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通説・エルスウェーア史

TESシリーズの猫型獣人・カジートたちと彼らのホームランド・エルスウェーアの歴史が分かるオールインワン記事になります。例によって2/3ほどがUESPのLore:Khajiitの翻訳、1/3ほどが私がゲーム内で確認した情報と独自研究となっております。今回は用語や解説が必要な事件などが多いため、その都度コンテキストやカッコつきの解説なども私なりに追加しています。

深淵の暁紀以前

ヒト、エルフたちがタムリエルに到着する以前からカジートたちは大陸中に居住していたとされている。どのようにしてカジートたちが生まれ知的種族となったかは諸説あり、深淵の暁時代のアルトマーたちの伝説によるとカジートはもともとヒト・エルフの姿をしていたが徐々に姿を変え、オームス・ラート、そしてシュセイ・ラートのような姿に変化したとされている。

カジートたちの神話にはボズマー・カジートは共通の祖先を持っていて、ある日アズラフがヴァレンウッドの住民たちから獣人に近い姿をした人々を選んで別の知的種族に変え、カジートという猫族の一群としたという話が載っている。

一方ボズマーの創造神話はイフレがニルニにアズラフの所業を伝えた結果獣人たちはニルニの手によってボズマーに戻ったという話となっており、2種族の創造神話には齟齬が生じている。

深淵の暁紀の終わり以前からエルスウェーアには16のカジートの王国が存在した。しかしある時カールグロンティードという名のドラゴンが僕を従えエルスウェーアに来襲し、16王国を全て征服する。カールグロンティードはアルドゥインの一派であり、エルスウェーアに存在するとされる月の力を吸収してアカトシュに等しい存在になることを目的としていた。カールグロンティードを討伐するためクンザル・リという名のカジートは4人の部下を従え戦いに赴くが、壮絶な戦いの末敗北する。

クンザル・リの部下カドウェルはカールグロンティードに屈し、アネクイナ王国のシャドウダンス寺院へとドラゴンたちを案内する。その際シャドウダンス寺院では皆既月食によりジョデの平原(ジョデの平原は双子の月・マッサーの表面上に位置している)へとつながるゲートが開き、カールグロンティードは思惑通りジョデの心臓に接触する。しかしカールグロンティード達よりも先にクンザル・リがジョデの心臓の力を吸収し、これを利用してドラゴンたちをアネクイナから撤退させることに成功する。ジョデの心臓の力を手にしたクンザル・リは更にドラゴンの残党をペレタイン王国の巨人の間へと追いやり、これを封印した。

第一紀


第一紀初期ごろにも16王国は健在であり、互いにヒト・エルフの王国ほどの大規模な争いはなく比較的平和に共存することができていたとされている。16王国はそれぞれ特産品や固有の人材育成に特化し、これらを隣国と分かち合っていた。例えばアネクイナ王国はトーヴァル王国とそれぞれ双子の月の舞で鍛えた傭兵と海産物を交換しあっていた。当時の16王国の勢力や国政は双子の月の運行に伴い定期的に変遷していたとされている。アネクイナは満月の時、トーヴァルは半月の時、センシャルは新月の際に最大の勢力を持っていた。

この頃はアイレイド(デイドラ崇拝のアルトマーたち)がシロディールにて人間種に圧政を敷いていたが、アイレイドはエルスウェーアに対しては大きな影響力を持っていなかった。1E243年、龍神アカトシュの祝福を受けたアレシアはアイレイドに対するクーデターに成功しシロディールの第一帝国・アレシア帝国を建国した。アレシアはアイレイドの残党・アタタール族を追跡する部隊をエルスウェーアに派遣するが、その多くは準備不足により任務を達することなく砂漠中で餓死してしまった。

アイレイドに対する反乱の真最中、エルフを憎む戦士・ペリナル=ホワイトストレークはシロディールに定住していたカジートたちをアルトマーの手先と見做し虐殺する事件を起こした。アカトシュはこの事件を受けペリナルを激しく嫌い、ペリナルもまた自身の過ちを生涯後悔したとされている。
(※ペリナルの起こしたカジート虐殺事件に関しては”Redgurad”の説明書に付属している「帝国へのポケットガイド:初版」に記述があるが、その後政治的な配慮があったのか”Morrowind”付属の第二版、”Oblivion”付属の第三版では記述が削除されている。)

オーロランの戦士と戦うペリナル=ホワイトストレーク(※スカイリムのクエストMOD"Vigilant"より)

