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陸上競技のプログラム冊子について

陸上競技のプログラム冊子の作成・編集に携わっています。ここ数年では年間20件程度。また、陸上競技だけでなく他のスポーツ・イベントでも、実行委員に属するなどにより、内容構成に関わることがあります。これまでの経験の中で、思いつくところを以下に記してみます。

こうあって欲しいと考える陸上競技のプログラム冊子

以下、個人的に「こうあって欲しい」と考える陸上競技のプログラム冊子について書いてみます。(「もう、プログラム冊子自体が存在しなくても良いのでは?」というご意見は、横に置いて。)

  • 競技日程における男女の並び順が、女子・男子 である場合、プログラムリストも、女子のページが前で男子が後に来るべき。

  • 大会役員・競技役員一覧は、プログラムリストのあとに配置(背表紙前の最終ページがわかりやすいかもしれない)。映画のエンディング・クレジットのような扱いが良い。役員あいさつ文の掲載位置も、大会役員・競技役員一覧の前など(=プログラムリストよりも後ろ)。

前者は、男女の性差に関するノーマライゼーション、後者はアスリート・ファーストに関する対応としての私見です。もしかすると全国のどこかでは、既にこうした形態のプログラムを公開しているところがあるのかもしれません。

こうした変更は「小さなこと」ですが、これまでの慣習とは異なるため、はじめは多くの方から違和感を持たれることでしょう。しかし例えば、学校の出席簿をみると、従来は男子50音順+女子50音順の順番で並んでいたものが、今では当たり前のように男女混合50音順となっています。ここに示した内容が当たり前のように、全国に普及すると良いと思っています。

追記です…WAのサイトでは、世界記録の並び順が女性→男性になってますね。
やはり、こうした並びが当たり前だと思います。

生年表記について

2~3年前頃から、従来からの学年表記のように、選手の生年表記が扱われるようになりました。日本陸連や加盟団体が示す「個人情報保護方針」では、登録並びに大会エントリーに際し、こうした生年表記を含めた個人情報が、目的の範囲内において外部に公開されることがあると、予め示されています。その選手の生年がわかると、20歳代後半から30代以降でもがんばっている選手のキャリアをうかがうことができ、とても良いものだと思います。

ところで、かなり昔のことですが、運営に関わっていた某市民マラソンのプログラム冊子で、氏名の横に年齢表記を示していたことがありました。大会では年代別で表彰をするので、毎年出場する選手が年齢をごまかしたりしないようにするためのものだったのかもしれません。ところが、ある参加者からクレームがあり「私は申し込みの段階で、プログラムに年齢が表記されることを知らなかった!」と騒ぎになりました。そして翌年度以降は、年齢表記をしなくなりました。個人情報保護に関する保護方針等が、まだ曖昧だった時代のことです。

個人情報の取り扱い表記

こうした生年表記を含め、個人情報や肖像の適切な管理は、SNSが普及している現在、デリケートで気を使います。

「個人情報の保護に関する法律」は2003年=平成15年に制定されました。記憶をたどると、この2年後頃に、中学校体育団体の某団体競技大会で、参加生徒の保護者から「本人・保護者の断りなく生徒の氏名がプログラムに掲載されている」といった類のクレームがついたという事案があったと思います。その場で大会関係者は、参加全生徒・保護者に対し、急きょ、個人情報利用の同意に関する対応に追われた、と記憶しています。

その後、各競技ごとに個人情報と肖像の取り扱いについて方針が定められ、登録や大会エントリーに際して、同意事項に含まれるようになり、現在では安定的に運用されるようになっています。

プログラム冊子をWeb公開すること

大会によっては、製本されたプログラム冊子とは別に、Web版のプログラムを大会ホームページに掲載する場合があります。私はこうした対応に賛成です。紙媒体資源減量=CO2削減につながるでしょうし、何より利便性が高いです。

しかし、「プログラム冊子の販売が減る」ことを理由に反対する意見もあります。経験上のことでしかなく根拠はあきらかでないのですが、プログラム冊子のWeb版を公開したからといって、プログラム冊子がまったく売れなくなることはないと思います。プログラム冊子を買う方は、大会に来て、Web版があろうがなかろうが、買いたい人は買いますし、買いたくない人は買わない…というのが、長年携わってきた者としての実感です。プログラム冊子販売の売上げ高を気にする挙句に、Web公開の利便性を損ねることの方が、参加者の満足度と事業価値を下げてしまうと思います。

大会のプログラム冊子だけでなく年間要項集なども同じで、「Web公開すると売れなくなる」と危惧し、紙媒体冊子のみの取り扱いをしている団体も、未だに少なくないのではないでしょうか。しかし、もはやそういう時代ではないはず…と思うところです。