コール・ザ・ミッドワイフが好きすぎるので感想を書きます。
コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語を見ています。イギリスBBCのドラマで、プライムビデオでシーズン7まで配信中。
始まりは1950年代後半から。貧しい地域が舞台。
衛生の問題もあるし教育も医療も追いついていない中、助産婦たちが奮闘するストーリー。助産婦物語と銘打っているけれど、人生そのものや社会問題がテーマになっています。
助産婦たちはノンナートゥスハウスで一緒に生活しています。
裕福な家出身のシスター・モニカ・ジェーンとチャミー。そして貧しい出身のシスター・エバンジェリーナとトリクシー、といった感じで立場が違う人たちが一緒に働いているので双方の意見や考えが描かれているのですごく考えさせられます。
いろんな問題があるけれど、シーズン1からずっと共通してある問題が、女性の中絶の問題。
キリスト教なので中絶は絶対悪だし、婚前交渉なんてもってのほか。避妊手術も法律で禁止されています。医療的な問題があれば手術可能ではあるみたい。コンドームを使った避妊は保険適応外なので生活が苦しい人は手が出せません。
性教育が行き届いていない地域なので、みんなどんどん子供を産みます。25人目の出産っていうエピソードから始まるんですよ。びっくりですよね。
そのエピソードを見てしばらくすると、9人目の子供をもう育てるのは無理、と泣く女性のストーリーが始まります。そしてその女性は自分で中絶を試みて命の危険に晒されます。
既婚女性も未婚女性も自分で試みたり、闇医者に依頼して失敗します。闇医者は食卓の上できちんと消毒されていない鋭利な刃物で子宮を突き刺します。
傷がついて大出血の他に感染症の問題など、中絶は命の危険が伴います。
エピソードを見ていると何度も何度もいろんな事情で中絶に失敗した人のエピソードが出てきます。
そして見ているうちに「避妊手術も中絶も絶対にダメ」という法律に疑問が湧いてきます。
経済的、体力的に育てられないっていうのも正当な理由にならないっておかしくない?避妊手術もダメなのに中絶もできないっておかしくない?
法律で禁止しているせいで女性の命が危険に晒されてるんですよ。命よりも大切なことなの?
途中からピルが登場するんですが、これも使えるのは既婚者だけなんです。
シーズンの初めの方では女性は結婚していないと子供は育てられない、夫に捨てられたらホームレスか娼婦になるしかない。みたいな雰囲気でした。
未婚で妊娠なんて保守派の女性たちにとってはあり得ない出来事なので、男がしらばっくれて家も職も失い、自分で中絶しようとして失敗するエピソードもありました。
でも途中から、離婚する夫婦もちらほら出てきてバリバリ働く女性も増えてくるし、議員になる女性も出てきます。女性も一人で子供を育てられる可能性が高くなってきた感じが嬉しかったです。
ノンナートゥスハウスの助産婦たちは女性に寄り添って活動しています。年嵩のシスターたちには反対されながらも、ピルや避妊具などの講習会を開いたりと熱心に活動します。
この年嵩のシスターと若い助産婦っていう対比もいいんですよね。目的は同じなんだけどアプローチが違うって感じで。若い助産婦がどういう目的で、何を思ってそれをやりたいのかと熱弁して、シスターが理解を示すっていう構図が毎度の展開です。
シーズン6くらいになると闇医者の問題が大きくなります。
その闇医者と助産婦たちの願いは同じなんですよ。「困っている女性を助けたい、女性が苦しまないで済む社会を作りたい」っていう。
でも片方は犯罪者なんです。
その闇医者が最後に「男ばかりの社会を変えなきゃダメ」と言い残します。
女性が中絶も避妊もできないのって、法律を作っているような上流階級の男にはなんのデメリットもないからなんですよね。どんなに苦しんでいても声が届かないんです。議会に女がいないから。
そもそもキリスト教の教えで女は男に支配されるって決まってるみたいなんで、宗教で成り立っている国がその概念を変えるのには相当骨が折れるはずです。
その社会の変化をこうしてドラマで見ているんだなと思いながら2周目のコール・ザ・ミッドワイフを見ているわけなんですが、何度見ても面白いです。
まだ見ていない人はぜひ見てみてください。
いつも応援ありがとうございます😘