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2018.11.8 この昼に苺つぶして食ふことの

今日までに終わらせなければならないことが案外時間がかかり、一日中ぐろっきーな一日だった……けど息抜きに読んだ歌集(いやこんなことしてるから時間がかかるのか!?)がすごく良くて、癒された。よき短歌ってみずみずしくて、短い時間で心に栄養が入るからほんっとーにすばらしい……。

読んだのは、三宅奈緒子さんという歌人さんの『白き坂』という歌集。古本屋の歌集コーナー(?)で三宅という名字があったので思わず手に取ったのだけど笑、歌人紹介のとこに「大学では土屋文明に習って萬葉集を専攻し……」と書いていて、運命を感じて思わず買てしまったのだった。
土屋先生(萬葉集研究者かつ歌人。昔の萬葉集研究者は割と自分自身も歌人であることが多いんですよ)に習ったなんていいなあ。ちなみに大学を出て東京で国語の先生をしていたそうな。『アララギ』でずっと短歌は作っていたらしい、平成三年にアララギ初の女性選者に(……って平成三年まで女性おらんかったんかい! とツッコミたい)。
さっきぐぐったら2016年にお亡くなりになられていたのだけど、当時御年94歳だそうで、大往生!! だと思う!!

今回の『白き坂』は初期の、主に仙台での女学校での新米教師時代の短歌たち。学校の先生的な歌が多くて、なんだか俵万智のオリジンを見てるようだった。気に入った歌たちがこれ↓。


黄に枯れし銀杏と小さきフレームと校舎の裏のせまき日だまり(「遠き記憶」)
「黄に枯れし」がすべてだよねえ、黄色に「枯れる」ってすごくいいなぁと思った。中高の時の、銀杏の葉を集める掃除してた瞬間をふっと思い出した。うちの中高は銀杏がずらっと並んでるのが先生方の自慢だったけど、秋の掃除が大変だったな。寒くなってきた時期に外で掃除とかしてると、ちょっとでも長く日なたにいたかった。情緒がそんなにない掃除の思い出だ。

どんな未来をもつのか光る朝潮に手をふり呼ばふ少女らの群(むれ)(「光る潮」)
学校の先生って、自分よりも可能性や未来があり余ってる、もてあますくらいにあり余ってる生徒たちをずっと送り出していて、一体どうやって精神の安定を保ってるんだ……と私は思う……。私はいまだに自分大好き自分一番人間なので、人の可能性を伸ばすのが人生の生きがい、という境地に至っている人のことを心から「どういう精神構造なんだ……」と異星人のように思ってしまう。すごいよ。朝潮どころじゃないよ。

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