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解説・カズオの運行日報

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業界の専門用語、専用道具が多く商習慣も謎なトラックドライバーの世界を、マンガ「カズオの運行日報」に沿って解説します。
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記事一覧

解説・カズオの運行日報・第16話兼号外 筋痛性脳脊髄炎ME/慢性疲労症候群CFSについて

今日「5月12日」は、筋痛性脳脊髄炎ME/慢性疲労症候群CFSの世界啓発DAYです。 こういう病気があることを正しく、広く知っていただくための日です。 ナイチンゲールはみなさんご存知かと思いますが、彼女もこの病気にかかっていたようなので、彼女の誕生日がこの病気の啓発活動の日とされました。 啓発(知っていただくための行動)じたいは、昔から患者の会など年間とおして行われています。 わたしも下垂体前葉機能低下症のほかにこれを診断されていますので、実際の経験を絡めてマンガにしまし

番外編SP「みんなで踊ろう」 音楽のハナシ

カズオハッチャケからの〜青さんトバッチリっていう古典的かつ本作番外編定番のギャグパターンですが…やっぱり自分で笑えるのを描いてると楽しいモンです。 カズオにロカビリーも演らせようというネタはだいぶ前からありました。 察しのいい方は前回の番外編「植松のラブドール!?」でフラグが見えてたかもですね。 青さんに髪をあげるのも連載前から作ってあったエピソードです。 なので、後編冒頭では長髪カズオを一旦描き納め…的な。 このあと本編で4tのエピソードに戻るのでまだロン毛描くんです

解説「カズオ中距離デビュー」 カズオの運行日報 第14〜15話

今回はカズオが初めて単独で車泊のある中距離の仕事に出るお話でした。 焦げ猫も初めてのときはホームシックになりましたよ〜。 今みたいにスマホもないしエンジンもうるさかった(振動もかなり)のでなかなか寝つけなくて、しかも場所が国道8号線沿いの日本海を臨むようなエリアで…浜田省吾さんの「防波堤の上」が脳内無限ループ(爆)。 一般道利用で当時は休憩・休息の決まりもなく、まさに「哀しいほど自由」でした…。 やっぱり数回運行すればホームシックも一般道での距離感も慣れますが、今回のカ

解説 第13話 カズオの運行日報「俺はそうしてるけどね」

「カズオの運行日報」第13話の解説です。 今回は縦軸が「長距離の運行のしかた」ですが、横軸として「人にものを教える難しさ」を描きました。 解説は8000字近くありますので(汗)、目次を見てご興味のあるところだけでもどうぞ! コンプライアンスについて2024年4月から待ったなしになる労働時間の規制と、それ以前の規制 「働き方改革」で多くの職種が残業を規制されたなか、運送会社はリミットが伸ばされていました。 労働時間・拘束時間の短縮が難しい職種だからです。 それがとうとう

解説・「青さん危機万髪」前後編 カズオの運行日報 第11〜12話

今回は青さんの髪の話メインで、なんの会社でも中間管理職って似たような大変さだろうからあんまり解説する事柄は無いかな?…とも思ったんですが意外とあるなぁ…。 今回も4000字くらいです(^^;) 運送会社で「司令塔」となる配車の仕事はとくにフリーチャーターでは毎日リアルタイムで指示を飛ばしトラブル回収もするので、世の中のいろんな業種の企業の管理職の中でも結構大変な部類だと思います。 社内配車の大変さ第11話で青さんと佐竹さんが電話でモメているのをサクッと説明しますと…。

「カズオの運行日報」第1話 解説

さてさて、扉絵のハードルを自分で上げてしまい公開まで時間がかかりましたがようやくスタートできました「カズオの運行日報」。 「グランジの神様」からご愛読の皆さま、作画協力として資料画像ご提供頂いてます皆さま、そして本作に出逢いのあったすべての方に感謝申し上げます。 運送会社・トラックドライバーのマンガっていうのは今まであんまり無かったんじゃないでしょうか? ぞうむしさんの怪談や、ゆきたさんのリアル宅配便日記、古いとこだと「わっぱ列伝爆造」…くらいしか焦げ猫は知りません。

カズオの運行日報 第2話「はじめてのおつかい」 解説

「カズオの運行日報」第2話「はじめてのおつかい」解説です。 今回、今まで免許がないゆえに助手だったカズオが、準中型免許を取ったことにより初めて独りでの仕事を任されます。 これは、日用品のバラマキ(ばら撒くように何軒も回って配達することから)です。 店配(みせはい、てんぱい。お店に商品を配る)でもあります。 中身は食品ではなくティッシュとか洗剤とかそんなようなもんで、○✖️商会ってのはメーカーではなく問屋さんか倉庫業だと思ってください。 ルート配送に近いですが、日によって

