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南海トラフ地震は起きない⁉ 『南海トラフ地震の真実』 (小沢慧一著・東京新聞刊)

この記事は、まず、次の2点を前提にしています。

・ピンポイントで地震の予知はできない。
・巨大地震(南海トラフ地震も)はいつかは起きる。

その上で、

災害に対する備えは重要
過度な恐れに支配されない
不安を煽られて行動しない

ということが、大切だと個人的には考えています。


南海トラフ地震(M9)は起きない⁉


小沢慧一の著書『南海トラフ地震の真実』は、南海トラフ地震の発生確率に関する政府の発表が、科学的に疑わしいとされる背景から出版されました。

『南海トラフ地震の真実』は、「南海トラフ地震が、30年以内に70~80%の確率で発生する」とされる予測(2018年時点)が、特別な計算式「時間予測 モデル」によって、水増しされている可能性があることを指摘しています。

著者の小沢慧一は、政府の議事録や古文書を調査し、発表されている確率が科学的な根拠に乏しいことを明らかにしました。

特に、江戸時代の古文書に基づく不確実なデータが用いられていることや、南海トラフ地震にだけ、地震のランダム性を無視した「時間予測モデル」が使用されていることを問題視しています。

地震予測で一般的に使われている「単純平均モデル」で算出すると、その確率は、20%(6〜30%)程度であると指摘しています。

この本は、地震学者と行政の間に存在する「地震学ムラ」と呼ばれる、歪んだ関係を暴露しています。

地震予測が高く見積もられることで、研究費や防災対策費に関する防災予算を、より多く獲得する意図があるのではないかと指摘しています。

著者の調査は、科学と行政・防災の関係における不均衡を浮き彫りにし、地震予測の信頼性に疑問を投げかけています。

『南海トラフ地震の真実』は、2023年に東京新聞から出版され、同年の菊池寛賞を受賞しました。(*Amazonでは、一時的に売り切れになっていることがあります。)


◾南海トラフ地震の真実


『南海トラフ地震の真実』の要点


・政府が用いた「時間予測モデル」は、地震の周期性や規則性を前提にしており、地震のランダム性や不確実性を無視し、科学的な根拠に基づいていない。

・政府が時間予測モデルに入力したデータは、信頼性や精度に疑問がある江戸時代の古文書に基づいている。

・地震発生確率は、全国各地の地震についても、「時間予測モデル」によって算出されることがある、このモデルは、データが少ない地域ではさらに不適切である。

・政府の地震予測は、防災予算や研究費の確保などの、政治的な都合によって操作されている可能性がある。

・政府の地震予測は、特定の地域に危機感を与える一方、他の地域に安全神話を生み、防災意識を低下させる危険がある。


おわりに


「南海トラフ地震」の発生確率は、政府の地震調査委員会によって、毎年1月1日を基準日として公表されます。

過去の発生間隔と直近の地震からの経過年数(時間予測モデル)で計算するため、必然的に毎年少しずつ高まります。

政府の地震調査委員会によって発表された現時点での、「南海トラフ地震」の発生確率は、以下の通りです。

・10年以内  約30%
・20年以内  約60%
・30年以内  約70~80%
・40年以内  約90%

よく目にするこの数値は、繰り返しになりますが、地震の周期性や規則性を前提にして、地震のランダム性や不確実性を無視した「時間予測モデル」に基づいて予測されています。

はっきり言って、これが当たっているとも、当たっていないとも言えません。

明日、大地震が発生するかもしれませんし、40年後に発生するかもしれません。


大地震は、いつ発生したとしてもおかしくなく、0%や100%という確率を発表しない限り、予測が外れたことにはなりません。(「確率」って便利な言葉だな〜と思います。)

さらには、南海トラフ地震よりも先に、別の場所で、大地震が発生するかもしれません。

北海道、熊本、石川など、「事前に地震が来るぞ!」と脅かされていない地域で…。


ピンポイントで地震の予知はできませんが、巨大地震は、いつかは起きます。

日本は島国なので、巨大地震が発生すれば、大津波も発生する確率が高いです。

くれぐれも、災害に対する、日頃の備えだけは、怠らないようにしたいものです。

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。


「南海トラフ地震」に関する興味深い2冊


◾南海トラフ地震の真実

◾南海トラフM9地震は起きない


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