“メンズ”コスメがつくる世界
この数年でメンズ向けとして発売されるコスメがグッと増えた。
ハイブランドから新たにうまれたブランドまで本当にたくさん。
その中で、“メンズ”コスメ、メイクと名付けることで生まれるものが多くあることに最近気付いた。
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自分自身でいわゆる“コスメ”と言われるものを使い始めて10年くらい経ったかと思う。思い返すといろんなものを使ってきたなぁとしみじみする…本当に試行錯誤しまくっていた(今もだけど)。
SNSが今ほど活発ではなかった当時、雑誌を買うこともなんだか気恥ずかしくて、周りにも相談できる人がいなかった。
メンズメイクなんて言葉もなかったから、メンズ向けに売られているものもほとんどなかったと思う。
恵まれていたのは当時バイトしていたPLAZAでコスメ(とお菓子)担当だったこと。いろんなアイテムを実際に目にして手に取れたし、試すこともできたし、スタッフ割で買うこともできた。
PLAZAは今でも大好きでたまに覗きにいく。
それでも他のお店でコスメ用品のエリアに行くことは勇気がいった。
もちろんコスメの話をするのも、メイクをするのも、ポーチを出すことさえも勇気が必要だった。女性はオープンにメイクをするのに、自分の気の弱さもあって裏でこそこそしていた。
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最近はメンズがメイクをすることも随分と一般的になってきた。
それは、メイクを発信するりゅうちぇるさんやMattさん、雑誌のメンズモデルさんたちや、バッチリメイク当たり前の韓国アイドルの流行と、メンズコスメが多く登場してきたことが大きいと思う。
最近の韓国コスメは男女をビジュアルに使ったブランドが多く登場しているし、日本でもORBISによるORBIS Mr.、THREEによるFIVEISMやBOTCHANなどいろんなブランドが登場している。
その中には“メンズ”コスメと謳っているものもあるし、ジェンダーレスに使えることを目指すものもある。
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“メンズ”と銘打つことにはいろいろと考えさせられる。
そう名付けられたものだったら、購入する心理的なハードルが下がる人もいる。まだまだ市場が出来上がっていないメンズコスメだからこそ、より社会に浸透させるため、まだコスメを手に取ったことがない人に向けて、そういった点ではとても意味のある言葉になっている。
昔は、自分自身でもそうだった。初めて購入したものはメンズ向けBBクリームとかコンシーラーだったし、“メンズ”と書かれていることが免罪符のようなものになっていた。「手にとってもいいんだよ」と言われている感じ。
そもそもの知識もなかったので、メンズ向けじゃないと使えないのではないかとも思っていた。
その一方で、“メンズ”というラベルを貼られることに違和感を持つ人もいる。自分もその一人だ。
こういう時の“メンズ”として打ち出されるのは、世の固定概念としての“男らしさ”。コスメに関して言えば、“男臭さ”を強く打ち出しているものが多い。
こうなりたくないだろ?じゃあこれを使わないといけないぞ?という強迫観念に近い。
自分をこれに当てはめたくないから使いたくないと思うこともある。
“男らしさ”を否定するわけではない。シンプルに自分はそうありたくないだけ。
メイクをするのも、美しくあろうとする自分が好きなだけ。
きっといろんなことを思う人がいる。
“メンズ”コスメはこれからどんどん盛り上がっていく。
その中で大切なのは、ブランド側もユーザー側も“どのようにありたいか”なのだと思う。それぞれの軸をみんなが認めて応援できたら、もっとコスメの世界は楽しくなる。
何かを否定して始まるストーリーよりも、歓迎して始まるストーリーの方がその道中は明るいと思うのだ。
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