1E400年ごろになると16王国の平和共存は瓦解し、”アネクイナの黄金獣”ダルロク・ブラエがアネクイナ・コンクエストとして知られる拡大戦争を開始した。その結果、カジ・ロウリス、アレンティア、ロルシウス川、そしてリンメンを含む一帯がアネクイナ王国の支配下に入った。アネクイナの権力はドーキン修道院に集約され、後にダルロク・ブラエは1E461年・シロディールのゴリエウス皇帝の戴冠式にも出席した。

1E668年、レッドマウンテンの噴火が発生。噴煙はエルスウェーアにも到達し、日照量がほぼゼロとなる。この年の出来事はのちに“太陽の死”と呼ばれる。

その後のエルスウェーアは情報が少なく、1E1200年から1E2208のドラゴンブレイク現象収束までの記録が欠けている。エルスウェーアの一部はシロディールにて発生したドラゴンブレイク現象に巻き込まれたらしく、“たてがみ“のジャ・カジャイよると双子の月の運行が停止し、深淵の暁以前の時代やドワーフが健在だったころの時間線が当時の時代と入り混じる“カオス“が発生していたと報告されている。サイジック会のロアマスター、セラルスはドラゴンブレイク現象はアイレイドの遺物 “塔の杖“をシロディール帝国が誤用した結果、非時間的な現象を司る天体ムネモリ(青い星)にアクセスしてしまったため発生した現象であると分析している。

1E2260年、スラシアン疫病の発生によりエルスウェーアの状況は大きく変化する。スラシアン疫病は交易ルートを通してエルスウェーア中に広まり、多くの被害をもたらした。16王国の均衡は崩れ、政情不安定に陥った国では一揆や暴力事件が多発した。16王国は結束の為、似通った文化の2地域に新王国を建設することとなる。北地方はアネクイナ王国として、南地方はペレタイン王国として再編された。この2王国はその後数世紀にわたって争い続けることになるが、戦いは膠着状態に陥りどちらもエルスウェーア一帯の覇権を得ることはなかった。

1E2703年、シロディール帝国皇帝にレマン一世が即位し、第二帝国が成立する。第二帝国はタムリエルの統一を目指し各地に拡大戦争を挑み、これによりアネクイナ・ペレタインの2国は帝国の属州となった。

1E2840年から1E2920年、主に帝国とモロウィンドの間で続いた四陣営戦争にエルスウェーアは帝国側として参戦する。特に1E2920年のボドルンの戦いにおいてリバーホールドのナギア女王が左翼側の指揮を担当したのが著名である。またセンシャル王のドローゼルはレマン三世の側近を勤めていた。

アネクイナとペレタインは帝国の属州であったものの、その間絶え間なく反乱やクーデターが発生していたと見られている。その上アネクイナ・ペレタイン同士の対立も収まることがなく、帝国は2国の潰し合いを止めることができなかったとされている。


第二紀

アネクイナ・ペレタインの対立は2E309年、アネクイナのケイルゴ王・ペレタインのエシタ女王が結婚しエルスウェーア連合国が成立したことにより若干収束へと向かう。エルスウェーアという地域名称はその際成立したとされる。その由来は“完璧な社会というのはいつもどこか(Elsewhere)外にあるものだ”というカジートの諺から引用したという説、カジートの死後世界であるルレスウェア(Llesw’er)を変形したという2説が有力である。

北エルスウェーアの主要都市・リンメン(2E582年)

ケイルゴ王とエシタ女王の結婚後も混乱は続き、2地域間の格差が埋まることはなかった。代々貴族制が続いたペレタインに習いケイルゴ王はアネクイナの貴族制への移行を図るが、これに反発したアネクイナの各部族はケイルゴ王を裏切り自分たちで独自の協定を結び始める。アネクイナではやがて反王政派の反乱が発生しケイルゴ王はシロディール帝国に反乱の鎮圧を求めるが、その際2E324年のモラグ・トングによる皇帝ヴェルシデュ=シャイエの暗殺事件が発生する。アネクイナは反王政派の手に落ち、エルスウェーア連合国はわずか15年で瓦解した。

2E430年、ヴェルシデュ=シャイエの息子である皇帝サヴィリエン=チョラクが暗殺されるとアトレバス将軍が即位し、シロディール帝国は再びインペリアルの手に戻る(シャイエとチョラクはアカヴィリの末裔で、蛇人のツァエシ)。アトレバス皇帝がアカヴィリ追放令を発令すると、カジートはリンメン、トネナカといった都市にツァエシの難民達を受け入れた。

