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アウトサイダー


フランシス・フォード・コッポラ監督

原作はS・E・ヒントンの同名小説

『The Outsiders』


ちなみに映画の邦題は『アウトサイダー』で、翻訳された小説は『アウトサイダーズ』だったり『アウトサイダー』だったり出版社によってバラバラ。なんでだよ。謎。


遂に『アウトサイダー』について書く日が来たな...

今年の2月9日に観て、それ以来ずーーーーっと心の片隅にいる作品です。

たくさん映画を観ていると稀にこういう1本と邂逅しますよね。

こういう瞬間のために生きている。



さてざっくりあらすじ。


「映画館の暗闇から明るい陽ざしの中に一歩踏み出したとき、頭の中には2つのことしかなかった。ポールニューマンのことと、うちへ帰ること...」

物語は「グリーサーズ」の14歳の少年、ポニーボーイ・カーティス(C・トーマス・ハウエル)の回想からはじまります。


舞台はアメリカ、オクラホマ州タルサ。

この町では貧困層の若者のグループ「グリーサーズ」と富裕層の「ソッシュ」が対立しておりました(この辺の対立は『ウエスト・サイド・ストーリー』なんかを思い浮かべてくださるとわかりやすいです)。

彼らはお互いを”決定的に違う”と思っておりまして。


というのも、おソッシュの方々はパパとママが金持ちで社会的地位は高いし、いい学校に通う優等生。グリーサーズと揉め事を起こそうが彼らにかかってくる火の粉は皆無に等しい。

それに対して、グリーサーズは何か問題を起こそうもんなら有無を言わさず警察にしょっぴかれてブタ箱に放り込まれて、「どうせ」「また」ってな扱いを受けます。

なぜなら「グリーサーズだから」。

彼らは貧しく、加えて両親がいなかったり、いても片親だったり、あるいはロクでもなかったり。ソッシュに対抗するには、そして偏見のはびこる町で生きていくためには、あまりにも無防備なんですよね。

弱くては世間に淘汰されてしまう。だからこそ「逞しく」なくてはならない。

この悪循環が、グリーサーズ vs ソッシュという構図を作り出し、彼らの間に溝を生んでいるわけですね。


ポニーボーイが映画館を出て家に帰るところに話を戻します。


基本、グリーサーズは町をひとり歩きしません。ソッシュに襲われる可能性があるからです。この間も仲間のジョニーがひとりでいたところを襲撃にあい、ひどい怪我を負ったばかり。

そのことをわかってはいたのですがポニーボーイ、うっかりしてたぜ。誰のことも探さずにひとりで歩き始めちゃいます。


すると。


案の定、見つかっちゃいました。赤い車に乗ったソッシュの5人連れに。

やべぇと思って小走りに切り替えますが時すでに遅し。

「へいグリーサー、髪を切ってやるよ!」

ナイフを向けられて、がしっと腕を掴まれて、押し倒されて、押さえつけられて、

「まずはあごの下あたりから」なんて言われながら、本当に切られます。やつら、普通に切ってきます。殺しはしないけど、限界まで傷つけるんですね。

アァアァァ助けて!!!!!って思ってるところに!!!!!!!!!!


仲間が駆けつけます。このシーンが大好き。もう超かっこいいの。


先も述べたようにグリーサーズは自分たちを守ってくれる存在というものに恵まれていません。なので自衛のため、そして互いのために、仲間同士家族同然に強い絆で結ばれています。


そんな心強い彼らをご紹介しましょう。ほい。



下段右から2番目のノースリーブくんがポニーボーイ。最年少の14歳ですが、彼は頭がいいので学年を飛び級して高校に通っています。映画や本を愛していて、喧嘩そのものにはあまり興味がありません。

彼は両親を亡くし、2人の兄と3人で暮らしています。

まず上段左端、長男のダレル(パトリック・スウェイジ)。父に代わって一家の大黒柱となり家計を支えています。弟たちのことを心から愛していますが、ポニーに対してはその気持ちを上手く表現できず、「兄貴は俺を嫌ってる」と思われています。

それから上段右端、次男のソーダポップ(ロブ・ロウ)。高校を中退して給油所で働いています。優しく、明るく、ハンサム、ポニーの良き理解者であり、ダレルをたしなめられるのもソーダだけ。つまり最強です。違いない。