カズオの運行日報 第3話〜第4話「恐怖の深夜便」前編・中編の解説

2t車でする仕事…小さい車でする仕事は、第2話での日用品配達もそうですがいわゆる「バラマキ」が多いです。 件数が多く細かい配達ですね。 引っ越し、建築等で荷物は多いし場所も1箇所…だけど狭いから大きな車が入れない!なんて場合には2tで何往復もしたり何台も使ったりしますが…。 「定期」といって決まった荷主さんの仕事を毎日継続する場合は第2話のような「貸切」でその日に注文が入ったお客さんに届ける、あるいは第3話のような毎日概ね同じ届け先の「ルート配送」が多いと思います。 店

カズオの運行日報 第5話〜第6話 解説

本当にあった幽霊の話深夜の納品時に、人ならぬ者に声をかけてしまい拾ってしまった…。 コレは焦げ猫が昔いた会社で本当にあった話です。 なぜ青さんのように「視えない」人もいるのにそれが「本当」と言えるのかというとですね。 まず、作中にあったように「出る」んで既に有名な場所だったんです。 納品場所の向かいの雑居ビルの階段上というのも実話どおりです。 (作中のモデルの建物は関係ないとこから引っ張ってます) 実際はもう少し大きいお姉さんだったようですが。 当時そのコース担当だった

カズオの運行日報 第7話メイキング

今回はトラックドライバーの業務についてのシーンはないので、日本神話・神社等に関する補足的なお話、メイキングです。 18歳にもなって号泣したカズオカズオがわんわん泣いたのはマンガとしての大げさな演出・涙もろいっていうキャラ立てでもあるんですが…、 よくないことが続いたときに自分を責めてしまったり、普段「頑張らなきゃ」と気を張っていたりする真面目な人は「脆い」とよく言いますね。 べつにマジメ自慢するワケじゃないのですが焦げ猫自身が人にそう指摘されるほど「全力投球してしまい→コ

「カズオの運行日報」第8話 解説

第6〜7話の幽霊のエピソードの解説で、冗談でも事故の話はしたくないと書きましたが…。 コレは他社の若い子がやらかした話をもとに、「運転でイライラするとロクなコトがない」のを描こうと思い立った話です。 新キャラについて植松直樹 「グランジの神様」第5話〜第6話で登場した、当時は名前のなかった後輩くん。 相変わらずカズオからは「オマエ」呼ばわりですが。 この子を高卒後にカズオの後を追って入社させるアイデアは当初からありました。 母親の躾で「困っている人は助けなさい」と教え

「にわかバンド爆誕」メイキングおしゃべり

今回の番外編はとりあえずBOØWYですが、KNロジにわかバンドは代わりばんこにメンバーの好きな楽曲を演る感じになると思います。 商業的に売ろうというのではなさそうなので、よくある「音楽性の違い」での解散はないでしょう(笑)。 BOØWYは80年代のバンドなので、世代が違う方ゴメンなさい。 トラックドライバー、運送会社がテーマなのにトラックドライバー、運送会社がテーマなのにたまにこういう音楽系の話を描くわけは…。 カズオがアマチュアギタリストって設定だからってのもあるんです

解説・カズオの運行日報 第9話「やりすぎヒストリー」前編

今回から、解説記事のタイトルおよび解説マガジンのタイトルを「解説」から始まるものに変更いたしました。 スマホで見ると本編も解説も「カズオの…」で始まり残りが省略されてしまうため、「本編だけ読みたいのにわかりにくい」というお声があったので…。 また、前々回くらいから、自分のトップページの最新記事としてマンガ本編を長く表示させておきたいので、わずかな時間差ですが解説を先にアップしています。 やはり業界のことを詳しく…となると解説の文書量にボリュームが出てしまうのですが、気にし

解説・「やりすぎヒストリー」後編 カズオの運行日報

さて今回は「デコトラ回」と言っていいような回で作画に時間はかかりましたが描き甲斐のある画面でした。 (うんちくになりますが、「デコトラ」はプラモデルの青島文化教材社の登録商標だそうです。なので雑誌等では「アートトラック」という言い方をしているようです) まず初めにことわっておきますが、焦げ猫はデコトラ大好きです。 たまたまデコトラの会社が悪者になっちゃってますが、好きじゃなかったらあんなに凝った描き込みしないですって…(^^;; ちなみに1台描くのにデザイン決め含め2日か