2E560年、ナハテン風邪が発生。ストームホールドから発生したナハテン風邪はエルスウェーアにも広まり、2E565年にはエルスウェーア全土が感染者で溢れかえった。その間エルスウェーアはコロヴィア帝国・リーチメンによる侵略にも悩まされた。カジートは絶滅の危機に瀕したが、アリノール(サマーセット島のアルトマーの王国)がアネクイナ・ペレタインへの支援を開始し医者・治療術師、そして補給物資が届けられナハテン風邪の感染者は減少し始めた。アリノールからエルスウェーアへの支援はのちのアルドメリ自治領の形成に向けた足掛かりとなる。

2E580年、アリノールのヒデルリス王が逝去し王位継承者のアイレンが即位する。ダガーフォール・コヴェナント、及びエボンハート・パクトの勢力急拡大に危機感を感じたアイレン女王はアルトマーにボズマー・カジートを加えた新勢力の実現に向けアルドメリ自治領の形成を考案する。ナハテン風邪の収束にアリノールから大きな恩恵を受けたボズマーのキャモラン王朝とエルスウェーアはこれに快く応じ、こうして第一アルドメリ自治領が成立することとなる。

第一アルドメリ自治領の兵士たち

三旗戦争の最中の2E582年、マニマルコのカルト・虫教団によりオブリビオンゲートが開きモラグ・バルの放ったダークアンカーがタムリエル中の国土に打ち込まれる。ヴァレンウッドとエルスウェーアの国境、リーパーズマーチにもダークアンカーが直撃し被害を被ったとされる。

同年、コロヴィア帝国は再び北エルスウェーアへの侵略を再開する。更にヴァレンウッドの統治者の一人であった故・シルヴェナル=エドヘロームの弔辞へと向かう最中だったたてがみのアックルズ・リをジャヴァド=サールン率いるストーンファイア教団が強襲し、彼を洗脳した(彼に邪悪なたてがみの亡霊・ドロマスラの意識を植え付けた)。シルヴェナル=エドヘロームの後任としてシルヴェナル=インデニール、及びフィノレエルがリーパーズマーチの指導者となるが、洗脳されたアックルズ・リが彼らを襲撃しヴァレンウッドはリーパーズマーチから撤退することとなる。

その後、アックルズ・リはドロマスラの影響下から抜け出しムーン・ホロウと呼ばれる亡霊及び2人のエルスウェーアのチャンピョン・シャザとカリの助力でコロヴィアへの叛逆を図る。ムーン・ホロウはコロヴィア占領地帯の民兵の結束を助け、更にダークアンカーの破壊とドロマスラの除霊にも成功した。アックルズ・リはその後コロヴィア帝国に助力した期間があった事を理由にたてがみから引退し、シャザとカリを彼の後任者とした。

シロディールの帝都に出現したダークアンカー

コロヴィア帝国、及びモラグ・バルの脅威が去った2E582年にさらなる動乱がエルスウェーアを襲う。シロディール帝国のバトルメイジ、アブヌル=サールンは巨人の間に封印されていたドラゴン達を放って支配下に置き、ジョデの心臓を求めエルスウェーアに攻撃を開始する。アブヌルとドラゴン達を支配下に置きたいと野心を抱いたリンメン女王・エウラジア=サールンは彼らと同盟を組むが、アブヌルは彼女を利用したのち裏切る。その間に全エルスウェーア合同の防衛軍が組織され、リンメンはカジートの民兵たちの統制下に入る。ドラゴン達はジョデの平原に再び侵入しジョデの心臓の力を吸収しようとするが、民兵の活躍によりドラゴンによるジョデの心臓の掌握は避けられた。

エルスウェーアに来襲するドラゴン

2E582年に続いた動乱ののち、第二次アカヴィリ侵略の残党軍がアトレバス皇帝を狙い謀反を起こす事件が発生する。リンメンに亡命していたツァエシ達もこの動乱に加担するが、最終的に謀反に失敗し敗北したとされている。カジート達はこの混乱を利用し、第二帝国からの独立と消失領の再獲得を果たした。

2E812年、リンメンがエルスウェーアからの独立を主張し独自の王政設立を宣言する。リンメン王国はエルスウェーアのたてがみ達に特別税を支払うことを条件に独立を果たした。

