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夜も更けて すこし開けた窓の外からは、風の吹く音が静かに聴こえてきていた。 京都の夜は暑…
パチンコ店で中原に接近した。 なんとか台の釘読みに成功した俺は、 ヤツよりも先に店のなかに…
捜査を始めて5日目になった。 そろそろ一旦東京に戻らなくてはいけない。 起きがけのセブンス…
世の中をうまく渡っていく為にはそれしか方法はなかった。 「馨は花の香りがするね。その香り…
シトシトと雨が降っている。 6畳1間の窓を開け、アパートの欄干から外を眺める。暫くすると小…
朝になった。 僕と馨は部屋でサービスのモーニングを注文し、それを2人で分けた。 「ソウ……
今日はそろそろ中原さんが来る頃だな。 じぶんでも馬鹿みたいに心臓が高鳴っているのが分かる。ただ一眼だけでも会いたいなんて、これじゃ、まるで中学生の恋じゃないか。 そうは分かっていても、この胸の早鐘を止める事は到底できそうになかった。 中原馨 21歳 取引先の株式会社△□の営業部のアシスタントの子だ。 △□は都内では30年以上続く有数で老舗の医療機器メーカーだが、最近では医療機器の時代だからなのかその業績をグングン伸ばしていた。 いや、それにしても40を超えたおっさん
くそっこんなつもりじゃなかった。 家に帰るとボストンバック片手に出掛けようとする馨と遭遇…
京都祇園夜の街… 繁華街を通り抜け、花見小路を抜けたところに その高級クラブはあった。 …
車を走らせながら、僕は馨とのあの日を思い出していた。 その日、馨は夜遅くまでフロアに残っ…
「今日は会食で遅くなるから、飯はいらない」煙草を吸いながら馨にメールを送った。 ついてね…
「お前は俺の言うことを黙って聞いとけばいいんだよ!!」 仕事帰りいつもどんな顔で彼が待っ…
空高く登る月を2人でいつまでも見ていた。 座席のシートを少しだけ倒した車のなかで、蒼白く光…
「月の果てまで逃げ切ってやる。君の細い手を導いてー…」 スネオヘアーの共犯者がカーステレオから流れてきた。 今宵月が丸いうちに決行する。 君との共謀。 どんな奴を敵にしたって、僕は君と逃げ切ってみせる。 そうこの歌のように月の果てまで…。 車の窓越しから辺りを照らす満月を眺めていた。ふとバックミラーをみると君が慌てて走ってくるのが見えた。 肩まで伸びたウェーブの髪を揺らしながら、君は足早に車の扉を開けて僕の隣へと滑り込んできた。短いヒールの珊瑚色のパンプスとオフホワイ