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『はじまりのはじまりのはじまりのおわり』

『はじまりのはじまりのはじまりのおわり〜小さいカタツムリともっと小さなアリの冒険〜』
アヴィ作 トリシャ・トゥサ画 松田青子訳
福音館書店 2012年

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主人公はカタツムリのエイヴォン。本を読むのが大好きで、毎日本をあきることなく読んでいます。

いろんないきものたちが、冒険をして、それを終えるときには、とっても幸せそうで。そしてこの先もずっと幸せであることを確信しているようにエイヴォンには見えるのでした。

冒険をしたことのないエイヴォンは、本を読めば読むほど、気持ちがしずみます。

『ぼくも冒険がしたい。
冒険しなければ。
だってそうしないと幸せになれない。』

この数行がわたしの心を掴みました。
わかるよー、エイヴォン!!!
わかりすぎて、かわいい。

みんなみたいにしなきゃ幸せになれない。
あれをしなきゃ幸せになれない。
と思ってしまうわたし。

このあと、エイヴォンは偶然通りかかったイモリの一言で、冒険を探すための冒険へと出かけます。
自分ののんびりした性格をちゃんとわかってて、すぐに出発するのです。
かっこいいぞ、エイヴォン。

そして、またまた偶然、小さなアリ・エドワードという旅の仲間もできます。

このふたりのコンビがまたすてき。

エイヴォンとエドワードの歩く速度がちがいすぎて、エドワードはこの先どうなっているかひとりで先に見にいってしまいます。
それでもエイヴォンは自分のペースで歩き続ける。
あせったりもしない。エドワードのことも止めもせず送り出す。
戻ってきたエドワードはその後うまくエイヴォンの速度に合わせます。ときにいらつきながらも…ね。

それぞれがそれぞれのペースで、でも相手のことを思いやって、冒険を続けます。

最近、よく人と生きていくってどういうことなんだろう?と考えることがあります。
だんなさんやともだち、職場。
それぞれ生きるスピードや感覚や大切にしたいものがちがって、それでもいっしょに時間をともにする。

このふたりを見てて、そのときそのときの自分に正直で素直でいるというシンプルなことなのかなと感じました。そして、それを正直に素直に伝えること。

大切なことはいつもシンプル。
素直な気持ちもいつもシンプル。

かんたんだけど、それが難しいのも人間。
むしろそれこそ人間⁉︎

冒険を探すための冒険は、たくさんのエピソードにあふれています。どれかわいらしくて、ほっこり。
でもね、エイヴォンたちはいつも、真剣。

きっと、宇宙から見たら、人間の日々はこんな感覚なのかもしれない。
みんなかわいいなと見守ってくれてるのかもしれないですね。

ひさしぶりにタイトルに惹かれて、手に取った本は、いろんなことを感じさせてくれました。








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