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見えない人をたばかる人たち

先日、仲のいいガイドヘルパーさんから聞いた話。

彼と視覚障碍者3人とあとひとり晴眼者、併せて5人で飲みに行った。会計はもう一人
の晴眼者が買って出た。

その人はまず飲み放題2700円のところ全員から3000円徴収。視覚障碍者のうち誰かが
一万円と千円を間違えたらしく、「8000円多い」
と言っていたものの、彼はそのままそれを自分のポケットに入れて全部をカードで支
払っていたそうな。

ヘルパーさんは「えっ?!」と思ったそうだ。

誰にも確認せず即自分のポケットに入れる厚顔無恥さ、ある意味驚きである。それよ
り着服するなら気づかれるようなことするなよ(獏)

その後にもヘルパーさんは別なイベントで着服男に会ったそうだが、その時は飲みの
席には合流しなかったそうです。君子じゃなくても危うきに近づかず!正しい選択で
す。


他にも別の視覚障碍者の話。そこのお店のサラダの量が多いから、一緒にいた晴眼者
と分けようという事になった。晴眼者が取り皿に分けてくれたのはいいが、彼女の分
がやたら量が少なかったらしい。見えない彼女は以前そのサラダを食べたことがある
のでどのくらいの量か知っていた。見えないからわからないだろうと、ちゃんと二等
分しなかったのだ。どうやら その人は食い意地が貼っているらしく、別のイベント
で食べ物を並べていた時もつまみ食いをしていたとか。見えない人たちにも咀嚼音で
バレバレだったそうだ。

弱視はどこまで見えているか理解不能だし、全盲も耳と肌感で意外と周囲を認識して
いる。どうせ見えていないだろうとなめてかかると思いのほかいろいろわかっていた
りするのだ。そして周囲にいる心ある晴眼者も聡い人はチェックしていて、前述のヘ
ルパーさんのように私たちをヤバい人から遠ざけてくれる。


それでも見えない人が抱えているリスクは普通の人の比ではない。しかし、人を見た
ら泥棒と思わなければならないという人生も寂しい。

手伝ってあげるといわれたら、その人がどんな人かわからなくても助けてほしいと思
ってしまう。見えないというのはそれくらい生きるのに不便なのである。親切なのか
、腹に一物あるのか、、見極めるのは難しい。

ヘルパーでもボランティアでも、恋人や配偶者であっても生活に深く入り込まれて、
気づいたら個人情報を握られがんじがらめにされるなんてこともある。
障碍者の年金を当てにして晴眼の男がヒモ状態になっているなんて話も聞いた。
そんな相手でも、見えない人はいろいろなものを見てもらえるのは便利なので手放せ
ない。そしていったん楽をすると元に戻るのは難しい。

最悪なのはそれが親兄弟の場合である。障碍者側が訴えない限り、社会的には本人の
次に家族の意見が採用される。親が子供の金銭を「管理」という「搾取」をしている
ケースがある。更に悪いことに、私が出会ったそういう家庭の障碍者は親に押さえつ
けられて来ているからなのだろうか往々にして自立するほどの強い精神力を持たない
人が多かった。


こういうことは障碍者同士の間でもあるし、障害の有無にかかわらず日常的に起こっ
ている事だろう。

しかしそうやって人から搾取しているような人は最終的には損をしているのではない
かと私は思う。誰にも知られないようにたばかるのは意外と難しい。前述のちょろま
かし男などはヘルパーさんに気づかれている時点でアウト。私たちの後ろにはそれぞ
れ30人くらいの人がいて(Gか?!)一人に知られれば地域やサークルの人に確実に広ま
る。特に視覚障碍者の世界は閉じた生態系、SNSなんかなくてもあっという間に拡散
される。

多少のお金のために人の信頼を失うのは一生の損。」金持ちより人持ち」と脚本家の
今井雅子先生もおっしゃっている。


私もいくつかサークル活動をして来たが、幸いなことに上記のような人にはほとんど
会ったことがない。だから話を聞いたときは驚いた。

世の中油断のならない人もいる半面、警戒しすぎて善意の人たちまで遠ざけてしまう
のはこれはこれで一生の損だ。

見極めるのは難しいけれど、本当に仲良く付き合ってくれる友達やボランティアさん
もいる。そんな彼ら彼女らに改めて心から感謝の意を表したい。

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