女の資産と負債
友人のご主人が亡くなった。
彼女より20歳近く年上だったから、もう70歳近かったはず。40代後半の友人は、数年に及ぶ不妊治療の末に授かった3歳の双子の男の子を抱える未亡人になってしまった。
テニスで出会った二人が結婚した時、友人は35歳で、ご主人は50歳前半。当時はまだ若々しくてハンサムだったし、ずいぶんと羽振りが良かったらしい。
企業法務の弁護士として働くミッドタウンの高層ビルのオフィスで、極度のプレッシャーから、窓から身を投げたいという思いが一日に何度もよぎっていたという彼女は、結婚してすぐに仕事を辞めた。
ところが、投資家であるらしいご主人は、金銭的なポケットがどれほど深いのか皆目検討がつかない。
彼女いわく
「一見あるようだけど、全くわからない。まるで曇りガラスに囲まれて暮らしているような感覚。」
特にリーマンショック以来、彼女の預貯金はもちろん、周囲の人から投資資金を集めて、それがどこかに消えてしまう... といったトラブルも何度かあったらしい。
アッパーイーストサイドでお手伝いさんとナニーを雇って暮らし、夏はハンプトンズのビーチ、冬はアスペンのスキー場....外からは典型的な1%の暮らしを送っていたかのようにみえたけれど、私が知るなかで、一番心が不安定で不幸な人だと思う。
ご主人が生きている時も、いつもお金の心配をしていた。
弁護士としてフルタイムで仕事に戻るくらいなら窓から飛び降りる、かといって、今更年収一千万にも満たないような仕事をするなんて無理。
そうなると、頼るべきはご主人であるけれど
「銀行口座に数ミリオンあるような経済状態ではない」
加えて、周囲は桁違いの金持ちばかり。
「私はなんて惨めなの」
ガリガリに痩せた体からはそんな気配が滲み出ていた。
女友達がほとんどいない彼女が、私には心を開いて、色々と話してくれた。どうしてだろう?と不思議に思っていたけれど、今ならその理由が分かる。
私も数年前まで同じだったから。同じ臭いがしたんだと思う。
銀行口座の残高に関係なく、資産を食いつぶして、負債ばかりを増やす生き方は心身を消耗させる。
自分で稼ぐことをやめて、身の丈に合わないライフスタイルのために男に依存して、日々衰える外見を嘆くような、生産性のない毎日と募るばかりの不安。
そんな生き方から抜け出すには、自分の意識を変えるしかない。
お金もキャリアも外見も人間関係も、年齢を重ねる過程で資産として蓄えていくか、負債として抱え込むかは全て自分次第だし、少しずつでも前進している...と思えれば、どの地点に立っていても、晴れ晴れとするものだ。
私もこれまで東京とニューヨークでさんざん負債を溜め込んできた。
外側だけそれなりに固めていても、足元がグラグラだから、すぐにポキっと心が折れてしまう。
残りの人生までそんな風に生きるのは嫌なので、これからは、仕事もお金も人間関係も、年と共に豊かになる自分にしたい。
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というわけで、女の資産計画記録をつけることにしました。良かったら、たまに読みにきてください。
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