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アラサーもガール

9月に29歳になった。
もうすっかり大人な数字で、だけど自分としては全然その実感がない。
数字は年々大きくなっていくのに、いつも心の準備ができていないから、毎年数字を見て焦る。しかも、その焦りは年々増す。

最近は第二次結婚ラッシュ?で、インスタには結婚式の写真がバンバン上がってくる。
私はまだその予定もないし、なんなら結婚は向いてなさそうだしまだしたくない、子どももいつかは欲しいけど、それも今ではない、と思って過ごしていたけど、ここまで毎週のように結婚式の写真が流れてくると、なんかちょっと焦る。
おまけに、学生時代から仲良くしている友人が赤ちゃんを産んだ。めちゃくちゃ可愛い。友人は「妻」であり「母」という肩書きを背負っている。
自分、大丈夫か?結婚の"け"の字もないぞ。

ふと思い立って、1年半くらい前に大学の友人に勧められて買ったままだった奥田英朗の『ガール』を読んだ。

30代前半から半ばくらいの女性を主人公にした短編小説が5つ入っている。
それぞれ主人公の設定は違うけど、どの主人公の気持ちもわかる。
いや、わかりすぎてつらい。
2006年に出版されている本で、今は2021年だから、15年経つ今でも日本のアラサー女子の気持ちを代弁してくれているのか。
もう令和だし、アラサー女子のみんながみんな、この本に共感できるわけではないかもしれないけど、なんともモヤモヤして言葉に言い表しがたい、色で表すと赤とピンクと紫と紺と茶色を混ぜたような、この複雑な気持ちがうまく表現されていて、私はとってもスッキリしたと同時に安心感を覚えた。
うん、そういう年齢なんだな。きっと。

いや待てよ、安心している場合か?
スッキリしたらそれでいいのか?というとそうではなくて、一時的に気は紛れるものの、数日たつとまたどうしようもない焦りが芽生えてくる。
結婚したいのか?子どもが欲しいのか?別に誰に聞かれてもいないのに、自分の中で答えを見つけ出さないといけないような気がしてくる。
子どもが欲しいならそろそろ、、とか、だったらお金も貯めないと、、とか。本当に考えることが多い。毎日脳内シミュレーション。シミュレーションしているだけじゃ足りないから、何かしないと・・・とどんどん焦る。
それだけじゃなくて毎日仕事もしないとだし。

アラサー、疲れる。
アラサーというカテゴライズも、自分で言いながら、なんかモヤモヤする。
この前まで名実共に、ヤングなガールだったのに。
レディぶらないといけない気がする。誰に命じられたわけでもないのに。

こんなふうにアラサーの私は、ガールとレディの間で、日々葛藤している。
周りの人が考えるアラサー像と自分とを比べて、周りのアラサーと自分とを比べて、日々、「大丈夫か自分?」「いや、そんなに焦らなくて大丈夫よ」と心の中で自問自答を繰り返している。

積極的にレディになりたいわけでもなく、だからといっていつまでもガールではいられない。
でもいまはまだガール。アラサーもれっきとしたガール。自分を見失わないで。

そう言い聞かせて自分を宥める日々がまだしばらく続きそうだ。

(ゆ)

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