見出し画像

【里親さん】とは

保護猫活動をしていると、保護して人と暮らせる子に出会う事が多いです。その昔は猫は野生動物として暮らしていましたが、その後何千年もかけて家猫種となり、人と一緒に暮らす動物となりました。
現代社会に置いて食べる小動物も居ない、ゴミの管理も徹底されてる社会システムの街で猫が暮らして行くのはとても過酷です。

子猫人馴れが出来ている成猫はなるべく保護して、家族としてその命を全うするまで責任を持ってお世話をして下さる人間、それが里親さんです。

うちの団体でお手伝いしたり扱った里親さん案件からお話します。
まず、5年前にお手伝いしたチビちゃん。大阪の都市部で暮らして居た野良猫で、色んな方から街角でご飯を貰っていましたが、交通事故で仲間の猫さんが亡くなり危険な場所のため保護されました。
その後避妊手術を受け、里親さん探しを友人がしていたのですが、猫白血病持ちだった事もありなかなか里親さんが見つかりませんでした。色々なネットの里親さんを探すサイトで募集をかけて居た所、くるねこさんのブログで取り上げられたのをキッカケに三重県の裕福な家庭の方から名乗り出がありました。
他にも病気の猫さんを看てるとの事で、友人も安心してチビちゃんを預けたのですが、それから一切連絡が取れなくなります。
何度も連絡をし、3ヶ月後に電話が繋がった際に「あの猫はいつの間にか死んだ」とだけ伝えられました。室内で飼わず外に放ったまま庭先に餌皿だけを出してた状態で、食べなくなって来たのが分かって居たのに動物病院に連れていかず、その後死んで居たとの事です。
ショックを受けた友人はその後から保護猫関連の事柄に一切関わらなくなりました。

次に私が団体を立ち上げ、私の管理の元里親さん探しを行ったイチ・ニコ・サンタの3匹の子猫の案件です。私の住んでいる街の隣町は大阪でも有名な猫の虐待地域です。その場所で生まれた子猫と母猫を何とかしてくれと住民から依頼され、全頭捕獲して手術を行い、母猫は地域猫としてTNRとなりました。
子猫3匹を友人に一時預かりして頂き、毎日の映像を送って貰い編集してYoutubeに載せて里親さん探しを行っていましたが、一時預かりして貰ってる友人の職場の同僚の方がトライアルで預かる事になり、そのまま正式譲渡となりました。
譲渡から3年経った今でも元気な姿を送ってくださり、一家全員に愛されて暮らしているのがとても伝わって来ます。今まで出会った里親さんの中で一番理想とする形です。

パステルカラーのいろは

次に、近所のゴミ屋敷のおばあさんからの依頼で保護した子猫のいろは譲渡会にも参加し一番人気の子でしたので、最終的に2組の方から応募がありました。
片方は独身の若い女性の方ですが、2匹目の猫さんとしてお迎えしたいとの事で、かなり色々お話をしましたが、この方にならいろはをお願いしても大丈夫だという感じを受けました。
もう片方は夫婦の方で、こちらも2匹目の猫さんとしてお迎えしたいとの事で、マンションも分譲を購入済みで広いお家なので、こちらのご家庭でお願いしますと譲渡会の代表からお願いをされました。
その後LINEやお電話でトライアルに向けてお話を詰めて行くのですが、毎回お返事がとても遅く24時間居以内に頂け無い事が何度かありました。加えて、譲渡会会場での事前アンケートの回答に虚偽の申告もありましたので、私達団体のメンバーで話し合ってお断りする事になりました。
すると、譲渡会代表の方に苦情が入り、常識外れの時間に連絡が来ているため返信が遅れるのは当たり前の事だと言われます。確かに私は夕方まで仕事をし、その後0時近くまで保護猫活動に出て、帰宅後に家の事や仕事の続きをするので深夜にご連絡をする事が多いです。しかし、送信してすぐにお返事を頂けないのを問題にした事はございません。それから24時間以内にご連絡頂けるかどうかという所で、どういう人物か見ているのです。これから大事な家族になる子の連絡事項なのに、24時間以内にお返事が出来ないというのはどういう状況なのでしょうか。3食ご飯もお風呂も取れないほど忙しいというのでしたら猫のお世話をお任せ出来ません。
食事や休憩や睡眠を取る時間より、家族として迎え入れる子に関する返事が後回しになる方は信用出来ません
その後、里親会の代表から親権を全て放棄して私に任せなさいと呼び出されて説教を受けたり、トライアルに向けてケージ一式を買ったので弁償しろなどと言われ、お支払いをしたり譲渡会に今後参加しない事になりました。
ちなみにその譲渡会はしばらくした後解散となり、全てを隣の市の保護猫団体に丸投げして代表は居なくなりました。


