ベスト、ごめん。
長いこと続けている趣味の一つが編み物だ。
若い頃、セーターブックなるものがあって、人気俳優たちの写真集のような編み図本が出ていた。これを買ってはせっせと家族や自分にセーターを編んだ。
私が初めて編んだセーターはこれだ。
19歳の冬にこれを編んだ時には感動した。
当時は今のようにインターネットがなかったので、本を見るか、手芸店の方や友達に聞くかしかなかった。最初の一枚は思い出深い1枚でもあった。以降ウエアをたくさん編んできたが、実は「ベストを編む」ことはほとんどなかった。
当時は「ベストっておばちゃんくさい」と思っていたのだ。
それから約30年。自分もすっかり「おばちゃん」になった。
そこで、くだんのベストである。
2021年、フェアアイルのベストを編んだ。
信じられないくらい暖かい。そして可愛いではないか。セーターよりも早く編み上がるしとても楽しい。薄いシャツに合わせても腕が楽なのに寒くない。
気候変動の昨今となってはせっかくセーターを編んでも着るには暑かったり、編むのに時間かかったりして正直しんどい。
去年とうとう自分で配色をかんがえたベストを編んだ。完全オリジナルのフェアアイルを編める日が来るとは思わなかった。
ちょうどいいウールの布地があったので、とうとう自分の原型型紙でベストを縫うことにした。
なんということだ、ベストよ、今まで君の良さをわかっていなかった。今までごめん。本当にごめん。
おばちゃんにはめっちゃ便利…。
とりあえず手紡ぎ糸で似たようなやつを縫おうと決めた。糸を紡がなくては。
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