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三角比と人間工学を用いてディティール識別の限界値を計算してみよう!


はじめに


・テクスチャ解像度のバラツキ、メッシュ割りのバラツキ、スカルプト後等の細かい凸凹

この3点についてツールに依存しないグローバルな評価方法について、自身が使用しているものを紹介します。

こちらは2つの評価方法で運用しています。

2つの評価方法

1 三角比と人間工学を用いて現実世界でのディティール識別の限界値を計算する

2 VRC内の行動や用途によってフォーカルポイントは変わるが、ある程度は絞られる

2.1 特定部位についてマトリックス評価を実施して優先度付け。

2.2 評価する際の距離や視野角を決めて官能評価

2.3 曲率の度合いによって適切な評価マテリアルを選定する。マトリックス評価、官能評価の結果より通常マテリアルでも評価し、メッシュの割りを調整したりUV展開の解像度を大きくする。



※リアル系・セミリアル系キャラクターを用いた評価です。

※24インチ以上30インチ程度のディスプレイ使用を推奨です。

1.1三角比と人間工学を用いて現実世界でのディティール識別の限界値を計算する

中学校で三角比を習ったと思いますが、これを用いることで1m先の線が1°ズレた時の移動量などを求める事ができます。

人間には線のズレを見分ける能力があります。1m離れた状態で約0.0029°くらいの線のズレを認識することが可能だそうです。

キャプチャ

イメージがつきにくい方は平坦な道路にて白線を近く遠くと目線を移動させながら見てみてください。

この1mあたり0.0029°の認識能力と三角比で角度ズレを計算することで、距離あたりのディティール識別の限界値を求める事ができます。

(真正面から見た時の話です。光の入射角などを含めるとすごい難しくなるのであくまで目安としてお使いください)

さて、1mの距離から1°見る角度がズレた際のズレ量について

θが非常に小さいときにsinθ≒θが成り立ちます。

距離l(m)離れた先のズレ(元の位置と2点間の距離)をdとすると、

d=lsinθ=Lθより、

d=1sin1°=1×0.01745=0.01745(m)

よって17.45mmのズレ量になります。

線のズレの認識限界が1mあたり0.0029°でした。

これを逆算して距離を求めてみます。

0.0029°では見にくいので繰り上げして2.9°で考えます

上記で1°あたり17.45mmのズレとわかっているので2.9倍するだけです。

17.45×2,9=50.605 繰り下げ 50.605/1000=0.05

これでやっと1mあたりのズレ認識能力は約0.05mmとわかりました。

後述に出るものですが、特定部位に関しては30cm~50cmの距離から評価するようにしています。

50cmの場合は0.025mm程度までのディティールは識別できる事になりそうです。

思ったよりかなり人の目はディティールを拾ってしまうようです。

この0.025mmを許容できる凸凹量と考えた場合、50cmの距離で見る場合は0.03mm以下はレイを拾わないようにベイクしたりもアリかもしれません。

(再度言いますがあくまで目安です!後述のマテリアル評価を併用する事で、球体等でもある程度の評価ができるようになります)






2.1目まぐるしく変わるフォーカルポイントのマトリックス評価

※意図的なカラー操作による視線誘導、乳の谷間見せ、目隠れ等による視線誘導、その他ブラックアウト効果の考慮は特にしていません。

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キャプチャ

主に見られる事が多い部位4箇所について3項目でマトリックス評価を実施。結果、頭や髪が最も高い結果となり、胸や尻等は同率となった。

当たり前かと思いますが揺れものがある部位は見る触れる機会が多くなるでしょう。

ただし、あくまで目安です。作者が見せたいと意図する箇所、胸や尻、尻尾のサイズ大小によって係数を設けて評価点数を変えたり等も行うべきと感じます。

2.2評価する際の距離や視野角を決めて官能評価

・評価の距離については頭を撫でる、尻尾を触る際に近づく距離から算出して考えました。

アバタータイプによって手の長さは変わりますが、30cm~50cm程度の近さから評価をしています。

極論、サイズ感が合えば良いのでアバターの手のサイズと現実の自分の手のサイズを合わせるように拡大し(アバターと自分の性別や身長の考慮は必要です)ディスプレイ距離で見ています。

(下記画像はディスプレイ上で大体等倍くらいにしてレンダリングして評価に使いました。目を凝らしてみると、若干髪がカクカクしているのがわかります)

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・ソフト内の焦点距離については、あくまで自分は55mm程度(後述の2の手段でも使う値でもある為)で評価しています。

モデリングのときは150mmが良い等の話もありますが、あくまでメッシュの気になるカクカク、スカルプト後の凸凹、テクスチャ解像度の評価ですので、あまりこのあたりは考慮しませんでした。

2.3曲率の度合いによって適切な評価マテリアルを選定する。マトリックス評価、官能評価の結果より通常マテリアルでも評価し、メッシュの割りを調整したりUV展開の解像度を大きくする。

・このへんは言葉の通りです。自分で決めた評価距離から違和感を覚えない程度のメッシュ割りにしたりUV解像度を大きくします。

どこまで違和感を覚える/覚えないかについては、

個々の感じ方、曲率の度合い、アバター制限の兼ね合い等色々考える事がありますが・・・

UV球などで一度色々試して、シルエット上の見た目等どこまで許容できるか自分で判断してみるのも良いかもしれません。

キャプチャ


曲率の違いによる評価方法のアプローチの違い

下記4条件でアプローチの仕方を変えることで、評価がしやすくなります。

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曲率が低い、かつ凸凹が小さい

normalマテリアル 凸凹の認識がしやすい

ゼブラマテリアル 凸凹の認識がしにくい

曲率が低い、かつ凸凹が大きい

normalマテリアル 凸凹の認識がしやすい

ゼブラマテリアル 凸凹の認識がしにくい

曲率が高い、かつ凸凹が小さい

normalマテリアル 凸凹の認識はできないことはない

ゼブラマテリアル 凸凹の認識がしやすい

曲率が高い、かつ凸凹が大きい

normalマテリアル 凸凹の認識がしにくい

ゼブラマテリアル 凸凹の認識がしやすい



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