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古代食を食べる会

HUMANITIES CAFE fudokiさんの1周年記念講座〈古代食〉を食べる会に参加してきました。

古代食とは、飛鳥・奈良・平安時代頃に食べられていた食事のこと。
前半は元学芸員の店主さんによる古代食についての講義で、その後再現された古代食(+古代食材使用のアレンジ料理)を実食という流れでした。

講義は15ページほどのレジュメがあり、古代食とはどんなものか、貴族と庶民の食事の違い、当時の食材についての解説等々。
万葉集の和歌や木簡の画像など史料を多数引用し、とても充実した内容で面白かったです。

以下、古代食を食べてみた感想。

古代食メインプレート

まずはメインプレートの画像右上から一つずつの感想や説明を。その後に別盛りの料理の話が続きます。
ちなみにお皿は白磁なので平安貴族になったつもりで食べてくださいとのこと。

菘菹すずなのにらき
楡の皮の粉末入りの菘(=カブ)の漬物。当時は楡をうま味調味料的に使ってたのではないかとのこと。
講義を聞いて、楡食べるんだ!?ってめっちゃびっくりしたから食べられて嬉しかったけど美味しくはなかった。まあ楡が美味しかったら逆にびっくりするけど。当時の配合(塩分8%楡5%くらい)を再現しているそうで、めちゃくちゃしょっぱい。この食事会で出た物で唯一苦手な味だった。
なんか嗅ぎ覚えのある木っぽい香りがしたけど何の香り…?とずっと考えていて、帰宅後にようやく思い出した。スタンダードプロダクツで売ってるヒノキの精油のシダーウッドヴァージニアの香りだ!なんで食べ物からそんな匂いがするの…昔の人やばい……。家で再現したければ、それを嗅ぎながらしょっぱいお漬物食べれば多分似た味になる。

蟹漬がんづけ
小さい蟹を丸ごとすり潰して塩や唐辛子で味付け、熟成したもので、古代食というか佐賀県の郷土料理らしい。
蟹の形残ってるから苦手な人は見るだけで〜ってお店の人は言ってくれたけど全然平気なのでバリバリ食べた。めちゃくちゃ塩辛い。
これの唐辛子を楡に置き換えれば古代に食べられていた葦蟹の干物、蟹胥かにのしょ(=蟹の塩辛)、楡蟹に近くなるのではとのこと。

多比鱠たひのなます
鯛のお刺身。醯醤すびしおっていうかなり味の濃い美味しい調味料を絡めて食べるので、添えてあるワカメやご飯と食べるとちょうど良い。

上が蜂蜜、下のココットに入っているのが醯醤

ローストビーフのユッケ風〜現代風のなます
膾(刻んだ生肉に味付けしたもの)をそのまま復元するわけにはいかないので、現代風アレンジ。当然美味しい。
当時は豚肉まで生で食べていて、トイレの遺構からは各種寄生虫の卵が見つかっているらしい。

佐米楚割さめのすはやり
鮫を細く切って干したもの。普通に美味しい。この中ではそこまでしょっぱくない方。

唐菓子からがし
米粉の生地を揚げたお菓子。味はしないから、蘇蜜用に出てきた蜂蜜をかけて食べた。美味しい。
添えてある桃は、色が悪くなっちゃうからってコンポートにしてくれてた。

(生)蘇蜜そみつ
蘇に蜂蜜をかけたもの。藤原道長とか貴族が食べていたらしい。
蘇は牛乳を十分の一に煮詰めたものだけど、五分の一までしか煮詰まらなかったのでこれは生蘇なまそです、とのこと。
まずはそのまま生蘇を食べてみる。美味しい。乳製品は正義。蜂蜜かけるともっと美味しくなった。さすが貴族の味。
余談だけど、遷都1300年で平城宮跡に遊びに行った時に「近江国生蘇三合」って木簡を書いたけど今まで生蘇食べたことがなかったのでとても嬉しい。ようやく食べられた…!

閑谷書、近江国からの調の荷札。字が汚い。


あつもの

堅魚煎汁かつおのいろりっていう鰹出汁の原型とされるものを使ったスープ。めっちゃ魚介の香り。不味くはないけど特に美味しくもない。

羹。具はなし


赤米入り握飯

しょっぱいものだらけだったから、「わーい!ご飯!」って思って特に味わわず食べてしまった。美味しかった。
でも当時こういう食べ方をしたかは不明とのこと。赤米は酒造りに使ってたらしい。

小さい茶色っぽいのが赤米


豚肉の山椒醤焼き

豚のスペアリブ、普通に美味しい現代の料理。
食材が古代風。

豚肉の山椒醤焼きと茄子


イメージ通り、全体的に味が濃くて塩辛かった。なのでご飯が進む。お酒を飲む人にもいいかも。
名前しか知らなかった古代の食材や料理、まさか実際に食べられる日が来るとは思わなかったのでとても楽しかった。
素晴らしい会を開いてくださったお店の方に感謝。

以上、古代食レポートでした。

7月の万葉のクリームソーダ(桃味)

ワンドリンク制なので今月のクリームソーダも注文。


講座は満席のようですが、古代食アレンジ料理は予約すれば7/5〜8/27の期間食べられるそうなので気になる方は是非↓

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