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人生には複数の仮説が必要だ ー占いをする者から見た、占いの使い方ー

自分の人生、こうありたいなーと思うことはあるでしょうか。
わたしはあります。
しかも、結構いい感じに「今の裏返し」になっているようなやつが。

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仕事柄、目の前の人にむかって「どうしたいですか?」「どうありたいですか?」といった質問をすることがよくあります。

ところが、この質問は結構難しくて。
どうしたって「今、自分が考えられること」が思考の限界を作っているんですよね。

イノベーションが声高に叫ばれ、なんだか自由な発想をしないとおいていかれそうな昨今の世の中ですが、本当に「自由な」発想はやっぱり難しいように思います。

では、どうしたらいいのか。
わたしは、「新しい仮説の形成」に一つのきっかけを求めます。

仕組みはそう難しいわけではなくて、
【仮説A】わたし、やっぱりこうだと思うんだよねぇ
  に対して、
【仮説B】いや、実はこうだということもあるんじゃないかな
というのをぶつけてみて、【新しい可能性を持った仮説C】を考えてみよう、という話です。

「今、自分が考えられること」は仮説A寄り、自分の人生全てをリソースとした経験と勘(?)で、わたしにありがちな説をつくります。
これも立派な仮説。わたしという人生のプロから見たら、実現可能性の高い非常に妥当な説です。

ただ、少しだけ難があるとしたならば。
自分のことばを自分の論理で表わしていく過程は、あたかも慣れ親しんだ調味料と隠し味でいつも通りの「家庭の味」に落ち着かせてしまう、そんなイメージがあるのです。
なかなか「こうありたい!」が見つからない、どうも魅力的に思えない場合、作っている仮説が「ガチガチの仮説A」になっていることもあるかと思います。

もちろん、その人なりの「味」があるもので、傍で聞いている人にとってはその味に「へー!」と思うこともたくさんあります。
面白いですよね、人の話を聴くのって。

さてでは、仮説Bのような「実は〜」という仮説をどう活かすのか。
少しテーマから離れますが、こんな言葉を引用してみましょう。

アイデアとは既存の要素の新しい組合せ以外の何ものでもない。
         ジェームズ.W.ヤング「アイデアの作り方」より

そう、自分ではあまり考えてみなかった新しい可能性を、仮説B、つまり組み合わせ材料として提示してみることで、新しく複雑な味の仮説Cを作ってみてどうか、ということなんです。

ただ、ここで材料になる仮説Bは、自分の頭でこねくり回して出そうとすると、いつの間にかAがもう一つ出来上がってしまうことになりかねません。
そこで、わたしはここに占いの要素を挟むのです。

占いと聞くとなんとなく「当たる」ことを期待されますが、正直、「当たるかどうか」なんて大して意味がないのではないかとも思います。
今日の運勢、今年の運勢、わたしの性格、わたしの運命。それら全てが、自分の外側から勝手に提示される仮説Bなのだとしたら。
それらに触れたわたしはただ仮説Bを受け入れるだけなのではなく、わたしにとって本当に必要な仮説Cに昇華することでより意味を持つのではないでしょうか。
それによって、冒頭に書いたような「今足りないと思っていることばかりで構成した、今の裏返しのありたい姿」にはまり込むことも防げるのではないかと考えているのです。

もちろん、占いの当たり外れは大いに楽しめますし、尊敬に値する先生方の言葉たちはとても素敵です(特に某キノコの方、大ファンです)。
その上で、占いだけに人生を預けてしまうことも、結局自分のためにはならないのかもなぁと思ったりするのです。

わたしは主にタロットカード(OSHO禅タロットがメイン)と西洋占星術を用いて仮説づくりを行います。
そして、占いをやる側の人間として次の2つを心に刻んでいます。

●その場で出たメッセージは、その人にとって何かしらの意味がある
●そのメッセージは、その人自身が使い方を決める

そう、占いは仮説Bとしての価値があり、仮説Bとしての価値しかないのです。

わたしが行うセッションでは、結構な量の対話が行われます。鑑定結果をただ聞くようなイメージでは進みません。
カードやホロスコープを挟み、ときにチェスを指し合っているような、ときに一緒に絵を描いているような、お互いのインスピレーションが影響しあうセッションになるよう心がけています。
(正直なところ、これを占いと呼んでもいいのだろうかと思いますが…)

不安な世の中には占いが増える、なんて話を聞くこともありますが、その辺にごろごろ仮説が転がっていると思ったら、なんとなく楽しくないですかね?

では、またのちほど。

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ちなみに、占いではなく企業研修のような場合、Points of You®のコーチングゲームというフォトカードを使ったワークショップを行うこともよくあります。
その話は別の機会に。

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