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鶏を切る人

そろそろクリスマス用の鶏の予約が始まりましたね。欧米では、ローストした鶏や七面鳥を切り分けるのは、家長の仕事。家長がこの家の食を支えている(昔は、狩猟での獲物を持ってくる)ことを示す意味合いだったのでしょう。

これが、中世の宴会になると、その場で一番の剣の達人の騎士に「あなたの素晴らしい剣捌きを見せてください」(若干意味が違うような氣がしますが)という意味合いで、切って貰っていたのだとか。切り分けることを頼まれると、「俺が一番の剣の達人って思っているんだ!!嬉しいな!!」という氣分になり、喜んで引き受けたのでしょうね。切り分けを頼まれることは、かなり名誉だったようです。

剣の名人ばかりが揃っている宴会だと、誰に頼むか難しいですね。名誉が何より重んじられていた時代ですから。下手をしたら、頼まれなかった騎士と頼まれた騎士の争いとか、頼んだ人と頼まれなかった騎士の争いになってしまうかもしれません。((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

一番無難なのは、主君がその場にいて、順番に指名するやり方だったのでは? 円卓の騎士達が、それなりに長く続いていたのは、アーサー王がそのあたりを上手く指名していたから、かもしれません。(私見です、あくまで)

きっと、当時の肉屋並みに捌き方が上手かったであろう騎士達と違い、現代の家長は、鶏の捌き方を勉強しているようです。赤毛のアンのシリーズで、新婚のアンとギルバートの家のクリスマスに、マリラとリンド小母さんを呼んだので、鶏の捌き方をギルバートが何度も本を見返しているという場面がありました。

我が家には、鹿の角が柄になったカービングナイフとフォークのセットがあります。使うのは年に一度か二度、クリスマスとイースターの時。クリスマスには鶏を、イースターにはラムを切ります。このセットを使うと、ご馳走感、特別感が盛り上がります。これは、いつも私の仕事。刃物を使うのが得手でない夫には、させられません。傷でもつけられたら、嫌ですからね。

毎年鶏を切り分けながら「欧米では、一家の家長がするんだよ」と子供に説明していましたが、「だったら、俺がやる」と言う発言をされたことはありません。ひょっとしたら、私が我が家の家長(実力者)? ちゃんと、表面は(!)夫を立てていたんだけれど、本音が漏れていたかしら?

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