次に、愉快な仲間たち。

ポニーの左隣、相棒のジョニー(ラルフ・マッチオ)。喧嘩をあまり好まない優しい心の持ち主ですが、仲間のためとあらば立ち上がるいいやつです。ポニーとは歳が近く波長も合うことから、1番の仲良しです。

次に上段中央、ダラス(マット・ディロン)。10歳で逮捕されたことのある強者。喧嘩が好きで、しかもめっぽう強い。危険人物ですが不思議な引力があって、いざという時に頼りになるナイスガイ。

それから下段左端、冗談好きのツー・ビット(エミリオ・エステベス)と、右端にいるのはソーダの親友、スティーヴ(トム・クルーズ)。彼らは本編にあまり出番がないのですが、どちらも憎めないやつです。


仲間たちに助けられてなんとかなったポニーボーイ。

ひとり歩きをしたことに対してダレルに小言を言われつつ、(ソーダが間に入って仲裁しました。はい最強)ジョニーとダラスとドライブインシアターに行く約束をして、仲間たちと別れます。


そして約束の日。シアターについた彼らはソッシュの女の子、チェリーと出会います。

どうやら彼氏と来たものの、そいつがベロベロになる程酒を飲んだことに対して腹を立て、置き去りにしてきたそうで...。


グリーサーズとソッシュの女の子が仲良くなるということはまぁないのですが、チェリーとポニーボーイはお互いに興味を惹かれます。これまで自分たちの中で築いてきた典型的な「グリーサーズ」と「ソッシュ」のイメージが、当てはまらなかったからです。

ポニーは「粗野で品も学もないやつ」じゃないし、チェリーは「高飛車で冷淡でなんの悩みもないやつ」ではない。


「もしかして思っているほど、違いなんてないのかもしれない...」


そんなことにポニーが気付き始めた夜。


物語は急展開を迎えます。



...と、ここまでが3分の1くらいですかね。


この作品、劇場公開バージョンとディレクターズカット版が存在します。

それぞれ90分と120分くらい。違いはカットされたシーンが復活しているのはもちろんですが、劇中で使用されている音楽が全く違います。

公開バージョンは『風と共に去りぬ』を彷彿とさせるような壮大なもので、ディレクターズカットの方はギターベースのクールで、どこかやんちゃなサントラになってます。わたし個人としては後者の方が好きかな。


もちろん主題歌の「stay gold」はそのままです。



 「stay gold」、黄金のままでいて。

この言葉は劇中に登場するフロストの詩と絡んできます。


誕生のとき、緑は黄金、すぐに消えてなくなる色。

誕生のとき。葉は花、だが、それも一刻のこと。

やがて、葉は葉。

エデンは悲しみの園と化し、暁も昼に変わる。

ひとつとして黄金のままいられるものはない。


人は必ず老いて、大人になります。

その中で人は、世界に輝きを見出せなくなります。

小さな頃に心躍らせていた景色に何も感じなくなったり、些細な幸せに気が付かなくなったり。どんどん鈍感になっていく。はっとした頃にはもう遅くて、永遠に失ってしまったあとにこう思います、「どうしてこうなってしまったんだ」と。


その輝きは永遠に続かない。いつかはかならず終わってしまうけれど、それでも精一杯、黄金のままでいてほしい。たった1度しかない人生には悲しいこともたくさんあるけれど、それでも人生を愛して、「今」を生きて欲しい。いつかあなたが過去を振り返った時に、後悔ではなく、胸が潰れそうになるくらいの愛おしさを自分の人生に感じられるように。


「nothing gold can stay」ではなく、「stay gold」なんですよね、この作品がずっと訴えていることは。そこがたまらなく好きです。本作が誰に向けて作られたものなのかがよくわかります。ここにプラスでスティーヴィー・ワンダーの曲を聴くと本当に切なくなる...もう「大人になった」視点から歌われているので...ウワァァン............


この作品、観るタイミングが非常に重要だと思います。視聴される際にはどうかお気をつけて。


それから『アウトサイダー』は、アイドル映画でもあってですね... 登場人物を馬鹿丁寧に紹介したのはそういうことです。いわゆるYA、ブラッド・パックが集結しております。キャスティング担当の方(名前忘れました)、先見の明が尋常じゃない。

オーディションの様子は特典映像としてコレクターズエディションに収録されてますのでね。下にリンク貼っときます。


今週また『アウトサイダーズ』の記事書こうかな。面白い裏話がたくさんあるのでね...ヒヒ...


それでは、また。


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”The Outsiders” 2021.2.9

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