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気になる映画


*上の画像は、自作のインスタレーションで、タイトルはDice Manという。"Dice Man"はルーク・ラインハルト(Luke Rhainehart)の小説からの引用で、自らの行動の決定や判断を、サイコロを振って決めるという物語にインスパイアーされた。素材は主に木材で、9x12、108個のサイコロから粘菌らしき生き物が増殖している。サイズは120cmx150cmx20cm。

ジム・ジャームッシュの"パターソン"は気になる映画だ

映画を観ながら、「ああ、どうかこのまま何も起こらないで終わってくれ!」と、祈りながら見た映画は、この”パターソン”が最初で最後だ。詩を書くのが好きなバスドライバー、パターソンと、アートが好きで古くて小さな自宅の装飾を自分で工夫している妻ローラ、そんな目立たない地味な夫婦の平凡な一週間を淡々と描く。

ジャームッシュのもので、もう一つ私が入れ込んでいる作品は、デッドマン”Dead Man"だ。この映画は、富津市の里山に暮らすアッコさんが最近「面白い映画があるよ!」と教えてくれた。アッコさんは三姉妹で逗子でコットン・ショップをやっていて、20年以上も前に三姉妹そろって富津に移住した聡明な人で、ジム・ジャームッシュのフアンである。

デッドマンのあらすじは、ジョニー・デップふんするブレイク会計士の卵が、若い娘を助けたことから発砲事件に巻き込まれ、濡れ衣を着せられ賞金稼ぎ達に追われる。途中傷を負ったブレイクはノーボデイという名のインデイアンに助けられる。イギリス渡航経験があり詩人ウイリアム・ブレイクを崇敬するノーボデイは、このブレイクを本人だと思い旅を共にする。しかし最後には、傷が癒えないブレイクは小舟に乗り海に漕ぎ出す。

というような、なんとも不思議なメタファー満載のストーリーなのだが、先の「パターソン」も含めて私は、自らの経験から導かれた独自の読み解きをしてしまった。もともと文学や芸術の理解というものは、鑑賞者の想像力をして知識経験を材料に調理した料理みたいなもので、それゆえ追創造あるいは再創造とも称されるように、自由に解釈したのだ。これは結果、きわめて個人的な解釈になってしまうが、私はそれで良いと思っている。

さて私は今から30年以上も前の1989年の11月に38歳で、国立大学の付属中学の教師を辞めて、妻と二人でオーストラリアに渡った。Wollongong University の Creative Arts の 大学院に入るためだ。そこではまず3ヶ月の語学コースに通い試験にパスすることが入学の条件だった。そこで出会ったウタ(Ute)というドイツ人の教師と出会い親しくなった。ウタは文学や映画に詳しくヴェルナー・ファスビンダーやイエーツやミラン・クンデラ(の名)を紹介してくれた。その彼女が熱心に紹介してくれたのが、ウイリアム・ブレイクであった。私はブレイクの絵は比較的好きでそのimaginativeでシュールな特異な魅力に満ちていた。彼女はブレイクの詩集を私達に貸してくれて、そのことを失念してしまった私達はその本を日本へ持ち帰ってしまい今も手元にあるのだ。ウタには悪いことをした。申し訳ない。

その詩集の中にsong of innocenceという詩があって、PILのベーシストだったjar wobbleが自ら作曲したダブサウンドを背景にその詩を朗読している。

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