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今日からはじめるAnime Toolbox 第1回『Anime Toolboxの概要を理解する!』

本記事について

本記事では、Unity Technologies Japanが2022年12月に一般公開した、Anime Toolboxを紹介したいと思います!
以下にGithubのリポジトリをリンクしておきますので、是非、一度手に取ってみてくださいね!

Anime Toolboxって、なに?

Anime Toolboxとは、Unityでリッチな映像編集作業がおこなえる新作Packageをまとめたテンプレートの名前です。Unityのビルトインパイプライン、Universal RP、HDRPの全てのパイプラインで同じように使うことができます。

Anime Toolboxの主力機能であるVisual Compositorを使った映像編集は、直感的でとても簡単。Unityが扱える素材なら、3D、2Dを問わずなんでも映像素材として使うことができます!

最後に、Anime Toolboxは無料で頒布されてますので、誰でも手軽に試すことができますよ!

Anime Toolboxを使って、どんな映像がつくれるの?

とても良い質問ですね! Anime Toolboxを使って作ることができる映像の一番良い例は、日本の誇るセルアニメテイストの映像です。

今回、Anime Toolboxを使った作例として、こんなショートムービーを作ってみました。

おなじみのSDユニティちゃんを使ったショートムービーですが、今まで以上に3D臭さが抜けているとは思いませんか?

それには理由があります。

この映像は、SDユニティちゃんに代表される3Dアセットを使っていますが、それらを直接3D映像としてレンダリングしてキャプチャしているのではありません。

カットの切り替わりも含めて、Anime Toolboxを使って「2Dコンポジション撮影工程 *」を追加してやることで、ちょうど実際にTVで放送されている日本のアニメと同じ工程を加えてやっているのです!

【解説】「2Dコンポジション撮影工程」は、手描き作画、3D作画を問わず、日本のアニメ作品では最終的な品質を決める工程のひとつとして重要視されています。一般の皆さんには「撮影」と聞くと違和感があるかもしれませんが、日本のアニメスタジオでは伝統的にこれらの2D合成やエフェクト追加などの編集作業を「撮影」セクションが担当してきたので、今でも「撮影」と呼んでいます。
具体的にどのようなことをやっているかは、こちらのCGWORLDさんの記事がわかりやすく、参考になると思います。

Anime Toolboxで作業している様子。
右上のノードグラフで表示されているツールが、Visual Compositorの画面。

通常は、After Effectsなどを使って、レンダリング後におこなわれる2Dコンポジション撮影工程を、Anime ToolboxではUnity上でしかもリアルタイムにおこなうことができるのです。

他にも、皆さんがすでによく知っている、Candy Rock Starユニティちゃんのライブシーンに、Anime Toolboxでちょっとした画面効果を追加してやった例もご紹介します。

ライブシーンに新たに入っているフレーム演出は、Anime Toolboxを使ってリアルタイムに追加されています。

3D背景とキャラクターとの間にフレーム演出を追加することで、
今まで以上にキャラクターを際立たせています。

このように、今まではUnityだけでは作るのが手間だったVtuberムービーなどでよく使われる「動的なテロップ演出」や、「キャラ部分だけ切り抜いた後で手描きの2Dエフェクト画像に重ねるような演出」に関しても、一度Unityから映像を出力することなく、Unity上で編集を完成させることができるようになりました。

そういう演出が多用されているショートムービーってどんなものでしょう。
代表的なものが、アニメのオープニングムービーです。

つまりアニメのオープニングムービーのような演出付きムービーだったら、Anime Toolboxを導入することで、これからはUnityだけで創ることができるのです!

Anime Toolboxの開発のお話

ここでちょっとだけ、Anime Toolboxの開発のお話をさせてください。
そもそもUnity Technologies Japanが、「Unity上で日本のアニメテイストの映像を作れるようにしよう!」と本格的に研究を始めたのは、2019年以来です。その年のUnite 2019 Tokyoでは、アニメスタジオのGraphinicaさんと一緒に研究成果を発表させていただきましたので、ご存じの方もいらっしゃると思います。

この時に使われていたUnity上のツールは、インハウスツールのようなもので、使い方にしてもかなり難しいものでした。

今回公開させていただいたAnime Toolboxはこの時の研究成果を元に、より幅広い映像制作に使えるように工夫に工夫を重ねた上に、日本の多くのアニメスタジオの皆さんのご協力を仰ぎながら、1年以上に渡ってαユーザーテストを重ねてきたものです。おかげで、一般公開としては初なのですが、相当使えるレベルにまで完成していると、開発チームとしては自信を持って送りだしてます。

Anime Toolboxは、プロ向けのツールなの?

Anime Toolboxは、多くのアニメスタジオの皆さんのご協力を仰ぎながら開発されたツールではありますが、決してプロ向けオンリーの敷居の高いツールではありません。

むしろ、プロの皆さんの映像制作のクオリティを自分の作品にも取り込みたい皆さんのためにあるツールなのです。そのために各ツールでのワークフローは、判りやすさを第一に設計されています

今回より始まる『今日からはじめるAnime Toolbox』でも、その辺りを念頭に置いて、プロのアニメ演出家によって実際に演出していただいたAnime Toolboxでの作例を判りやすく解説していく記事なども予定しています。

本連載が、皆さんの創るゲームのデモムービー、ゲーム内のカットシーン、さらにはお気に入りのキャラクターが活躍するムービーなどに代表される、Unityを使った映像制作のクオリティアップの一助になればと願っています。

さて次回からは…

次回は、Anime Toolboxの入手の仕方から導入の開始まで、少し丁寧目に説明していこうと思います。

そして本連載の目標として、『SDユニティちゃんと桜吹雪』の作例を皆さんと一緒に実際に作っていきたいと考えています。

お楽しみに!

関連note記事

是非、こちらも読んでみてください。Unityで映像制作をするメリットについて考察したものですが、今回公開させていただいたAnime Toolboxは、これらの考察を具体的なツールとして落とし込んだものとも言えますね!


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