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無謀にも素人盲人が「言葉の楽譜」体験会に参加してみた

8月26日、クラブハウスでご縁があった脚本家の高橋郁子さんが主宰する「IDENSHI19
5」の「言葉の楽譜体験会」に参加してきた。

idenshi195 | idenshi195(いでんしイチキュウゴ)とは、脚本家・高橋郁子による
朗読劇ユニットです。https://idenshi195.com/

「朗読ってあまり面白くない」という意見に、じゃあどうしたら飽きられずに朗読を
楽しんでもらえるかを考え抜いた末に、高橋さんが産み出した手法が「言葉の楽譜」


台本に読点句読点のほかにも楽譜のように記号がついていて、役者は音楽のセッショ
ンのように言葉を重ねていく。そのパフォーマンスはまるで映画を見ているように聴
く者に作品世界の情景をありありと想像させる。これが「朗読キネマ」とネーミング
されている由縁だ。

YouTubeに上がっていたこともあったが、やはり昨年見た生の舞台「船弁慶」が圧巻
だった。高橋さんは、体験会でも「空間を変える」とおっしゃっていたが、舞台が始
まると、そこは弓弦を張り詰めたような異空間になった。


私は朗読を読むのも聞くのも楽しんできたので、上手な人の朗読が退屈だと思ったこ
とはない。「朗読キネマ」は通常の朗読とは別の新しいジャンルなのではないかと思
っている。


そして先日思いがけず、「言葉の楽譜体験会」が一般公募された。えっ!?私もやって
みられるの?!いやいや私はメモ見えないし、ほかの参加者に迷惑かける。でも音楽を
やっている視覚障碍者は多いし、「楽譜」というからには見えないことはあまり障害
にはならないのか。

しかし、音楽をやっている視覚障碍者は楽譜を見ながら演奏することはできないので
基本全部暗譜。物覚えが鳥並みの私に暗記はできるのだろうか。

とにかくダメもとで高橋さんに相談してみた。高橋さんは「できるだけバリアは取り
払いたい」とおっしゃって、快く受け入れてくださった。また、事前にクラブハウス
のプライベートルームで、音声の読み上げソフトではうまく出力できなかった部分を
フォローしてくださった。

点字をあまり読めない私は、普通の朗読の時はカセットテープに自身の声を吹き込ん
で、音声台本を作り、それをシャドーイングする形で語っている。
なぜ今更カセットテープなのかというと、デジタルのものは、ボタンを押してから反
応するまで一泊間が空いてしまう。「語り」は間が大切なので、カセットのように速
さを調節できたり、ポーズボタンがあるものでないと思ったような朗読ができない。

今回も音声台本を作ったはいいが、カセットの音を聞きながら相手の呼吸やリズムに
合わせて声を載せていくという事がどうもできる気がしない。
点字で書きだしたりもしたが、これもどうにもセリフを追い切れる気がしない。楽譜
である限り、音楽をやっている視覚障碍者同様「暗譜」しか方法はなさそうだ。

テキストはあまり長いものではなかったが、暗記が苦手な私は、とりあえず女性キャ
ラのセリフだけ9割覚えて、手元にはわからなくなってしまった時用に点字のメモを
持つことにした。


そして当日。昼の部はプロアマ問わずというくくりだったのに、私以外の3人は全員
プロの役者さん(!!)これはますます足を引っ張れない。

始めは空気をやわらげる意味もあり、お互い指さしながらニックネームで名前を呼び
あうというウォーミングアップをやった。高橋さん含めて全員で5人だったのでこれ
はちゃんと覚えられた。
クラスによっては13人くらいの時もあったそうで、こうなったら私はきっとお手上げ
だっただろう(獏)

そのあと実際の部隊の音源を聞いて、皆で雰囲気を掴む。その後最初の二人が実際や
ってみたが、なかなかリズムがそろわない。

全員でお互いの呼吸を合わせてセリフをユニゾンしてみようという事になった。「せ
ーの」みたいに息を吸ってはいけないし、アイコンタクトもダメ。皆声を出すタイミ
ングがわからず沈黙してしまった。これはよくあることらしい。
皆どうしても受ける姿勢になってしまい、誰も発信しないからという事だった。

私は発声のタイミングが最後まであまりよくわからなかったが、回を重ねるたびに皆
のリズムがあってくるのは、音楽演奏を合わせているときのような快感があった。

その後、あらかじめいただいていた「言葉の楽譜」のテキストを皆で実際に読んでい
った。

子音より母音の率を多くというアドバイスをいただいたが、後で聞いてみると本当に
音色が変わっていたのが面白かった。

私以外の3名はさすが役者さん、高橋さんのアドバイスが入るとどんどん状態が変わ
っていく。言葉に言葉を重ねてリズムを作っていくので、今までやってきた群読より
はるかに相手のセリフに集中しなければならない。「言葉の楽譜」は朗読というより
は音楽を演奏するときの感覚に似ていた。


正直「朗読キネマ」は口で説明されてもあまりよく理解できなかった。私はたまたま
クラブハウスの朗読リレーで高橋さんとのご縁をいただき部隊を見に行ったのであの
インパクトの中によくわからないまま飛び込んでしまった。。

百聞は一聴にしかず!とにかくまずは朗読を聞いてほしい。そして面白いと思ったら
体験会に参加してみて下さい。


言葉の楽譜・体験会(随時更新)|高橋郁子(Ikuko Takahashi)|note
https://note.com/ikuko_t/n/na7f5beba6dc3

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