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レーシングカートは青春(SL第3戦)

青春といえば、努力・友情・勝利、あとは恋があれば完璧。
十字路で食パンくわえた転校生と出会うのなんて日常茶飯事。

今回は、おっさんが一人で青春するうざい話です。

1.ブラウザを閉じないこと
2.キモっとか言わないこと
3.サーキットで会ったときに冷やかさないこと

以上を厳守のうえ、何卒よろしくお願い申し上げます。

まずは努力。
レース前日、舟橋教授に聞いた。

ニャ
「最終コーナーに苦戦しております」

カツ
「あそこのコツはまず、ぜんか・・・」

ニャ
「すみません、フラグ立つのでやめておきます」

今回、メカニックはチームメイトの赤座氏。
友情の始まりを感じる。


予選ヒート

1周目、舟橋選手に秘訣を聞かなかった最終コーナーが見えてきた。
今回はフラグが立ってない!

最終の処理でストレートの伸びが変わる、一気に勝負をかけるぜ!
来いっ「勝利!」


うぉぃ

青春、終了。


亀の子になった自分の前を、全員が通り過ぎる。
すぐ降りて再開しないと。

でも、身体が動かない。

前戦RMCも同じ場所で、同じことをしている。
また他の方に迷惑を掛けてしまった。
レースを荒らしてしまった。
罪悪感が押し寄せる。

練習もたくさんした。
調子も悪くなかった。
ヘルメットも新調して、前日から楽しみだった。
なのに今、うごけない。

おっさん、感情が止まらない。

予選ヒートは始まったばかり。
まだ決勝ヒートもある。
それはわかっている。
諦めないドライバーを見て何度も感動した。
でも今自分はここで、一体何をしてるんだろうか。
こんなに下手なのに、瑞浪まで4時間かけて来て、何を頑張っているんだろうか。
やっぱり、自分にはレーシングカートなんて乗れない(涙

いい年したおっさんが、全くみっともない。
心が折れて、ステアリングにしがみついて、身体が動かない。

時間にして10秒くらいだろうけど、初夏のような暑さと、遠くに聞こえるエンジン音が、永遠のように感じた。
結論、おうち帰りたい。


ふと気づくと、誰かの声が聞こえる。


「いける。いける。」

「いける、いけるよ!」

「出れるよ、いけるよ!」

ついに幻聴かと思ったら、オフィシャルの方だった。
ヘルメット越しでぼんやりだけど、何度も何度も、繰り返し声が届く。


コースクリアの「いける」

カートは大丈夫の「いける」

まだいけるの「いける」

恋ってこうやって始まるのかと思った。

飛び降りてカートを持ち上げ、コースに復帰する。
エンジンを掛ける。

「OK!」
力強い声に背中を押された。

走行再開してホームストレートに戻る。
メカニックの赤座氏が応援してくれてる。
諦めなくてよかった。友情来た。

レース終了まで、ずっと頭のなかで、「いける」がループして、そのままチェッカー。


決勝ヒート

14位スタート、5位チェッカー。
勝利ではないけど、お米が頂ける順位である。

とても良い1日だった(恋もした)。

レースを自分中心に捉えてはいけない。
コースがあって、たくさんの人がいて、レースがあって、その中の一つとして自分が参加している。
子供の頃からカートに乗ってるドライバー達は、こういうことを学んで大人になり、輝いていくのだろうと思った。

帰り際、そのオフィシャルの方にお礼が言いたかった。
しかし、人見知り炸裂で声掛けられず。
こういうのも青春っぽい。

次のレースこそ、あきらめず、ちゃんと気持ちを伝えたいと思う。
そのためには最終コーナーを全開で・・・


次戦予告

注)ニャンコネンは猫耳美少女ではなく、濃縮還元120%のおっさんです。