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女性のメイクが載ってる模型雑誌を読んだ話

最近、プレバンなどで女児アニメ(おジャ魔女どれみとか東京ミュウミュウとか)のコスメが販売されている。キャラクターグッズなので当然メインキャラのイメージカラーのファンデやアイライナーなどが売られていて、相性次第によっては大事故になったりならなかったりするやつだ。

アニメのコスメグッズという商売は私が中高生の頃にはほとんどなくて(オタクはお洒落に金を落とさないというのが通説だったのだ)、そういうオタコスメが斬新に見えて自分で使いもしないのにたまにページを見たりしていた。

私は化粧をしない人間なので、コスメがどうのこうのという話をする資格はない。ツィッターに流れてくる女オタ界隈のオタコスメ話はほとんど模型の塗装に翻訳して噛み砕いているほどである。

化粧は模型に似ている。模型オタクの間ではよく囁かれている通説ではあるものの、それを真正面から言い出す勇の者はなかなかいない。だって男のモデラーがコスメコーナーに入るの恥ずかしいし……。

ところが2020年11月。模型雑誌の大御所「アーマーモデリング」が誌面にコスメの基礎知識を載せてモデラーをザワつかせた。

「模型実質化粧理論」をあのアーマーモデリングが取り上げたのは結構な衝撃だった。ちなみに、アーマーモデリングとはかなり歴史ある模型誌で、あの宮崎駿が「風立ちぬ」の漫画を連載していたことで有名である。

当然模型誌なので、人の顔ではなく模型の顔に化粧をする。そしてアーマーモデリングは主にスケールモデル(バイクとか戦車とかのプラモ)を取り上げるので、「強くてカッコいい」女性フィギュアを作って戦車やバイクの横に置くとアゲアゲだぜ、ということを書いているのである。

さて、肝心のコスメ記事だが、プロのヘアメイクさんガッツリ監修の、オタクにコスメをわからせるやつでした。あとヘアメイクさんが塗装したプラモもあるよ!

メイク用語からメイクの手順まで、模型に翻訳しながら丁寧に解説されている様ははっきり言って異様。異様だが、モデラーとしてはかなり使える。

よくよく考えてみたら、美少女プラモを作る際に実際のメイクのやり方を知るのは大きなアドバンテージになる。コトブキヤの美少女プラモにもヌーベルカレーパステルによるチークの塗り方が書いてあるんだけど、それに加えてアイラインとかアイブロウとかリップを考えていくのは楽しくないですか。

模型におけるお化粧の概念というと女性ユーザーの多いドール界隈が一番発展していて、反対に男社会であるプラモやフィギュアではあんまり……という感じなんだけれども、界隈の当たり前から一歩引いたところにある知識を勇気を出して持ってくると見えてくるものがあるんだなあと思った。

特集は「強くてカッコいい女」が特集されているのも良かった。「女」と「プラモ」が結びつくと、どうしても甘さカワイさの方面に走ってしまいがちで、それ以外のアプローチについて言及している記事は少なかったからだ。

写実的なスケモの女フィギュアが中心の記事のため、美少女プラモにそのまま援用するのはちょっと難しいかもしれないが、「異業種のプロの視座からプラモデルをどう捉えるのか」というアプローチは大変面白く「なるほど」と思った。

この他にもプロのカメラマンによるSNS映えする女性写真のテクやコーディネイターによる女性フィギュア服装塗装指南など見どころてんこ盛りでした。

ただ、そういう特集の横でAV女優のプラモや水着美女のプラモがあったり、特集で「強い女」として規定されている女兵士や女ライダーが男性目線で書かれているのがプラモって本当に男社会だな~~~~~~と思いました。

最近の美少女プラモがひたすら露出度多めな方向に向かっていくのがなんか嫌で(まあ裸に近い方がドール衣服を着せやすいという事情もありますが)、そういったことへのカウンターパンチとして「強い女」特集を期待していた向きもあったのですけど、それでもやはり「女=露出度高い衣装のキット」というアプローチになってしまいがちなのは考えていかねばならない問題ですね。

というか、今度は顔の良い男のプラモの塗り方や作り方の特集、してくれませんかね……。

カーモデルにたまに付いてるフィギュアがだいたい露出度の高い美女でつらいんですよ。ホビージャパンで一度顔の良い男ライダーの作例があったけど、ほぼフルスクラッチだったので……。


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