2E854年、タイバー・セプティム(タロス)がシロディール皇帝に即位しセプティム朝の第三帝国が成立。第三帝国はタムリエル統一を目指しアネクイナに侵攻を開始する。アネクイナ、ペレタインの一部は再び帝国の支配下に入り、難民化するカジートが発生した。帝国は巨人の間をヌーミディウム(帝国がモロウィンドから獲得したドゥーマー製の兵器)の再建場として利用し、のちのアリノール侵攻にこれを活用した。巨人の間の獲得後、帝国はセンシャル攻略を開始しこれに成功する。抵抗したセンシャル住民は容赦なく殺され、虐殺があったとされている。最終的にエルスウェーアは帝国に投降し、全エルスウェーアを帝国属州とする条約を受諾した。しかし条約締結後も一部の勢力は抵抗運動を続けた。




第三紀

3E82年、政治手腕に問題のあるペラギウス二世がシロディール皇帝に即位するとカジート達はこれを好機と見、トーヴァルにて反乱を起こした。ペラギウス二世は帝国軍のみで反乱に対処することができず、スカイリムのマンティアルコ上級王から傭兵の賞与を受けることになる。スカイリム・帝国の連合軍はカジートの反乱鎮圧に成功し、その見返りとしてマンティアルコ上級王はペラギウス二世の娘・ガラナとの政略結婚を要求した。

3E389年から399年の間、帝国のバトルメイジ・イェーガル=サールンの謀略によりユリエル=セプティム七世が10年に渡り不在になる事件が発生する(その間イェーガルが幻惑魔法を利用してセプティム七世を演じ、実質帝国を支配していた)。その間にヴァレンウッドとエルスウェーアの国境紛争が勃発し、3E395年に五カ年戦争の引き金となる事件が発生する。カジートによるボズマー商隊の襲撃と略奪、ボズマーによるトーヴァル侵略と住民の虐殺があったとされているが、両陣営のプロパガンダが入り混じっており事件の前後関係ははっきりしていない。ヴァレンウッドによると五カ年戦争は3E394年に始まったとされている。

3E399年までにエルスウェーアはヴァレンウッドとの戦いに勝ちザイロ川周辺とマラバル・トール地方を獲得するが、セプティム七世が空位から戻ると帝国はエルスウェーアにこれらの地域をヴァレンウッドに返上するよう命令した。エルスウェーアはこの命令を拒否し、帝国属州からの離脱を宣言する。

オブリビオン動乱の直前の3E432年、長年続いていた帝国属州のレヤウィン国とエルスウェーアの国境紛争がレヤウィン国の勝利に終わる。エルスウェーアは五カ年戦争で獲得した地域に相当する領土を失うこととなるが、渋々休戦条件を受け入れる。多くのカジートはこの条件に納得せず、非合法組織のレンリジュラ・クリンをレヤウィン国に送り込むなどして工作を続けた。

3E433年、レヤウィンの城壁都市

第三紀の終わる直前からエルスウェーアではムーンシュガーの生産と密売が横行するようになり、センシャルではスラム街と密売人による高級街が同時に出現するなど格差が拡大した。密売人として悪名高いヤ・ティルジェという名のカジートは“金の猫”と呼ばれ、衛兵に賄賂をし続けることで摘発を免れていたとされている。

ムーンシュガーとスクーマ吸引パイプ("Morrowind"より)




第四紀

オブリビオン動乱の最中セプティム七世が暗殺されると、空位を埋めるためオカトー元老院議長がシロディール帝国の指導者となり第四紀の開始を宣言する。しかし4E10年、オカトーも何者かによって暗殺される。帝国は権力空白状態に陥りこれは“ストームクラウンの大空位”と呼ばれた。その間にエルスウェーアは再び独立を果たすが、政情不安定な状態が続いた。

存命時のオカトー元老院議長(3E433年)

4E48年、たてがみの一人が暗殺されるとペレタイン地方は混乱に陥る。アネクイナ地方ではリンメンの有力者が実権を握りムーンシュガーの流通制限、各部族の徴用などが行われた。

4E98年、双子の月・マッサーとセクンダが2年間にわたり消失する事件が発生。この事件は後に“虚無の夜”と呼ばれた。4E100年、サマーセットにて実権を握ったサルモール政府が双子の月の再生に成功したと発表し、カジート達はサルモールに信用を寄せるようになる。

双子の月、マッサーとセクンダ

その15年後の4E115年、エルスウェーア連合国は帝国の影響下を完全に離れアネクイナ・ペレタイン連邦王国として第三アルドメリ自治領に加入する。これによって第三アルドメリ自治領はシロディール帝国に代わりタムリエルの最大勢力となる。

4E201年時点でエルスウェーアはサルモールとの連合を続けており、サルモールの暗殺者でカジートのシャヴァーリ、ジダサール達がスカイリムにて活動している。一方でリサ―ドのようにサルモールとの連合を快く思わないカジート達も一定数存在する。

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