飼い主さんが入院前に外に出されたミイちゃん

次に、去年高齢者の方が亡くなり飼っていた猫外に出されたままになっているため何とかして欲しいと隣町の住民から依頼がありました。
遠方に住む親族の方が引き取る気はあるとの事でしたが、仕事が忙しいとの事で引取に来られる日は2ヶ月ほど先を予定されていたので、毎日足を運びミイちゃんのお世話をしました。
とても人馴れした子でしたので、足元で食べてる所を後ろから首根っこ一本釣りで捕獲し、親族の方が来られるまでご近所さん一時預かりをお願いしました。
親族の方が来られ、譲渡誓約書にもサインをして頂き説明も何度もしましたが、親族の方が引き取られるという特殊ケースでしたので、余り厳しい事は言わず、最初の3ヶ月毎月写真を、その後譲渡が経った半年後1年後に現況報告をして貰い、その間に動物病院での検診ワクチンをお願いしますというお約束でした。
しかし、毎回何度も催促しないとお写真は頂けなく、倉庫に居る写真なども送って来られ、本当に大事にされて居るか不安な日々が続きます。

こんなん寒いですやん

息子さんがお世話されてるのではなく、亡くなった元飼い主さんの妹さんがお世話してるとの事でしたので、依頼をしてきたご近所さんは何度かお電話でお話をしているとの事でしたので、何度も連絡をして頂き夜になると倉庫から居間に戻って来てこたつの周りでゴロゴロ言ってるとのお話でした。かなり言葉を選び強めに対応して来ましたが、これ以上強く出るとミイちゃんの今後にも影響しそうですので、2月のお写真と8月のお写真を頂いて元気そうならそれで納得するしか無い状態です。もちろんそれまでに何かあった場合は、現地に私が直接出向いて対決してきます。

真実はどこに

前置きが長くなりましたが、今まで1組しか信用の出来る里親さんと出会えていません。里親さんに求められている物が何かというと、

1️⃣責任感のある方
2️⃣譲渡元の団体や個人の方が求める連絡を取れる方
3️⃣誠実な方

何かこう書いてますと、人としての信頼感や安心感や性格や人柄のお話になってきます。端的に言うと良い人悪い人か。良い人と言っても段階があって、普通に生きているけど面倒な事や責任のある事はやりたく無く波風立てずに生きてるといった類ではなく、家族を大事にし友人を大事にし必要な事なら面倒な事でも率先してやる様な方を指します。

そういった人間は少ないため、最低限の条件を実行して貰うために保護猫団体は譲渡条件を厳しくしていると言って良いと思います。
保護猫団体から認められ安心して任されて保護猫や保護犬を飼ってるご家庭って相当信用感のある優良物件だと思います。社会的信用も高いでしょう。

逆を言えば、保護団体からも信用されず、保護犬や保護猫を引き取れないけど自分が癒やされるため可愛いペットが欲しいと札束ビンタで犬や猫をペットショップで買う人間が殆どなのです。そういった方に社会的信用人間的信用もありません。
里親さんを待っている保護犬保護猫は世の中にたくさん居ますが、それらをお迎えする徳の高い人間はほんの少ししか居ないという事です。
野良猫が減らないのは捨てる人間が居るからです。ジモティーとか何の責任感も無い里親さん募集サイトを利用して手軽に猫を迎え入れ、思っていたのと違った懐かないなどの理由で簡単に外に捨てる人間がどれだけ多いか。
売れない年齢になったり繁殖力の落ちた猫を街に捨てる業者も居ます。うちの街には野良猫ではありえないシャルトリューやロシアンブルーがたくさん居て、7匹前後確認出来る事もありました。
人間の都合で捨てられる猫さんがどれだけたくさん居るか。だからこそ譲渡する際の里親さんの見極めが重要になるのです。

私の街は虐待地域も近く、人にいじめられ人を信用していない地域猫さんが沢山います。その子達のお世話をして人馴れが見込める子を直接保護も何度もしていますが、家でお世話をしていてもなかなか譲渡に出せる位の人馴れには持っていけません。人を怖がる事が心の奥底にずっとある子達ばかりです。

里親さんに一番求められている資質は、保護猫団体を安心させるだけの気概を見せてくれる事なのかも知れません。とまぁ、こういう事を言ってると面倒くさいだの干渉されたくないだの言われて札束ビンタでペットショップの子を買うのですよね。でも私達は譲渡した後自分の所より不幸になるために送り出してる訳ではないので後悔は無いです。どれだけ人間の生活が苦しくなろうとも、保護した猫さんの里親さんが見つからず費用がかさんでも、幸せに暮らせる様お世話をしています。

以前この事を大阪ねこの会の代表と話し合った事があります。
代表が言うには、今里親さんが見つかる子は、里親さんをデレデレに惚れさせる子じゃないと難しいとのお話でした。
抱っこや爪切りや歯磨きのケアをもちろん出来て、里親さんにごろごろと甘えて行き一緒に寝れる様なくらい懐く子。
子猫の初期に保護して人間が怖くない事を教え込み沢山の人間と接して来ないとなかなかそういう子には育たないでしょう。
保護してあげたい成猫はたくさん居ますが、簡単に保護してあげられない実情が最近私を悩ませています。