「ドラゴンボール」に出てくる精神と時の部屋って、ご存知でしょうか?登場人物達が効率よくパワーアップして修行するために使用される部屋で、部屋の中で1年過ごしても、部屋の外では1日しかたたないというとっても効率のいい性能をもっています。来る強敵を倒すための実力が現在伴っておらず、強敵との対戦当日までにパワーアップが見込めない場合、この部屋の中で修行し、敵よりも強くなって出てくるという、いわゆる時間早巻き部屋なんですね。(部屋の外の人視点)

 別の場所にいると元の場所とは時間の進み方が異なるといった設定やストーリーが巷にはたくさんあります。『浦島太郎』はもはや有名すぎて説明無用ですね。

 個人的には『猿の惑星』『メメント』『インターステラー』『インセプション』などが好きで、相対性理論の魅力にハマるきっかけとなった作品達です。

 どの作品でも、視点の異なる2つ以上の立場において、それぞれの立場ごとに時間の進み方が異なるという現象が、物語のストーリーをおもしろくするための表現方法としてとり入れられています。

 前回の記事では『直感に反する感覚』について触れましたが、今回紹介する『相対性理論』でも、『直感に反する感覚』が存分に味わえるので紹介したいと思います。

 まずは『相対』という言葉について

"相対"とは、他との比較や関係において成り立つこと

"相対的"とは固定的な視座で捉えるのではなく、多面的に捉えて可変性を有する姿勢

"相対化"とは絶対的なものが多面的に検証されることによって絶対的でなくなる現象や作用

 要は同じ物事に関して、複数の視点や立場をとって考える際に、それぞれの立場間で結果を比較すると同じものにならないということです。

 人の数だけ考え方や捉え方があるというあれにも似てたりします。

 先ほど紹介した作品では、これらがいわゆる『SF』の世界観で表現されています。宇宙空間が舞台である『インターステラー』では、時間の進み方は星がもつ『重力』に影響されるという一般相対性理論に基づいたストーリーが展開されています。例えばとてつもなく強い重力をもつブラックホールの近くの星に降り立った登場人物は、その星で約7分間、活動しただけであるにも関わらず、その星から離れた宇宙船に戻った時にはなんと23年もの月日が経過しており、数十分前まで一緒だった乗組員が23歳も老けた姿で登場し、再会するという少しショッキングな場面があったりします。

 この場面、実は物理学者が映画監督のクリストファーノーランさんと共に、緻密に計算し脚本化、撮影されたもので、実際に宇宙空間で起こりうる現象なのです。

 時間の進み方が異なる現象が事実であるという感覚、僕にとってはこれ以上ないほどロマンチックで魅力的なものなのです。

 相対性理論には『一般』と『特殊』があります。『特殊』では、時間と空間にフォーカスをおいた理論ですが、『一般』ではそれに重力の要素を加えた理論になっています。かの有名な科学者『アインシュタイン』が26歳の頃に考案した学問で、100年以上たった今、私たちの生活にはなくてはならないものとして活躍しています。カーナビやGPSにこの計算が盛り込まれている話は耳にしたことがある人も多いかもしれません。理論をとりいれなければ、約15メートルもの誤差が生じてしまうそうです。

 彼は身近な例を挙げてこう言っています。


Put your hand on a hot stove for a minute, and it seems like an hour.Sit with a pretty girl for an hour, and it seems like a minute.

 熱いストーブの上に1分間手をおいてご覧なさい。1時間ぐらいに感じられるでしょう。可愛い女の子と一緒に1時間座ってみなさい。1分ぐらいにしか感じられないでしょう


 みなさん、心当たりはありましたか?これが相対性理論のおもしろさの感覚を知る第一歩です。

 また、相対性理論では理論上、タイムスリップが可能だという事実が証明されています。事実上、いまこの瞬間にもそれは起きていますが、主体的にそれを実行することは、現在の人間の叡智をフルで活用してもまだ不可能だといわれています。

 今回はどうして時間のズレが生じるかの理屈のお話を、噛み砕いて少しお話させて頂きます。

①光速度不変の原理

 みなさん車を運転したり、電車にのっていると、以下のような場面にでくわしますね?

