「漢字を学ぶ」ではなく「漢字で学ぶ」石井式漢字教育 その1

石井式漢字教育の方法を研究をしつつ、思いついたようにたまに、子どもたちと一緒に漢字で遊んでいます。このときの子供の年齢は、4歳とまだ小学生になっていない6歳。

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この写真は、かなり久しぶりに漢字カードを出してきて、体の小さい順に動物の漢字を並べてもらい、読み上げてもらうゲーム。まだ教えてない漢字もあったけど、なんとか正解。次の動画は、違う時期に試したもの。

石井式漢字学習とはなにか

まずは、個人的な実験を通して感じた自分なりのシンプルな定義から。

「幼児(0〜6歳)に、「漢字」をイメージとして捉え、漢字の読みを覚えさせる効果的な学習法」

石井勲教育博士という研究者による漢字の学習に関して、2冊を完読しましたが、漢字を学ぶというメカニズムに関して、今まで自分が知らなかった驚きの事実を知ることができました。理論だけでなく、博士自身が実際に生徒に指導した結果を踏まえて書かれている本なので、説得力があります。


以下は、読んで覚えている印象に残ったポイントです。
• 漢字習得そのものが日本文化を理解していくベースとなる

• 小学校高学年になるにつれて、漢字の学習の能率は下がっていく。小学校1年生の方が、5,6年生に比べて、苦労なくすらすら漢字を覚えていく。複雑な画数の多い漢字が、高学年向きという説は、正しくない。

• ひらがなよりも漢字のほうがグラフィカルで、子供は覚えやすい。「鳩(はと)」のほうが「鳥」「九」よりも記憶に定着しやすい。

• 小さい頃から漢字に親しませておくことで、脳が開発され、その後、大きくなっていく過程で勉学においてかなりのアドバンテージがある。(受験のために塾に通わず、早慶に受かるなどのケースも)

• 国語力が全ての学問のベースとなる。従って、漢字力が身につくことが、全ての知識、知恵の根幹となる。
理科、算数なども、国語力があってこそ、出来るようになる。

• 漢字アレルギーにならず、本が好きになる

• 読み書きを同時に行うよりも、まず読めるようになる方が肝心。読めれば、自分の興味のある本を自分で読めるようになるので、どんどん自分で学んでいく姿勢がつく。

• 漢字の「書き」は重要ではなく、石井勲先生自身は子供の小学校の漢字の書きの宿題自体も無視していた(自分がヘタウマ字で漢字の宿題をかわりにやってあげた)。その代わりに漢字混じりの絵本で、一緒に本をよむ時間を作っていた。

• 漢字がわかるようになると自然にかなやカナも身についていく。とにかく漢字ファースト。

• 日本語でも英語でも、学力の高い学生に共通している点として、語彙力がある。つまり国語力が高いことが発見されている。

ひらがなより漢字が楽とはどういうことか?

子供でも大人でも、実はひらがなより漢字が入っている方が楽なんです。ひらがな、ローマ字、漢字を比べると、漢字を読み取る時間はひらがなの10倍。

例えば下記の例を読んでみて、漢字が瞬間的に目に入り理解されることを体感してみてください

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「kanagawa」
「かながわ」
「神奈川」
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「きょうきょうとできょうばしをわたった」
「今日、京都で、京橋を渡った」
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「しょうがっこうであいさつのれんしゅうをした」
「小学校で挨拶の練習をした」
…………………………………………….

どうでしょうか? ひらがなよりも漢字入りのほうが、読みやすく、理解もしやすいですよね? ひらがなよりも漢字先行で学んだ子供は、本を読む時間も短く(ひらがなから学んで育った大人よりも早く読める)
理解している度合いも深いそうなんです。

また、ひらがなも漢字も学習してこなかった小学1年生の子供が、漢字を先に覚えてしまうケースもあるのです。これから、結論づけられるのは

ひらがなのほうが簡単に覚えられる、というのは大人の勝手な概念

であり、明治時代移行変わらない学習指導要領ということです。つまり、本当に「ひらがな」>「カタカナ」>「漢字」の順で習得させるのは必ずしも万人に当てはまるわけではない、と言えると思います。

他にも、本には、 脳に障害を持ったひらがなの1文字も覚えられなかった5才児が、漢字を教えたらすぐに見に付けた例や、 幼稚園児は、さらに、漢字を覚える能力がある時期で、実際に実践している幼稚園も多数あるそうです。

この2つの動画が参考になります

石井先生によれば、小学校にあがるまでの年齢で、小学校で学ぶべき漢字の数1026字を習得することは十分可能だそうです。

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https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/koku/001.htm


• 肝心なのは「漢字を教える」のではなく「漢字で教える」つまり、日常生活で、漢字をできるだけ使う。
• 漢字を「教えない」。教えることを主目的としない。
あくまでも、自然な環境で漢字を使っていき、漢字を認識させるチャンスを増やす。


石井勲博士のオフィシャルサイト
http://www.isiisiki.co.jp/

次に、我が家でどのように工夫して実践、実験したのかをお伝えします。

家で石井式漢字学習を実践する方法


1:家にモノに、できるだけ漢字をカードに書き、貼りつけておいて、見てもらうチャンスを増やす。(実際のモノと漢字を結びつける)

2:できる限り「漢字」を使ったコミュニケーションをする。例えば、ものを頼むときも、口でいうだけでなく、漢字混じりの文章を紙に書いて渡して読む。家に大型のホワイトボードなどを用意しておけば、さっと、思いついたときに書けます。

3:絵本は漢字混じりの絵本を用意する。石井式で、でています。

4:保育園でやっているように、絵本で使われている漢字を大きなカードにして、フラッシュカードとして、復唱させ、その後、漢字カードをつかって絵本の物語の読み聞かせを行い、最後に、子ども自身が自分の絵本で指で文章を追いながら、音読する
リバーホエール絵本館という出版社が、この石井式に準じた漢字まじりの絵本と、絵本にでてくる漢字カードを発売しています。
https://goo.gl/guASzZ

我が家では、自作で、子どもたちが聞いて知っている言葉を漢字にして、カードをつくっておきました。

5:食事の前後などの「ご褒美」として、漢字カードゲームをする。月曜日から土曜日まで一枚ずつ漢字カードを紹介し、読ませる。読めたら褒め、(褒めすぎないこと)読めなくても叱らないで、普通に「これはこう読むんだよ」という程度でさらっと流す。

おすすめ図書


今回読み上げた本はこの2冊。kindle化もきっとされないような古い本ですが、かなりおすすめです。

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0歳から始める脳内開発―石井式漢字教育

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幼児はみんな天才―石井式漢字早教育のすすめ

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