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交通事故の経験

ある休日にひとりで車を運転中、交通事故を起こした。

国道の交差点を直進中、右折信号が赤なのに対向車が信号無視で右折してきて、わたしは止まれず突っ込んでしまった。

車はかなり派手な損傷だが怪我はなくエアバッグも開かなかった。車から降りて事故現場の写真を撮り、相手の運転手に車を車道の端へ寄せるよう指示し、わたしも移動させる。

とりあえず警察と母に連絡したあと、初めての車の事故で気持ちが落ち着かなくて、救急車を待つ間に会社の上司に電話をかけた。病院へ搬送され、レントゲン検査を受けて待合室に戻ると上司がいる。わたしに駆け寄り「大丈夫、大丈夫」と声をかけて落ち着かせてくれた。「お母さん来るやろし、俺仕事戻るけど何かあったら電話して」と去る。ちなみに彼はわたしのことが好きなので優しくしてくれるとわかっていて利用してしまった。(後に夫になる)

母が迎えに来て、一緒に病院から事故現場に戻ると雨が降り始めた。傘が1本しかなかったので母と身を寄せ合う。警察官に事故の聞き取りの後で相手と話しをさせてくださいと頼み、立ち会いの元、70歳のジジイ運転手に詰め寄る。「あなた、車から出ても来ないで、警察も救急も呼んでくださらなかったでしょう!わたしに何か云うことはないんですか!?」我慢していた苛立ちをぶつけるように怒鳴るわたしに警察官は「落ち着いてください…」と小声で制止するも振り切って「事故後の対応は!運転手としての義務です!知らないんですか!!」と続けると、傍らで大きく頷く警察官。この時期、ニュースでも高齢者の事故がほんとに多かったのだ。再度「わたしに、何か云うことがあるでしょう!?」と云うと、ずっと黙っていたジジイは「すみませんでした」とやっと頭を下げた。

あとは互いの保険屋に任せるということで話は終わりレッカーを待つ間、フロントが潰れた車を見ると悔しくて…涙がどっと溢れてきた。

声をあげて泣くわたしに寄り添いながら「誰の所為で…」と呟く母。思わず涙は止まり「えっっっ!?」と云うと「あっいや、あのジジイの所為やけども」と焦り取り繕う母。

そう、たまたま今日は母の車を借りていたのだ。お母さんまじごめん。でもわたしの軽自動車だったら命は危なかった。スバルは強かった。(シャシが歪んで廃車になってしまったが、保険でまた同じ車を購入した。)

それでもわたしが乗った所為で、と思うとやっぱり悔しくて、泣きながら母に謝っているとレッカーが来た。陽気なおじさんが、お待たせしましたー!と云いながら降りて来て「あっ!傘あげますよ!ほら、ちっこいけど!」と笑いながらほんとに小さな小さな傘をくれるもんだから、つられてわたしも笑った。おじさんは「事故、怖かったでしょう。若いお嬢さんですし泣いてしまうのも仕方ないですね~」と気を遣ってくれたが、これが悔し涙で、まさか直前までジジイにブチ切れていた女だとは思いもしないだろうな。

この事故は結局、10対0でジジイが悪いということで片付いた。本人も信号無視を認めたそうだ。未だにその交差点を通る度に変な汗をかく。

事故によるわたしの怪我はというと、むちうちで首や肩が痛く湿布をたくさんもらって治した。車は残念だったが、怪我が大したことなくて良かった。

どれだけ安全運転を心がけても、道路は危険で溢れている。自動運転の研究が進んでいるが、そもそもドライバーとしての運転の資格を厳しくしてほしいとわたしは考える。




あとがき

駆け付けてくれた上司(夫)は仕事中、危険物を積んだトラックだったので病院には停められないからと、近くのコンビニに停めて走って来てくれたらしい。

そして病院の救急受付でわたしの名前を云うと受付事務の人に「お父様ですか?」と聞かれたことを、未だ根に持っているそうな。

わたしの一回り近く年上ではあるが、年齢より若く見えると思うし流石に父親は無理があるような…

女性が珍しい職業ということもあってか、一緒に仕事へ行くとたまに「親子…?」と聞かれることもあるので、まぁわたしが特に若く見られるということにしておこう。


実はこの頃、別に恋人がいたのだが頼りない男だったので、事故に遭ったとの連絡は家に帰ってからLINEメッセージを送っただけだった。というのがもう完全に冷めていたなと振り返る。

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