・時速80kmの車で時速60kmの車を追い越す

・時速100kmの電車と時速120kmの電車がすれ違う

 この時、前者では時速80kmの車からは時速60kmの車が、時速20kmで前から近づき後ろに下がっていくように見えます。後者では時速100kmの電車からは時速120kmの電車が時速220kmで近づいてくるように見えます。このように動くもの同士がそれぞれの立場から相手を見た時の速度を『相対速度』といいます。これは高校物理でも学習する内容です。

 しかし、この現象が、『光』に関しては成り立たないことが証明されています。

 アインシュタインは『違う速度で動くモノからみても、光速度は常に同じ』と主張しました。

 どういうことか。光は秒速30万kmで進みます。しかし光はどんな速度で発射しても加速せず秒速30万kmのままなのです。秒速10万kmの高速船から発射した光は一見秒速40万kmの速度になりそうですが、そうはならず、秒速30万kmで進むという性質をもっています。直感に反しまくっていて受け入れられませんね。

 しかし紛れもない事実であることが数多くの実験により証明されているそうです。秒速10万kmのロケットで光と並走しても、ロケットからは光が秒速30万kmにみえます。秒速10万kmのロケットに光が向かってきても、ロケットからは光が秒速30万kmにみえます。光の速度は常に秒速30万kmなのです。これを『光速度不変の原理』といい、相対性理論を理解する上で最も大切な原理なのです。光って不思議でおもしろいですね。

 若き日のアインシュタインはここから次のような疑問を抱きました

『光速で移動する自分を鏡でみるとどうなるだろう』

 一見、秒速30万kmで動く自分が発する光は秒速30万kmだから秒速60万kmの速度で光が鏡にあたり反射して映ると思ってしまいそうですが、光速度不変の原理の理屈上、自分が発する光も自分が進む秒速30万kmと同じ速度になるため、光は自分を追い越せず、構えている鏡には届かないから永遠に映らないという現象がおこります。


②同時生の不一致

 光速度不変の原理は、これまでの『速度=距離÷時間』の計算式にも大きく影響します。この式は距離と時間が絶対的なものであることを前提に速度が定められる式ですが、相対性理論では、速度が不変なもの(絶対的)とするため、距離や時間が伸びたり縮んだりします。

 一例を紹介します。

 加速せず等速直線運動をする電車があったとします。その電車の真ん中に、光源(光を発するもの)を設置し、前後に光を検出する機器(検出器)を置きます。つまり、真ん中から光を出して、前後の検出器が光を検知するということです。電車内にはAさんが乗っていたとして、Aさんは以下のようにその光が観測できます。

Aさんが観測する電車内の光

 つまり、Aさんからは光が前後の検出器に同時に到達するように観測されます。

 それでは電車の外にいるBさんからは光がどのように観測されるでしょうか。

Bさんが観測する電車内の光1
Bさんが観測する電車内の光2
Bさんが観測する電車内の光3

 つまり、電車は進み続けているので、光が前後の検出器に到達するのにラグが生じるのです。電車は前方に向かって動いているので、後方の検出器に光が近づくように、前方の検出器は光から逃げるように進みます。なので、光は後ろの検出器に先に到着することになるのです。

 『Aにとっては同時だがBにとっては同時じゃない』という互いに同時を共有できていない状態になります。これを『同時性の不一致』や『同時性の破れ』などと呼びます。同時という概念ですら、視点や立場によって変化してくるのですね。これが相対性理論における時間のズレを証明する基本となる理屈です。本当にこの世で起きる紛れもない事実なのです。新幹線に乗っている人とホームで待っている人とでは同時の感覚が必ずズレているのです。

 どうでしたか?確かに言われてみれば納得できる、と思いませんでしたか?直感には反していますが、理屈で受け入れることができましたね!

 相対性理論に関わらず、科学では直感に反する現象がたくさんあり、この感覚が科学の魅力であると同時に、子どもたちに興味をもってもらうための架け橋となってくれています。

 普段生活する中で、一見納得いかなくて受け入れられないことも、噛み砕いてひとつひとつ吟味すれば受け入れられたり、相手の立場を考えるヒントになったりもしますね。

 身近な例でもうひとつ。約束の時間に遅れそうなとき、待つ側と待たせる側では時間の進み方が違いますよね。人それぞれの1秒の長さは異なるはずですから、相手の時間を大切にしようと改めて思いました。

 今回はここまでです。次回は実際に時間がズレる内容に触れていきたいと思います。

 自分の当たり前は他人の当たり前でないことを念頭に、人と関わっていきたいと思いました。それぞれを押し付け合うよりは、受け入れ合えるほうが素敵だと思います。みなさんご意見くださいね。ありがとうございました✨

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