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「事情」過剰な平成、そして「事情」不在の令和ヒロイン

『彼氏彼女の事情』という漫画をご存知だろうか。

疲れると長めの少女漫画を読んでしまう癖のある私が最近ぼやぼや読んでいた漫画である……懐かしい! 連載されていたのは1996〜2005年、平成前期の香りを閉じ込めたような作品だと今となっては思う。ちなみに庵野秀明監督がアニメの監督をしていたことでも知られている(アニメは1998〜9年放送)。

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B078GZSR4X/ref=atv_dp_share_cu_r

で、この作品を読んでいてしみじみ思ったのは、「平成って『事情』の時代だったんだなあ」ということである。

裏を返せば、今はもはや主人公の「事情」がちょっと古くなっているような気がする、という実感もある。とくに、女性キャラクターにおいて。それはつまり、最近本屋大賞をとった『成瀬は天下をとりにいく』シリーズや、あるいは『推しの子』や朝ドラ『虎に翼』の物語について考えていても思うことなのである。

1 彼氏彼女の「事情」の正体

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